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ギルドにて 後編

 ガロンと共に2階へと降りて、階段すぐ近くの部屋のドアを開けた。そこは懐かしい保健室の臭いがした。部屋の中は2階のほぼ半分を取ってるかと思わせるほどの広さで、部屋の大部分はベットが置かれて、ドアの真正面には病院で見た診療室みたいな設備があり、棚には薬やら包帯等が入っていた。


「あんたはここで働いてもらう。依頼から帰ってきた冒険者を医療とか緊急時、回復魔法で医療とかしてもらう。ちなみに医療は冒険者なら無料だ。たまに治療を頼んでくる人もいるからな。その時は銀貨1枚だからステータスカードを見せてもらい、確認しろ。先日の件で医療物資はないし、人もいないから閉鎖されてるが、今から解放する。忙しくなると思うぞ」

「さて、俺は部屋に戻るが聞きたい事はあるか?」

「給料はどうなる?どれくらい働ければいいのか?」

「そうだな・・・日給の方がいいか。金貨1枚で、そうだな…週5日勤務してもらう、午前9時から午後5時だな。緊急時の時はその分休みを取れる感じだな。これでいいか?」

「ああ、大丈夫だ」

「なら、またな」


 ガロンは医療室から出て、階段から木の板がしなる音が聞こえ、部屋へと向かったようだ。

 さて、勤務か。今から怪我人とか病人とか来るのか・・・・

 と思っていると、扉が開く音が聞こえ、振り向いてみると複数の男性がいた。そこにいたのは右足が包帯を巻いていて松葉杖をついた30代の男性、右腕が肩から無い男性、頭を包帯でぐるぐる巻きにされている男性、服の下に包帯が見える男性やらが総勢20人以上いた。


「お前が先日、治療してくれた女性だな」

「・・・ええ、まぁ」

「そうか。あの時、俺ら怪我人はお礼言えなくてな。今日、お礼を言いたくてな。助けてくれてありがとうう」

「ありがとう。おかげで妻子にまた会える」

「「ありがとう」」


 そうか、ここにいるのは先日の怪我人達か。どおりで包帯だらけの人が多いはずだ。


「いえいえ」

「でな。今日は怪我を早く治したくてな。また回復魔法やってくれないか」


 取りあえず、回復魔法を唱えればいいのか・・・この前みたく、適切な回復魔法が頭に浮かぶだろう。


「はい。分かりました。じゃ取りあえず、治療する人はこちらに座ってください」


 俺がそう言うと男性は俺の正面にある椅子に座った。残りの男性達はベットの上に座るか、仰向けになっていた。


「じゃまず俺から頼む」


 その人は右足に包帯を巻いている人物だった。


「右足が骨折しててな。治してくれ」

「はい」


【ヒール】


 右足に手を当てて、魔法を発動させる。魔法は青白い光を放して発動していく。その間、患者は暇なのか、俺に話しかけた。


「なぁ、あんたの名前何て言うんだ?」

「俺の名前は沢谷光」

「沢谷光か…………顔と同じく綺麗な名前だな」

「どうも」


 その会話で部屋が一瞬だが、氷りついた雰囲気になったが、すぐに消えてしまった。もうそろそろいいかなと思った時点で魔法を止めた。男性は右足を地につけ、傷みを恐れるような顔をして、右足を進めた。しかし、傷みは無かったようで安堵して、右足の包帯を取りながら


「よし!治った。流石だな。光さん。有難うよ」


 男性は包帯を自分の懐にいれ、部屋を出た。それを見たせいなのか、怪我人逹は


「「凄いな!次は俺だ!」」


 我先にと声を張り上げて言った。怪我人なのに元気だな。次は頭を包帯でぐるぐる巻きにされている男性だ。頭の上に手をかざして、呪文を唱えた。立たないと頭の上に手をかざげなかったので、椅子から立って、かざした。患者と俺との距離がドングリくらいしかなかったせいなのか、俺の胸に患者の息がかかっている。


【ヒール】


「お、頭痛が引いていく。流石だな」


 それより息をどうにかしてくれ。うざい。


「光さんは何か好きな物はあるか?」

「特には」

「そうか・・・・」


 やっと息が収まったか。そろそろいいかな。頭の上から手を離して、包帯を取った。男性は怪我が無くなったにも関わらず、ため息を吐きながら、部屋を出ていった。その男性を見ていた残りの人達は「妻子いるのになぁ」、「浮気か、嫁にちくるか」とか言っていた。


「次は誰だ?」

「「はい!!」」


 やっと2人か。次は右腕が肩からない男性だ。男性は、


「右腕がないのに痛みんだ。痛みを和らげてくれ」


 肩の切り口の所は火で出血を抑えたような跡が残っていた。その跡の上から手をかざした。その時、呪文が頭を過った。これなら腕を再生出来るか。


【リザレーション】


 呪文を唱えるとその男性の元々あっただろう右腕の所から青白い光の塊が出てきて、光が収まったと思ったら、光があった部分に右腕があった。男性は驚きの表情を浮かべて、右腕が動いているかどうか、手を開いていたり、閉じてたりしていた。動いているのが確認出来ると頭を下げて、お礼を述べた。


「助かった。有難う。お礼に食事とか「はい、治ったら出ていけ」」


 男性はまだ治療していない人らに両腕を掴まれて部屋から追い出されてしまった。部屋から追い出された後、まだ部屋に残っている怪我人が怪我していないか如くに手を上げて、


「「次は俺だ」」


あー、もう面倒くさい。


【エクストラヒール】

 

 青白い光が部屋を満たしていく。青白い光は怪我人の患部を包み込む。光が収まると、するすると患部に巻いていた包帯が解けていき、その下には痛々しい跡は無く、健康そうな肌が見えていた。


「はい、これで治療は終わりです」

「そう、だけど・・・・まだ痛みが」

「そうそう、頭痛が」

「な お り ま し た ね」

「「はい!」」


 怪我人達は一斉に部屋から出ていき、残ったのはベットの上か部屋の床の上に転ばっている包帯だけだった。最初からこうすればよかったか。包帯を片付けるか。箒とゴミ箱どこだと部屋の中を見ているとドアが開いて、そこにいたのはギルドマスターと平原で会ったディンとアッシュだった。




 







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