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ギルドマスター/ガロン・エドガーの場合

長くなってしまったので、ギルドマスターのみで投稿させていただきます

ギルドマスターの場合

 ギルドマスターは自慢の斧を片手で振るいながら、部下、いや仲間に命令する。


 「弓、大砲は羽を狙え!魔法は頭、特に眼を狙え!」


 弓は一斉に放たれる。しかし、目標には届かず、羽を動かすだけで発生すると突風が矢を折り、そのまま落とされるか、減衰し、羽に届く前に勢いを無くし、平原に落とされる。大砲もまた、目的に当たる前に回避され、平原に当たる。

 魔法を発動させると頭にぶつかるが、眼以外の部分は分厚い鱗によって、魔法の意味を無くさせる。

 魔法がうっとうしいと思ったのかお返しとばかりに空気を吸い、鍛治場の炉くらいに高熱なブレスを吐く。周りの人は逃げ惑う。しかし、逃げた者も余熱で肌を焦がす。逃げ遅れた者は高熱なブレスにただ身を浴びるのみだ。一瞬だ。叫び求める声。人が焼ける臭い。レンガが溶ける臭いも。レンガの溶けた所にはただ白い粉がへばりついていた。その粉も羽の風で飛ばされてただ跡も残さなかった。

 人を消した張本人は悠々にレンガが溶けた所に降りた。降りた衝撃でレンガ崩れ、下にいた者に当たる。ドラゴンは怒っているかのように咆哮した。爪を振り下ろす。その爪は容赦なく、人を引き裂き、爪を真っ赤に染めていた。


「くそが!かかってこい!ドラゴン!」


 斧を上段構えし、ドラゴンに突貫する。ドラゴンは迎え撃つように腕を振り下ろし、爪をギルドマスターに向け引き裂こうとする。斧を爪に向かって振り下ろす。爪と斧の衝撃で周りの壁、レンガが衝撃を受けヒビが走る。ドラゴンとギルドマスターとの時間が一瞬止まる。しかし、斧と爪が同時に弾かれる。爪は割れて、割れた爪はあらぬ方向に行き、平原へと突き刺さる。斧もまた刃がヒビが徐々に入り、全体に走ったかと思うと刃は崩れ、銀色の粉が舞った。

 ドラゴンは割れた爪をじっと見ていた。まるで今起きた事を確認するように。ドラゴンの口が一瞬裂けたように見えた。ドラゴンの意識が爪からギルドマスターの方に向けた。眼はさっきのと違う。まるでゴミを見るような眼だったのだが、今の眼は敵を見える眼だ。その時、ギルドマスターの近くに斧が投げられた。斧はレンガに刺さる。衝撃で穴空き、斧を中心にヒビが走る。刺さった斧をとり、ギルドマスターは投げた本人に感謝の笑みを向ける。


「マスター。代わりの斧です」

「有難うよ!」


 ドラゴンは目の前の敵が武器を装備をするのを待っていたかのようにじっと見ていたが、装備したのを見ると、咆哮し、長い首が俺の方に近づき、丸のみしようとしてきた。しかし、ギルドマスターは跳躍し、躱した。ギルドマスターは跳躍した反動を生かし、回転を加えながら、脳天を砕こうとした。ドラゴンも逃げると分かっていたのか、すでに息を吸い、口から漏れ出している炎を上空にいるギルドマスターに吐こうとしている。

 しかし、ギルドマスターはにやりと笑った。その瞬間、口から炎を吐こうとしようとする瞬間、下あごに魔法がさく裂する。その衝撃で口が閉じる。行先を失った炎は口で受け止める事になってしまった。流石に自分の炎で焼かれる事はなかったが、口の周りから黒煙が出て黒煙を振り払おうとするばかりに頭をふる。その隙を逃がさない。ギルドマスターは脳天に斧をぶちかます。斧は刺さったまま、ギルドマスターはドラゴンと離れる。ドラゴンは眼が閉じてその衝撃で体を崩す。


「やったか!」


 周りの者は当たった事に喜び、ドラゴンを倒したかと喜ぶ。しかし、喜びは束の間。ドラゴンは眼を開け、ギルドマスターを睨み付ける。羽を広げ、体を起こす。斧は刺さったままだが、斧の所から少しだが、血がたらりと垂れ、ドラゴンの顔を跡を残しながら、走る。ドラゴンは蛇を思わせるような先が2又にわれた舌を顔を走っていた血を舐める。まだ余裕がありそうだ。

 周りの者はその様子を見て、喜びが嘘のかのように沈黙する。杖、剣、弓を持っていた手が力を抜ける。どうやって勝つのかという後ろ向きな考えが全員の頭をよぎる。ドラゴンは戦意を無くしたのを感じたのか、こちらに興味を無くして、頭に刺さっている斧の所を爪で掻いて、取ろうとしている。そんな中ギルドマスターは次の攻撃の為にまだ戦意を失っていない者に準備の命令を出している。こちらにはまだ気づいていないようだ。

 準備が整ったと思えば、ドラゴンは頭に刺さっていた斧をやっと取れて、斧は力なく落ちていった。ドラゴンは落ちていった斧や準備していた大砲、魔法、矢に意識を向いていない。ドラゴンがじっと爆発し頂上がなくなった山の方を見ていた。まるで何かを発見したかのように。ギルドマスターはチャンスとばかりに命令を出した。


「打て!!」


 その合図で大砲、魔法、弓が一斉に発射される。大砲はドラゴンの体に当たり爆発を起こす。弓は鱗に当たり、鱗を傷つける。魔法は頭に当たり、斧が当たり血が出た所に当たり、さらに血を出せんとする。

 しかし、ドラゴンは当たった事を気付かないようにこちらを見ずに山の方を意識している。ドラゴンは口を動かし、何やら唸っているようだ。ドラゴンは一瞬だが、こちらを見たが、もう興味がなそうなのか、山に何かを発見したのか、分からないが羽を動かし、山の方へ飛び去っていった。残ったのは悲惨な戦闘場所と多くのけが人だった。ドラゴンが去ったのが夢みたいにギルドマスターを除いて呆然し、ギルドマスターは持っていた斧の刃を地面に向け、柄の先に両手を置き、安堵の溜息し、周りを見渡した後、一気に号令を出した。


「おい!ぼさっとするな!無事な奴は急いで教会に救援を呼べ。けが人を治療するぞ!」

 「「はい!」」


 反応した人達は別れて、ある人達は布を立てて、地面に布を敷く。そして、ある人達は倒れている人に声をかける。反応する人もいれば、反応しなかったが息が荒い人、反応しない人もいる。どんどん人が運ばれ敷かれた布の上に寝かされ、治療されていく。しかし、激しい戦闘のおかげで物資が壊され、焼かれて不足し、治療が思うようにされていなかった。ギルドマスターはその状況に鬼気迫る顔で治療していた人に質問する。


「重傷者はどれくらいだ?」

「50人弱くらいです。重度な火傷の人が20人。出血多量が20人。意識がない者が10人くらいです。物資も破損されており、なかなか治療が進みません」

「くそ・・シスターはまだか!?」


 ギルドマスターは立てていた布を捲り、シスターが来ていないのかを確認しようとした。布の向こう側にはシスターがいたのだが、シスターはうずくまっている男性に回復魔法をしていた。うずくまっていた男性は一目でわかる通りに重度な怪我を負ってない事は明白だった。後ろを見て比較する。



 今もうめき声やケガに耐えている人もいるのにそんな奴を治療するのか

 俺は憤慨する。


「おい!さっさと着いたら、そんな軽傷者はいいからこっちを診ろ」


 近寄り、シスターの前で右手を胸に当て、お辞儀した。


「ユスラン教会の方が来てくれて助かりました。重傷者が大勢います。そんな軽傷者を無視して俺の仲間を観てください」


 シスターの表情の変化に気づいていたが、そんな事はどうでもいい。さっさと布の向こう側へと連れて行った。先ほど治療していた者を見る。治療していた者は体が細く、腕をどうみても細く、武器を振っていない。手をみてマメがない事は一目でわかった。

 どう見ても、前衛の者じゃない。しかし、俺の勘が言っている。こいつは何かしそうだ……


「男のくせに体の線が細いな。・・・・もしや、お前は回復魔法は使えるのか?猫の手でも借りたい状況なんだ」


 返ってきたのは沈黙だけだった。やっぱり自分の勘が当てにならないな・・・・

 俺はため息を吐き、呆れた。


「どうやら、その様子では回復魔法は使えないらしいな。ただでさえ来てくれたユスラン教会の方しかいないのに。邪魔だ。さっさといけ」


 男性を見ずに向こう側へと行った。布の向こう側はシスターが重傷者から回復魔法をかけていた。他の人達も少ない物資で治療に当たっていた。しかし、物資はもう切れそうだ。シスターは重傷者に回復魔法をしながら、俺に言った。


「荷車に物資があるので、とってきます」


 シスターは今診ていた人の治療が終わると急ぐように荷車へと向かい布をめくり、先ほどの男性に話しているようだ。


 あのでくの坊に今話している状況じゃないだろうが・・・


 あきれた表情でシスターと先ほどの男性、でくの坊を見ていた。でくの坊はシスターに何か言われたのかの言う通りに荷車の中の荷物を運んでいたが、布の内側へと運ばず、外側へと置いて行った。


 どうせなら、こっちに持って来いよ・・・しょうがない。


 物資を内側へと持っていくべく、治療に当たっていた人の一部と共に荷物をこちらへと運び入れた。


 この量でも足りないな。もっと必要だな。こんな事ならもっと回復魔法が使える奴を探せばよかった・・・


 今更、後悔していた。ふと見るとシスターがいなく、どうやらでくの坊と話しているようだ。まぁいい。さっさと治療に当たろう。物資を取り、治療に当たる。今治療している奴は先月ばかりに入ってきた奴だな。片腕が爪に裂かれたなのか肘の所で失っており、血が溢れていた。血が大量に失っているのか唇が変色していた。冒険者として、ここからだろうが。こんな所で死ぬなよ・・・

 布で血を拭い、血を止めようと応急手当をしようとするが、赤く塗られている傷口のせいで手当がなかなか出来ない。

 すると、突如、布を捲るような音が聞こえた。あのでくの坊かと期待せずに見てるとでくの坊ではなく、黒髪黒目の女性だった。女性は袖がなく、腹の所も破けていて、くびれが見えている上、スカートも破けていて下着が見えそうな服を気にせずに言った。


「俺は回復魔法が使えます」


 黒髪の女性は空に手を上げ、その呪文を黒髪の女性は唱えた。


「エクストラヒール」


 青白い光が手から発する。その光は立てていた布を揺らしていた。先ほどまで治療していた新米冒険者に光が包み込み、傷口から血が止まり、唇もだんだんと色が良くなってきた。周りも見てみると同じような現象が起きていた。

 目の前の状況に驚き、やっとの事で口から言葉を絞り出した。


「…………な、なかまはたすかったのか?」


 その声で教会のシスターと他の人達は布に寝かされている人達の顔色や脈を確認していた。教会のシスターは確認した後、信じられないように呟いた。


「……全員、顔色、脈拍が安定しています。全員助かりました」


奇跡だ。仲間は助かったんだ。


 俺は奇跡を起こした黒髪の女性に感謝の言葉を述べる。周りも仲間が助かった喜びと目の前の奇跡で興奮して、特にシスターが興奮していて、黒髪の女性の手をとり、お礼を述べていた。


「助かりました。何所からいらっしゃったのですか?しかし、すごい回復魔法ですね!その魔法はどこで覚えたのですか!?」


 黒髪の女性は目の前のシスターに困ってるし、周りの仲間、特に男が女性の破けている服を見て、興奮しているな。ったく、調子に乗りやがって・・・


「困ってるじゃないか。教会の方。それにその方、服が破けてるじゃないか。先にそれを何とかしてくれ。仲間達がいやらしい目で見ているじゃないか。それからでも質問すればいいじゃないか」


 シスターはやっとのことでその事に気づいたのか、荷車に代わりの服があるようなので、シスターとともに黒髪の女性は荷車の所へと行った。

 俺は気がぬけている男性達に気を引き締める為に怒鳴りつけた。


「そんな暇あるのなら!死者をいつまでもそのままにしとくな!さっさとしろ!」


 その怒鳴り声で男性達は一斉に散らばり、崩れた壁に持たれこんでいた人、体が上下に永久に分かれてしまった人、肌が焼けただれていて、頭蓋骨が見えている人、治療が間に合わずに亡くなった人達を布を巻き、並べる。先ほどまでの興奮が嘘のかのように空気は落ち込んでいた。ある者はパーティ仲間が死んだ事を知り、涙を浮かべた人や彼女彼氏が亡くなった事を知り呆然としている人もいた。


 そのままにしとくも死者の冒涜だしな。しょうがない・・・・


 布をめくる音が聞こえ、シスターは黒髪の女性と共に私の手を引っ張り、俺の所へと来た。黒髪の女性はシスター服を着ていて、敗れていた服はシスターが持っていた。しかし、そんな中でも、黒髪の女性とシスターに聞こえないように声を抑えていて話をしていた人がいた。


「マスターのせいでせっかくの色気が・・・」

「いや、これはありだな」

「ありだな」


俺はその男達を睨み付けていた。せっかくの恩人に失礼だろうが。男達はその睨みを反応するように散り、せっせと治療にあたった。


「仲間が気を悪くてすまない。また改めてお礼を言おう。仲間を救ってくれてありがとう」


 女性は謙遜していたが、まぁ本当に助かった。来なかったら、もっと仲間が減っていただろう。しかし、女性は並べていた遺体を見て、何やら落ち込んでいる。優しい人だな。

 俺は女性に励そうとしたが、女性はさらに落ち込んだ。俺は何か悪い事言ったのか?わけわからない・・

 女性達は俺に非難の眼を向けていた。シスターはその状況に対して、助けの船をよこして、監視するという名目でその場を立ち去った。

 監視するって言っても、ドラゴンが来たおかげ、いやドラゴンのせいで平原の魔物は逃げただろう。監視は特に意味はないだろう。しかし、それにしてもあの女性は何処から来たのだろうか。黒髪だから、遠い国だな。あの魔法と容姿だ。あのような女性がいた事は初耳だ。恩人なのは変わりないが、素性がわからない今感謝はするが、信用は出来ない。信用するかどうかはギルドマスターとしての俺の責務だ。どのようにあの女性の事を知ろうか…………


 監視はせずに思考にふけていると背後から和気あいあいとした場に似合わない声がした。振り返ると恩人は冒険者の女性に囲まれていて、何かやってるみたいだ。

 和気あいあいとした声はいつも聞いていたが、何時もよりも覇気がない。無理やりと和気あいあいにして、黒髪の女性、なんとか光を励まそうとしているのか。


 ……考えてもしょうがないか。後日改めて聞くとするか……


頭を切り替えるために怒鳴りつける。


「何やってるんだ!恩人に失礼だろうが!」







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