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君が選ぶのは〜過去と未来の勇者〜  作者: ぬしぽん
第四章

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ep.77 ミアの覚悟

 「なんだ!?歪み始めたぞ!」


 「アーノルド」


 アーノルドは聖域に引きずり込まれる直前に発動していた、堕天ノ槍ベリアルランスを前方に突き出すと、ミアの元へ前進した。


 破壊魔法 堕天ノ槍ベリアルランス


 神話の武器 堕天ノ槍ベリアルランスをこの世界に顕現させる超高位魔法の一つ。その槍は、かつて神に単騎で挑んだ悪魔が使用したとされ、神体すら貫く攻防一体の突きを可能とする、まさに神殺しの武器である。



 ※その場から動くことを禁ずる



 「か、身体が…動かないぞ!?」


 困惑するハーベルと同様に、槍を構え駆け出したアーノルドは聖域の効果により身体が硬直し脚を止める。


 「行け」


 しかし、身体が完全に固まる直前、堕天ノ槍ベリアルランスから手を離した。槍はその速度を保ち続け、目標を貫通すべく宙を切り裂く。



 ミアは指先に純白の羽毛を形成させる。羽毛を空間に溶け込むように散らすと、周囲には絶対防御の領域が展開され、飛来する堕天ノ槍ベリアルランスは身体から10m手前で赤く色を染め霧散した。



勇者ノ盾ディフェンスオブアレス



 「二種類の力を同時に使用されるとは…ですが、処理は追いつくのでしょうか?」


 その間もイリアが展開した死ノ黒蝶達は聖域を破壊し続けていた。聖域内はヒビ割れ、空間も歪み始める。


 「ごほっ」


 力の反動により、ミアの鼻からは更に多量の出血が見られ、鼻血は口にまで侵入し口外へと吐き出された。


 「ファブリソ。ダメ押しよ」


 「いや、その必要はない」



 ファブリソが天井を見上げると、聖域は崩れ落ち、四人とミアは荒れた街へと帰還する。



 「なんだよ。大したことねぇじゃねぇか」


 「…おかしい。この程度で英雄ノ聖域が破れるなんて」



 「ミア様…大人しく負けを認められてはどうですか。そのお身体で私達を止めようなど…今ので確信しましたよ。貴女は700年前に魂を使い切っていると」


 「そうか…そうゆうことだったのか」


 「イリア、ファブリソ!お前らだけわかった気になるのはよせよ」


 「ハーベル。あの御方はもう全盛の力を出すことはできない。とうに限界を迎えているのだ」


 「出涸でがらしって事か!ヒハハ!何が最強だよダセェな」


 ミアは口から滴り落ちる血を袖で拭うと、身体を左右に揺らしながら姿勢を保ち続けた。


 「言ったはずだ。真っ向から受け止めると」


 「いいえ。もう終わりです。これで私達は思う存分魔法を使えるようになりました。その勇者ノ盾ディフェンスオブアレスだって、吹けば飛ぶ程度の耐久しか無いのではありませんか?」


 「ヒハハ!どれ。確かめてやろう」



—持続魔法 憎魔ノ惨壊雨



 ハーベルはミアの周囲へ、鉄をも溶解させる霧を発生させる。霧はミアの勇者ノ盾の領域内に侵入すると、赤く色を染められ効果を無くした。だが—


 「効いてる、効いてる」


 ミアは再び出血する。先ほどまでの鮮血ではなく、どす黒い色の血。恐らく内臓までもが損傷しているのだろう。その場に立つだけで限界であることは、誰の目にも明白だった。


 「ミア様ともあろう御方が…これ以上は見るに堪えませんね。さっさと死んでください」


—破壊魔法 裁ノ黒蝶さばきのこくちょう



「ミア様。御達者で」


—破壊魔法 堕天ノ槍ベリアルランス



 「これ以上、ミア様を苦しませたくはありません。どうか最後はこれで…」


—破壊魔法 聖帝ノ炎イノセントフレア



 「ヒハハ!死ねや!!」


—破壊魔法 業火ノ贖ごうかのあがない


※※※※


 『ミア様。たまにはお出かけになられるのはいかがでしょうか?近場に美味なシチューを出す酒場があるんですよ!勿論、代金は私が…あれ…?あ!そういや…この前酒を飲み過ぎて…すみません。また今度では…』



 『私は300年前に家族を失いました。ですがこうして生きる意味を見出せたのも、ミア様のお陰です。この恩義、死ぬまで忘れないでしょう』



—ファブリソ…




 『ミア様の為ならこの命すら惜しくありません』



 『は…こ、珈琲ですか?グ、グレア!』



—アーノルド…




 『うふふ。この宝石はミア様の為にご用意いたしました。よくお似合いです。ああ!外されてはダメです!』



 『この戦いが終わったらですか?そうですね〜。私は回復魔法が得意なので、世界中を周って苦しむ人々を救う。なんて…うふふ。似合わないですかね?でも世界中周るのは楽しそうです。その際はミア様もご一緒にいかがでしょうか?』



—イリア…



※※※※


 ミアは目をゆっくり開くと、眼前に右手の人差し指を立て、一羽の羽毛を形成させる。指先からふわふわと落ちた羽毛は大地に触れると、地面に巨大な魔法陣が展開された。



 「すまないが、お前達には生かす価値が無い」



 魔法陣の中心から一筋の光が放たれ、天へと伸びた。すると、空から一本の剣が降臨する。



※※※※


 大粒の汗を流しながら現場へと駆けるグレアは空を見上げ、その光景に絶望を覚える。天から舞い降りるそれは、1000年前、魔王を滅ぼした禁忌の代物。


 「あれはまさか…」



勇者ノ剣ソードオブアレス

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