ep.76 ミアの聖域
ミアは指先に形成した一羽の羽毛を地面へ落とすと、大地は輝きを放ち、足元には巨大な魔法陣が展開される。
「あれは…勇者ノ盾!?」
「あ?ディ…なんだって?」
「いいえ。違うわファブリソ…あれは聖域」
—英雄ノ聖域
展開された魔法陣が上空へ光を放つと、
四人の視界は白一色に埋め尽くされた。
「くっ…眩しっ…い?」
一同が恐る恐る片目で辺りを確認すると、地面には白い花畑が広がり、フローラルな香りが鼻腔へ侵入してくる。360°見渡した景観は外のそれでは無く、白い壁と天井に覆われていた。
「あー、なんだぁ?何処だここは!?とりあえず目標発見!ヒハハ」
—破壊魔法 業火ノ
※詠唱は禁ずる
「あ…が……が。どうなってんだ!?」
呪文を唱えようとしたハーベルは突然喉が詰まり、それ以上の詠唱は中断された。
「ハーベル…無駄だ。この聖域内におけるミア様は絶対」
「アーノルド…なんか知ってんのか?」
「英雄ノ聖域 天界から神の城の一部を呼び寄せ、侵入した者に一切の権利を与えず、自身には不都合が起こらない絶対空間を作り出す。滞在時間が長ければ長いほど影響は強まり、そのうち手がつけられなくなる」
「んだよ…その理不尽の詰め合わせは!」
「ええ。完全に魔法が使えなくなる前にどうにかしないとね。ファブリソ」
「ああ」
ファブリソは無詠唱化させた召喚魔法を展開する。上空には裁ノ方舟が出現し、両側面に飛び出た大砲は地面へと雷を放つ。そして甲板に乗船していた魔獣たちが姿を現し次々と下船を始めた。
※人間以外の侵入は禁ずる
だが、聖域の力によって、
魔獣達は地に脚を付けた途端に塵となる。
「くっ、少し遅かったか!」
「いいえ、そのまま攻撃を続けなさい!」
イリアの指示でファブリソは方舟へ指令を出すと、振り注ぐ雷はさらに威力を高めた。
ミアは左手の人差し指を眼前に立て、再び羽毛を形成させる。息を吹きかけると羽毛は散らばり、真っ白な弓と矢へと形を変えた。
—勇者ノ矢 大天使の弓
弓に矢をつがえて軽く引くと、呼応するかのように辺りの空気が脈を打ち始める。振り注がれた雷は空気に圧され、ミアを避けるかのように地に落ちた。
ひゅん
ミアの指を離れた矢は線を引くように真っ直ぐと飛び、衝突した裁ノ方舟は姿を消し、その場所には無数の赤い羽毛だけが舞う。
「俺の方舟が…それに…やはり聖域内のミア様にはダメージは与えられないか」
「ヒハ…もう逃げたほうがいいんじゃねぇか?」
「いいや。逃げることは出来ない。敵対した者が出会えば最後。あの御方はそうゆう存在だ」
「ああ。アレと対峙するというのは、神に抗うに等しい…ミア様こそ世界最強の御方。イリア…どうする?」
「うふふ。流石はミア様。でも…これはどうかしら?」
ミアが意識を方舟に向けられてる間、イリアは聖域内に死ノ黒蝶達を飛ばしていた。壁に張り付いた黒蝶達は自爆し、破壊の限りを尽くす。
すると突然、弓を持つミアの鼻から血が滴り落ちた。
「ほら〜!やっぱりガラクタだ♡」




