始まり
沢谷光治は2つの願いを何時も願っていた。
1つの願いは何処かへ遊びたい。
何故なら、沢谷光治は武道の家で生まれた。
その家の家訓として、男性は勇ましく。女性は淑やか。という現代では古いルールが現在も続いていた。故に幼少の時から、武道、剣道、格闘術等を週6-7日、練習を行っていた。それが10年近く続いていた。友達からの誘いも練習時間のせいで誘いを断り、小学校、中学校、高校生時代、学校の帰りに駄菓子屋の買い食い、カラオケ等の遊びも行けずにただ練習を行っていた。遊びに行く友達の背中をじっと見に行く内に沢谷光治の心の中では何処かへと遊びへ行きたいと考えていた。
もう一つの願いは性別を変えたい。
沢谷光治には妹がいた。
妹も沢谷光治と同様に家訓の下に女性の嗜みを覚えるべく、華道、弓道、護衛術等を週6、7日、練習を行っていた。
ある時、沢谷光治が武道の練習にて怪我をし父に怒られ、練習場の縁側にて休んでいたら、ふと妹の華道の練習が眼に入った。
隣の芝生は青いという諺があるのだが、まさに沢谷光治の心情はそれだった。華道をしている和服の妹は父親に練習で怒られ落ち込んでいる沢谷光治には眩しかった。この時からだろうか。女性になれば、こんな練習しなくていいのだろうかという気持ちが目覚めたのは。
しかし高校時代、去年まで女子高だった共学の高校に入った。しかし、女性に近づくにつれ、華道をしている和服の妹の眩しさに比べて、余りにも酷い場面に遭遇し、別に男性のままでもいいんじゃないかという気持ちが目覚めた。
だが、年を重ねる毎に練習の量や質が増えていき自分の時間が取れず、ただ練習をこなしていた。対して、妹は練習が年を重ねる毎に練習が減り、何処かへと出かける様になっていた。
その姿を見て、沢谷光治は家では女性。他では男性で過ごしたいという思いが生まれた。しかし、現実はそうもいかない。沢谷光治は何時も通り練習を行い、唯、就寝する。
頭の中でいつもこの2つの願いを繰り返して、眠りにつく。
性別を変えて、何処かへと行きたい・・・・・・・
その時であった。
沢谷光治の頭に直接誰かが話しかけた。
その声は男性にも女性にもとれる中性的な透き通った声だった。
ーその願い 叶えましょう―
変な事になる上で承知の上で書かせてもらいます。それも時間をかけて直していきたいと考えています。