ep.53 ハーリィ
「うふふ。子供に手を上げるだなんて、最低の男ね」
―ちがうの。あたしがわるいことをしたから‐
「ほら、アナタも清々するでしょ?」
―やめて
「うふふふ。最後に何か言ってあげたら?」
―おとうさんを…ころさないで…
あたしがわがまま言ったから、ごめんなさいしなかったから。おとうさんはいつもはやさしいのに
〜
「クイーン…なんですか?このガキは」
「うふふ。可哀想だから拾ったの。とってもノロマさんだからハーリィって呼んでるわ」
「そうですかい…確かにガキにしちゃ死んだ目をしてますね。で、何故ここへ?」
―しらない男の人たち、こわい
「拾ったはいいけど、数ヶ月連れ歩いても特に使い道が思いつかなくてね。ミドラ、有効活用してあげてね」
「…わかりました」
―あたしはどうなるの?
〜
「戦えねぇ、雑務も出来ねぇ、魔の種にも適性なし。てか何で生きてんだこいつは」
―ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
「チーフ…このガキ邪魔にしかならないですよ」
「はぁ。捨てようにもクイーンになんて言われるか…」
「ごめんなさ」
「オラァ!ガキ!敬語ぐらい使えや」
「ご、ごめんなさい……です」
「魔石でも持たせて投げさせましょうよ。それくらいなら出来るでしょ」
「チッ、しょうがねぇな」
―この石を投げる。この石を投げる
〜
「うふふ。ミドラから聞いているわ。ハーリィはとっても良い子だって」
「はいです!」
―クイーンはとっても優しいけど…やっぱり怖い。
〜
「ゴーレム。今日も頑張るです」
「お、ハーリィ。板についてきたじゃねぇか」
「はいです。しっかり皆のサポートするです」
―こうしたら皆から褒めてもらえるんだ。もう怒られないんだ。
〜
「ハーリィ!あいつはロイヤルの副隊長だ!いつも通り頼むぜ!」
「はいです!」
―ごめんなさい
〜
「そこの者達。すまないが、少し道を尋ねたい」
―あ、とってもきれいな女の人
「ああ?ガキ、さっさと道を空けねぇか」
「急いでいたのか?それはすまなかった」
「ハーリィ。邪種を出せ」
「でも…道を空けてくれるみたいですよ…」
「さっさとやれ!」
「…わかったです」
―ごめんなさいごめんなさい
「ゴーレム!」
「そうか。君達は敵なのだな」
―え…今なにが…ゴーレムさんたち…
「な、貴様どうやって…ハーリィ下がってろ」
「は、はいです」
―チーフが邪徒化しちゃった…これじゃあもう
「お、おい。なんなんだこいつは…化け物か…」
―どうして!?チーフの攻撃が…
「…ハーリィ!こいつを足止めしろ!早く!」
「で、でも!」
「うわぁああああ」
―チーフ!待って。置いてかないで。あたしを一人にしないで!お父さん…
「どうやら、あの者を追えば良さそうだな。ふむ…」
―ああ、綺麗なお顔。瞳の奥まで。この人はなんて綺麗なんだろう…あたしは…やっぱり殺されちゃうのかな…
〜
「ミア様…この子はいったい…」
「拾った」
「いやいや、子犬じゃないんですから!お嬢さん、お父さんとお母さんは?」
「い、いない…です」
「え、いない!?」
―正直に言ったら…でも他に居場所もないから
「あ、あたしはヴィクトリアで…」
「……ミア様」
「私は構わないぞ」
「ですが…」
「君、名前は?」
「ハーリィ…です」
「そうか。ハーリィ、これからの事は君の好きにするといい」
―え?
「はぁ。ミア様がそうおっしゃるのであれば仕方ないですね」
―殺さないの?どうして‐
「望むのであればグレアに送らせよう」
「ミア様、大変申し訳ございませんが…ヴィクトリアの拠点までは…」
―帰る?クイーンのところへ?それならいっそのこと
「あ、あたしをここで働かせてください!!」
―言っちゃった…
「は!?」
「そうか。グレアも丁度人手が欲しかっただろう?」
「ですが…この子はヴィクトリアの者ですよ?」
「先程、好きにしろと言ってしまってな」
「あ…そ、そうでしたね!ミア様が約束を破るなど!」
「ハーリィ。この家の事はグレアに教えてもらうといい」
「グレア…さん?」
「はい。グレア・モルペンデルです。ハーリィさん、私は厳しいですよ?覚悟はいいですか?」
「は、はいです」
「では行きましょうか。仕事は山積みです」
「そ、その前に…あなたのお名前も…」
「ああ。すまなかった。私の名はミア・リヴェデーレだ。ミアと呼んでくれ」
「ミア…様」
―私の新しいご主人様




