4/4
4
―その後、教室ではおかしなことは一切起こらなかった。
やがてクラスメイト達も交霊術に飽きて、やらなくなった。
女の子もおとなしく勉強に専念し始めた。
私は心の中で、女の子に少々詫びた。
あの時、私は言葉では召喚の言葉を発していたものの、力では逆のことをしていた。
つまり、呼び寄せないように力を使っていたのだ。
あの女の子は呼び寄せる力はあれど、返せる力などなかった。
だからこの教室にたまり、悪さを働いていた。
だが私が『拒絶』の力を発揮したせいで、一掃した。
紙に描かれた門から、下級のモノ達を逆に返したのだ。
あのままでは下級のモノの溜まり場になっていただろう。
下級のモノの厄介なところは、集まり過ぎると共食いをはじめ、中級―上級へと進化してしまうところ。
やがては人間に悪さどころじゃないことをするだろう。
大抵の人間がそうだが、呼んでも返せない。
呼ぶよりも、返す力の方が強くなければならない。
そうじゃなければ…。
私はあの女の子を見た。
彼女のように、呼び寄せたモノに取り付かれてしまうのだ。