表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君が選ぶのは〜過去と未来の勇者〜  作者: ぬしぽん
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/100

ep.45 新技

 第二試合 井上 楓vs真城 咲


 会場にいる観客達は気づいていた。これが実質的な優勝決定戦である事を。純正神器同士のぶつかり合い。前年度優勝者の前に立つダークホース。


 「楓さん…でしたわよね?ごきげんよう」


 「あ、あぁ。はい。こんにちは」


 意外にも彼女の楓に対する態度は丁寧なものだった。以前出会った際は宣戦布告、つまり喧嘩を売られたのだから、その落差に面を食らっていた。


 「まさか純正神器の適合者だったなんて…井上という神器の家系は存じ上げませんわね」


 「家族は関係ないです。突然使えるようになって…」


 「まぁ!そういった事もあるのかしらね」


 『両者、位置について』


 会話の途中だが、審判から合図がかかり両者は距離を取り始める。


 「私に油断はありませんわ。覚悟なさいませ」


 「こちらこそよろしくお願いします」


 会場は先程とは一変、皆が固唾をのみ静まり返っている。そんな中、空気を読まない声援が飛ぶ


 「カエデさーん!能力使われる前にヤるべしッス!」


 「ちょっとエイタン!相手にも丸聞こえだから…」


 

 (エイタン…そうだよな。使えるかわからない能力じゃなくて、これまでの修行を…自分の努力の成果を信じなきゃ)


 「始め!」


 審判から開始の合図が出た。しかし、両者は一歩も動かない。先程の一戦を見て警戒しての事だ。


 (なら、先手を打つ!)


 相手が動かないとみて、楓が一気に間合いを詰めた。勝機があるとすれば、エイタンの言うように早期決着。グレイドに力を送り込み、胴体を狙った一閃


 「心外ですわね」


 咲が神器を起動させ、楓のグレイドの直撃を片手に持つ刀で防いだ。受け流した訳ではなく正面から力を拮抗させたのだ。


 (身体能力の向上を使った攻撃だったのに、軽々と防がれた!?)


 「先程のアナタへの助言、能力がなければ私に勝てると?」


 楓は咄嗟に後ろに下がり距離を取るが、咲の追撃が来る


―破の型  綻ノ詩ほころびのうた


 「やばっ」


 尋常ならざる脚力で間合いを詰め、息をつく間もない程の連撃が楓を襲う。純正神器による身体能力を向上させた咲の刃は、常人の認識速度をとうに超え、音を置き去りにしていた。


 楓は即座に防ぎ切ることは不可能と判断し、咄嗟にグレイドの出力を上げ、自身の横方向に全力で跳んだ。その様子を見た会場から歓声が沸き起こる。


 『やっぱり真城先輩は別格だな』


 『ああ。あの人が負けるはずが無い』



 真城 咲


 純正神器の適性を持つ家系の一人娘であり次期当主。真城家は神器を扱うだけではなく、先祖代々武道の教えに重きを置いている。全国に道場を持ち、門下生の数は万を下らない。生まれながらの戦士だ。


 「逃げてばかりでは始まらなくてよ?」


 「前にラグナにも同じ事を言われたな…」


 すぐに引いてしまうのは自分の悪い癖だと反省しつつ、次の一手を考える。確かにあの夢以来身体は勝手に反応するようになった。それでもエイタンや咲のように自分の身体能力を上回る相手には対処しきれない。しかし—


 「見せてやろうぜ。グレイド」


 楓はグレイドの出力を一気に上げた。それはエイタンとの修行中生み出された必殺技。


—制御出来ないなら、全力でぶっ放せばいいんスよ!


 そして全力でグレイドを振るった。刀身に纏われた赤いエネルギーは斬撃に形を変え、相手の元へ飛んでいく。


 「ぐっ!」


—柔の型 花ノ綻はなのほころび


 咲は自身を襲う斬撃を正面から返り撃とうとしたものの、その威力は凄まじく、辛うじて横に身体の横に逸らすことで免れた。




 「お!使ったッスね!アタシと考えたワザっす!」


 「エイタンが教えたの?」


 「はいっス!名付けてエアブレイク!」


 「安直ね…」



 「ここだ!」


 楓は咲が体勢を整える前に、一気に間合いを詰めると再び胴体めがけてグレイドを振るう。先ほどとは違い、出力を上げての一撃。しかし、崩れた体勢から咲は反撃の技を繰り出した。


—破の型 綻ノ舞ほころびのまい


 片膝を地面につけたまま、縦横無尽に刃を振るう。つけ入る隙が無く再び距離が開いた。


 (あの人…やばいな。近づいてもまるで隙がない)



 「相手の方もかなりやるっスねー!あんなの見せられたらアタシも自信なくすっスよ」


 「ええ。真城 咲は接近戦で無類の強さを誇る。エイタンやラグナでも厳しいと思うわ。組織に声をかけられるだけあるわね」


 

 「エ、エアブレイク!」


 楓は近距離戦は難しいとみて、技名を口に出すのを恥ずかしがりながら複数の斬撃を飛ばす。羞恥心に襲われながらも叫ぶのはエイタンにそう教わったからだ。


 「懲りないですこと」


―柔の形 蝶ノ綻ちょうのほころび


 咲は飛来した無数の斬撃を、当てる刃に角度をつけ軌道を逸らした。


 (既にエアブレイクにも対応して来たか…!)


 「ふう。このままでは埒が明きませんわね…いいでしょう。お見せしますわ。スサノオの能力を」


 咲がスサノオを地面に突き刺すと、何処から持ってきたのか…花びらが宙へと舞った。


 「なんだ…あれ…?」


 楓の視界がぼやけ始める。目にゴミが入った訳でも、涙が出たわけでもない。



 「スサノオ…別名酒気帯びの刀」


 「あちゃ~!流石にゲームオーバーっスかね。カエデさんもろハマっちゃった見たいっスよ!」


 「ええ。それにしても、起動した直後にあそこまで影響されるだなんて…あの即効性は驚異的ね」


 スサノオ

 神器の中でも珍しく、属性では無い幻惑系の能力を持つ。当然邪種にも効果は絶大だが、人間相手にも関係なく作用する。その能力の有用性はロイヤルから声が掛かるほどのもの


 「カエデ…大怪我をする前に棄権するのよ」



 「くそっ…目が霞む。それに頭がくらくらして…ッ!」


 楓の身体に咲の刀が振るわれた。刃はコーティングしているので切れることは無いが、それでも常人なら立ち上がれない程の衝撃だ。


 「隙だらけでしてよ?」


 「ぐぅ!!まだっ」


 楓はグレイドを振り回し、自身を守る。


 「そんなものが通用するとでも?」


—破の型 —


 (不味い…俺は負けるのか…?)


—カエデ、楽しみにしているぞ


 「まだだ!」


 意識が定まらないまま、グレイドの出力を最大まで上げ回転した。今は立て直す為の時間が欲しい。その凄まじい風圧に、咲は堪らず距離を取った。


 「無駄な悪足掻きはおやめくださいませ」


 「そうはいかねぇな…」


 (とは言ったものの、意識が途切れそうだ…眠い…頭が痛い…相手の能力をどうにかしないと…)


 ふと楓が自身の右手の甲に目をやると、赤い光が噴き出していることに気づいた。


 「まさか…能力が…」


 赤い光は収束していき、鳥の形に姿を変えた。


 「またあの鳥?…いや、なんだ…輪?」


 何故だか鳥の頭の上には赤く光る輪が付いている。鳥はこちらに頭を下げると姿を消し、手のひらには輪だけが残った。


 「ええ!?あの鳥どこ行った!なんだこれ」


 「終わりですわ」


 慌てる楓に容赦なく斬り掛かった。身体能力の向上を最大にしトドメの一撃を—


 「ええい!ままよ」


 楓は意識が薄れる中、気配の方へ…手に残った輪を咲へと投げつけた。


 「なんですの!?」


 咲は咄嗟にガードを試みたが、輪は刀をすり抜け、腕輪のように手首へとつけられた。



 「ミア様…あの技は」


 グレアはこれから起こる未来を予測し顔を引き攣らせた


 「ああ。久しいな」


勇者の楽園サブミットトゥザアレス


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ