フェリスとデート? 後編
申し訳ないですが、ギルドの位置を円の中心から円沿い、通りと通りの間の大きな住宅にさせて頂きました。
フェリスと俺は南通りへと行き、そこもまた人目に晒されるという事を受けた。男性達はフェリスと俺を歩く軌跡を眼だけではなく顔を動かしていた。連れている女性もいる男性は足に強烈な痛みを受けて、こちらを見る所ではなかった。
それにしても南通りに行くにつれ、フェリスにお辞儀する年配の方や、子供達が増えてきたな。どれも皆、フェリスと同じ首飾りをしていた。同じ宗教の人だろうか。フェリスも同様にお辞儀をして、子供達の話や遊びの誘い、年配の方々は愚痴やお茶の誘いをしていたが、フェリスは嫌な顔をせずに愚痴や話を聞き、誘いについてはやんなりと断っていた。そして、別れる際に定型な言葉を言っていた。
「神テイのご加護がありますように」
「神テイ?」
「そうです。ユスラン教は創造神テイを崇めております。・・・・さて、着きましたよ」
疑問的な言葉をフェリスに投げかけると、フェリスは頷きながら言った。フェリスが立ちどまった所には庭があり、地面は芝生になっており、教会と通りをつなぐレンガの道があった。レンガの道の途中でレンガは円状になっており、その円の中心には噴水があり、周りには腰がけのある椅子があった。奥には首飾りの先にある模様のある円と同様な円が教会の屋根の先に飾ってあった。
「ようこそ ユスラン教会へ」
フェリスは俺の手を引っ張りながら、レンガの道を歩いた。レンガの道が終わると待っていたのは木製の扉だった。フェリスは木製の扉を開けて、教会を解放した。教会は2階だてとなっていて、2階は扉が4つほどあり、1階は5つあり、目の前には長椅子が並んでおり、その先には教壇らしき物があり、教団の後ろには像が建てられていた。像は後ろの窓の光によって、神々しい雰囲気を醸し出していた。
「あの像が創造神テイです」
像を見てみると灰色の石で出来ており、像は立ったまま、手を組み合わせてお祈りをしていた。背中には首飾りと同じ模様した円を背負っていた。体は布を巻きつけていて、男性か女性か判断できなかった。顔も中性的で分からず、髪型は背中まで伸びていた。俺は素朴な質問をしてみた。
「神テイは男性?女性?」
「そうですね・・・男性である説と女性である説どちらもありますが、髪が長く、創造神の子供が私たち人間という話もありますから女性であるという説が有力となっています」
「なるほどね」
「神テイは私達のご先祖でもあり、未来永劫見守ってくれましょう」
フェリスは像の前で膝を折り、手を組み合わせて、祈った。俺は信仰してるわけでもないからフェリスのお祈りが終わるまで待っていた。フェリスは椅子に座ろうかなというくらいのタイミングでお祈りを終わりにし、窓の日指しを見て言った。
「ではそろそろギルドへ行きましょうか。ギルドマスターさんがお待ちでしょう」
「ああ」
協会を後にし、ギルドへと行った。ギルドの扉を開けると中は広く、丸いテーブルとイスが1対4形式で並んでおり、奥にはカウンターが並んでおり、クエスト受注場所、素材買取場所という看板が掲げていた。
また、壁には上には何やら数字が書いてある四角い板が張られており、その板には紙がピン止めされていた。その板は6個張られていた。その板の目の前では1人が鋭い目線で紙を選んでいて、複数の人達で紙を選んでいる所もあれば、相談している人もしている。紙を選んでいだ人は紙を板から外し、カウンターへと赴いた。フェリスもまたカウンターの方へと歩いていた。俺もその後を追う。シスターが来た事が珍しいのか、選んでいた人達や椅子に座っていた人達もシスターへと視線を移した。その後を追う俺にも視線が来ていた。口笛が何所からか聞こえた。
シスターはカウンターで受付している人に質問を投げかけた。
「ギルドマスターはいらっしゃいますか?光さんが来ましたとお伝えください」
「あ、そっちの黒髪の女性が光さんですね。ギルドマスターは3階の部屋にいますので、一緒に来てください」
「はい。分かりました」
3階へと行くと、すぐ様に分かった。部屋の向こうでおっさんらしいいびき声が廊下でも聞こえるほど響いていた。そのいびき声を聞いて、フェリスは心配そうな顔をしていた。ギルドの職員は扉を叩いて、ギルドマスターを呼んだ。
「ガロンさん。お客さんが来ましたよ」
ギルドの職員はいびきによって震えているドアを叩いた。いびきによって叩く音と職員の声は消されている。しかし、ギルドの職員はさらに扉を強く叩いて、大きな声を出して、呼んだ。
「ガロンさん!ガロンさん!お客さんが来ましたよ!」
ギルドの職員の大声に気づいたのか、部屋からいびき声が止み、少ししたらドアが開き、半開きとなっているガロンがいた。
「うん・・・あ、あ、来たのか。部屋に入れ。あとお前は元に戻れ。ご苦労だった」
「はい」
ガロンが起きたのを確認するとさっさと職員は階段を下りる音を立てながら、降りていった。フェリスと俺は部屋に入っていった。部屋はソファーがテーブルを挟んで2つあり、その奥には机があり、その上はあまりにも汚かった。作業する為に書類を隅に置いた事が一目で丸わかりになっており、そのおかげで綺麗になっている所には書類3枚と羽ペンが置いてあった。ガロンはその書類を取り、ソファーに座れと促した。
「ええっとだな。偉い人に東門の修繕依頼、報告書を書かなくてはいけなくてな。修繕依頼はもう書いたから・・・・あとは報告書であんたの事を書かなきゃいけんから、あんたの事を聞きたいんだが」
ガロンは一息入れ、寝起きとは思えないほどの真剣な目で俺を睨み付け言った。
「あんた、何所から来たんだ?仲間を救った恩人ということは感謝しているが、身元が分からない以上、あんたを信用はしない。言えないのなら、今日だけは勘弁してやるが明日はこの町から出てもらう」
「ガロンさん!それは「安全の為だ。しかし、暴力はしない。これがギルドマスターの責務だ」」
「・・・・っ」
フェリスはその言い方に腹を立てたのか、ソファーから立ち上がり、抗議をしようとしたがガロンはセリフに被せて、その抗議に対して反論した。
「正直言って、10人以上を一瞬で回復する魔法使いは聞いたことがないし、見た事もない。冒険者20年近くやっていてあんたが初だ。あんた、その回復魔法は何所で覚えたんだ?まさか魔国で覚えたのか?魔国で何か命令されたのか?ならば俺はあんたをこの町から追い出す責任がある」
「光さん・・・・」
異世界から来たというべきか・・・・・
ガロンはいつでも戦闘が出来るように座りながらも、力を溜めて、俺の手や足を見てどんな動きでも対応出来るように身構えている。フェリスは下を向いている俺とガロンを交互に見て、不安そうな顔をしている。
「わかった。本当の事を言う。俺は異世界から来た。地球から来た。一昨日、自分の部屋で寝てたら起きたら突然と平原にいたんだ。だから、俺はここの世界の者ではない」
ガロンは俺の言葉を一句一句見逃せないように聞いていた。ガロンは聞き終わるとソファーに深く座り息をはき、困ったかのように頭をかいた。フェリスも驚いた顔で見ていた。
「とりあえず、一時の恩があるから一様信じるが、まさか異世界から来た者とはな。正直いって魔国に関係、無関係の方が扱いやすかったな。シスター。そう言った伝承、儀式、魔法はあるか?」
「そうですね、伝承は確かにあります。あと、私の国にはそういった魔法と儀式が有ると噂されていますが、存在してるかどうかは・・・・・・」
「噂だが、気になるな。まぁあんたを異世界から来たと信じよう。しかし、この報告書どうやって書くか・・・・」
ガロンは俺から書類に視線を落とし、手には羽ペンを持ちながら、書類と睨み合っていた。そんな中、フェリスはふと思いついた顔で蒼い瞳を俺の黒髪を見て、
「では、昨日私も会った黒髪の男性も貴女と同じく異世界から来たのですか?」
「…………まぁ、そうだな。はぐれてしまったけど」
「そうですか・・・・はぐれてしまったのですね。なら、今はどこにいらっしゃるのでしょうか?」
まぁ、同じ人物と言っても信じてくてくれないだろうな。この世界で性転換という言葉はおそらくないだろうな。
フェリスは心配そうな顔で窓の外の空を見ていた。ガロンはああ、そんな奴がいたなと書類を見ながら、呟いていた。ガロンは頭を掻いた後、ガロンはもう諦めたかのように書類を目の前の机の方に投げて、再度俺に質問してきた。
「そういや、あんた。これからどうするんだ?元の世界に戻るのか?」
「そういや、考えてなかったな。どうやって戻るんだ?」
「そんな事、俺に聞かれてもな・・・・シスター。何かわかるか?」
フェリスは呼ばれたのを気づいたのか、外の空を見るのをやめ、思い出すかのように言葉と発した。
「そうですね・・・・伝承といっても何せ古いですからね。災厄が現れた時、異世界者が現れ、対処して平和になったという話ですから、その前後の話は残念ながらないので、元の世界に戻る方法はご存知じゃないです」
「なるほどな。ならここで方法を知るまではここで当分生活か。当てはあるのか?宿屋については明日までの料金を渡しただけだからな。それ以降はどうするんだ?・・・・・・んいや、待て」
ガロンはソファーから立ち上がり、散らかっいる机の方へと行き、机の引き出しから何かを探しているようだ。明日までしか宿止まれないのか。それ以降は自腹か・・・・何日持つだろうか・・・ってかどれくらいの価値なんだ?この金貨、銀貨?と思考に入っているとフェリスが私の手をとり、蒼い瞳をキラキラと輝かせて、何かを思いついたかのように言った。
「そういう事なら教会で働きませんか?洗礼と試練をしなければいけないのですが、光さんならきっと受かるはずです。あと私の国ではそういった魔法の噂がありますので、もしかしたら帰れる方法が見つかりと思います。いや見つかるはずです。どうです?私と働きませんか?」
それは悪徳商法みたいなすごい勢いでフェリスは迫ってきた。体を徐々に俺の方に寄せながら、肩に小さく柔らかい感触が来たところで
「はい。止まれ。シスター。落ち着け」
「は、はい!・・・光さん、またもや済みません。興奮すると自我を忘れてしまい・・・・」
フェリスはガロンに肩を掴まれて、ガロンのおかげで興奮はさめて、肩と肩が触れ合う距離から取り、顔を真っ赤に染めて、言った。ガロンは探していた物が見つかったのか、紙をこちらに渡してきた。その紙はギルド職員登録書という文字が上の所に書かれていた。
「まぁシスターの提案も良いんだが、こちらもどうだ?ギルド職員になれば生活には困らなくて済むだろう。今丁度、回復担当の職員がいなくてな。困ってたんだ。あんたなら採用する。ギルドに入れば、情報が来るだろう。それに国々を自由に渡れると思うぜ」
「国々?シスターの国とかさっき言ってた魔国とか?」
「んまぁ・・・魔国は違うが、最低4つの国は自由に渡れるぜ」
シスターはその提案に反論するが如く
「けど、悪く言うようで申し訳ないですが、ギルド職員でも緊急時は冒険者として参加するかもしれないとお聞きました。元の世界に戻る為に危険を渡る事はないと思いますが、あと情報を得るのは確かにギルドが一番ですけど、情報を得る為には時間をかけなければならないと思います」
「ん?後者はなんで?」
「ああ、前者は魔物の大量発生とかの緊急時だな。まぁ戦える者は相当少ないから物資とか運ぶだけだな。後者はそうだな、ギルドは中立国でもあり、魔物や国同士以外のトラブルに関して何でも対処するという決まりがあるんだ。要するに何でも屋だな。そういった奴らに情報とか流すと思うか?」
確かに・・・
「まぁけど、どちらに働くにせよ、仲間を救った恩があるんだ。異世界に関しての情報があったらあんたに知らせる」
「そうですね。私も元の世界に戻る為に協力させて頂きます」
そうだな。せっかく異世界に来たし、今は元の世界に戻るよりは自由に旅をしたいな・・・・・危険な事といっても緊急時のみだと言ってたし、そんなに危険な事はないだろう。それに女性は後衛極端のステータスだけど、万超えてるし、何とかなるだろう。
「なら、俺はギルド職員として働きます」
「良かった。ならこの書類をサインしてくれ。明日詳しい説明するから、明日ギルドへ来てくれ」
「光さんの判断なら何も言いませんが、私も元の世界に戻るために協力させて頂きますね」
フェリスは少し声のトーンを落として、残念そうな顔をしていた。逆にガロンは嬉しそうな顔をして、書類を俺に渡してきた。