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君が選ぶのは〜過去と未来の勇者〜  作者: ぬしぽん
第三章

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ep.41 宣戦布告

 毎年一月中旬に開催される全国高校神器トーナメント。全国の神器科高校生1080人の中から頂点を決める大会だ。勿論、出場するのは志願した者のみで、そこから予選で中〜遠距離の部門、近距離の部門それぞれ52名の104名にまで絞られる。


 剣など近距離型の神器はコーティング等で殺傷能力をある程度抑えられるが、銃などの遠距離型の神器は難しい。なので神器のタイプによって大会の種目が変わってくるのだ。


 この国で神器科が導入されているのは、まだ3つの高校しか無い。つまり予選とは行っても、結局は各々の学校の代表者を決める、いわば部活のレギュラー争いのようなものだ。予選が本戦の一週間前と極端に期間が短いのは、より公平性を担保する為。


 楓の高校の神器科は一学年60人。つまり多くても180人までしか居ない。その中に楓がバレずに紛れ込むのは不可能。



 「凄い空気だった…誰アイツ?みたいな」


 「おつかれ。それで?どうだったの?」


 「よくわかんないけど…合格だってよ」


 何故かはわからないが、楓だけは他の生徒達と違い、別室に案内されて筆記テストと神器の起動確認をしたのみだった。


 「あら!今日はお祝いね!」


 あの空気を味わうのは苦痛だったが、自分のことのように喜ぶカリサを見て楓は一先ず安心した。


 「おーい。井上!」


 「あれは…」


 神器科に知り合いなど居ないと思っていたが、一人いた。瞬と同級生だった不良の末藤だ。


 「お前が居たからびっくりしたぜ」


 「ははは…俺もびっくりしてるよ…色々あってな」


 「なんだ。カエデ神器科にお友達がいたじゃない!」


 「友達というか…なんというか…」


 末藤と会話をするのはこれで三回目。いや、一回目は会話というより絡まれただけだが。


 「なるほどな…まぁ、俺は落ちちまったが応援するぜ。本戦頑張れよな!」


 「ああ。ありがとう!」


 神器科でない生徒が急に出てきて、本戦出場を勝ち取る。こんな珍事件を、普通はなるほどの一言では済まさないと思うが、末藤は素直で根はいい奴なのだ。実際、楓の合格が言い渡された際は他の生徒達から称賛の声は上がらず、ただ睨見つけられるだけだった。


 「なんだ?有名人でも来てるのか?」


 楓がふと会場の入り口に視線を向けると、神器科の生徒達による人だかりが出来ている事に気づいた。


 「あれか…あれは真城先輩の取り巻き達だな」


 「真城?」


 「知らないの?二年生の真城 咲。うちの高校で三年を含めても実力はナンバーワン。そして神器科のアイドルでもあるわね」


 「へぇ〜。そんな人が…」


 「純正神器家系の名門 真城家の一人娘で次期当主だ。生まれながらにして優遇されてんだよ…」



—真城さんお疲れ様でした!


—咲先輩!素敵


 溜息を吐く末藤を余所に、生徒達からの歓声が上がり始めた


 「お出ましね」


 「あれが真城先輩か」


 囲み取材のような人混みの中心を歩く一人の女子生徒。前髪は目の上で真っすぐ切り揃えられ、後髪は腰まで長い。お姫様カットというやつだろうか。色白で華奢に見えるが、160cm後半はありそうな身長と、少しつり上がり気味の鋭い目つきは、学生ながらクールで大人な雰囲気を思わせる。


 「凄い人気だな…。ん?なんだ?」


 真城 咲が見物してる楓と目を合わせた途端、一直線に近づいてきた。彼女自身の存在感も凄いが、取り巻き達も着いてくるので中々の迫力だ。そしての正面に立つと、突然楓の顔に人差し指を向けた。


 「えっと、なんでしょうか?」


 「アナタ…どんな手を使ったかは存じ上げませんが、卑怯者は私が叩きのめしますわ」


 取り巻き達から歓声が上がる。余程、本戦出場を決めた楓に不満が溜まっていたのだろう。


 「私は真城 咲。アナタのお名前を聞いても?」


 「…井上 楓です」


 「楓…ね。それでは本戦でお会いしましょう」


 捨て台詞を吐き捨てると、咲は取り巻き達を引き連れ去っていった。


 「嵐のような人だったな…」


 「井上。お前完全に目つけられてたぞ」


 「何もしてないのに…」


 その後末藤に別れを告げ、祝の為の食材を揃える為、カリサとスーパーへ向かった。





 「ミア様いかがでしょうか?」


 「悪くは無いが…大きすぎると少し見づらいな」


 グレアとミアは家電量販店に来ている


 「ではこちらのサイズは」


 「ふむ。それだとカエデの勇姿がしっかり捉えられるか疑問だな。やはり大きい方がいいのだろうか?」


 ミアは椅子に腰掛けながら、売り物のテレビを吟味している。ここ数日、あまりに悩んでいたのでグレアは椅子を持参し、実際に自宅で見る時と同じような状況に近づけていた


—店長なんですかあれ?


—あん?いいんだよ。宣伝になるだろ


 椅子に座りテレビを眺めるミアに、他の買い物客達は足を止め、老若男女関係なく熱い視線を送っていた。それは自宅の椅子を持ち込む変人をみる目ではない。ミアの神々しさまで感じさせる整った容姿から、つい目が離せなくなっているのだ。


 「グレア。君はどう思う?」


 「そうですね…」


 グレアは主のこだわりの強さをよく理解している。決めきれないなら複数台設置すれば良い。というものでも無いのだ。求めて居るのは完璧な1台…


 「なんだあれは…」


 すると主が驚愕の声を上げた。勿論大きな声では無いが、普段と声色の違いでグレアにはその感情が伝わった。視線を向けると、そこにあったのは3D対応テレビのコーナー。


 「あれであれば余すこと無く観戦出来るな」


 「ミア様…あれだと画面酔いしてしまう可能性が…」


 「画面酔い?…よくわからないが、私はあれが気に入った」



 そうして購入され家に持ち込まれたテレビは、一度の視聴の後、再び3D機能を発揮する事は無かった。

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