ep.36 アンディ
オーフィス騎士団 五番隊隊長フェン・イーゲルト
その完璧主義で厳格な性格から、他の隊長や組織の上役達からの信頼も厚い。隊長が悪魔の川を離れても隊が機能しているのは、彼の優秀さの証しでもある。
「以上が五番隊副隊長エイタン・ニケルメからの報告になります」
現在フェンが前にしているのは、組織の長。頭髪は白一色で染め上げられ、顔のシワの深さから五十歳くらいと思われる。しかし、ピンと伸びた背筋とたくましい肩幅、鋭い眼光からは年齢を感じさせない迫力がある。当然、彼が生きて来た歴史は五十年程度では済まされないのだが。
「御苦労」
「グレアという人物はエイタン達の手に余るようですので、私が捕獲して参りましょうか?」
「ほう。君がグレアを?ふははは—」
フェンが笑われている意味を理解できずに困惑していると、ボスは長めに息を吸って落ち着きを取り戻した。
「すまない。君を侮っている訳では無いよ」
「はっ!」
「フェンよ。一つ聞かせてくれ。君は一騎打ちで私に勝てると思うかい?」
オーフィス騎士団の長 アンデロ・イ・ハンクス。フェンは自分どころか、世界中を探し周ってもこの男に勝てる存在など居ないと確信を持っている。
「とんでもございません。他の隊長達、いえ。一番隊から五番隊を含めた、全ての隊員達で挑んだとしても、アンディ様には敵わないと思われます」
「そうか」
「申し訳ございません」
いくら長とはいえ、その足元にすら到達出来ない自分の無力さを恥じ、フェンは深々と頭を下げ反省の意を示した。
「うん?ああ、勘違いしないでくれ。先程の質問にその様な意図は無いよ。エイタン達には手出し無用と伝えてくれ」
「はっ!では失礼致します」
フェンが部屋を退室したのを見届け、アンディは椅子から立ち上がると、ウィスキーを片手に窓の外を眺めた。
「…グレアが生きていたか。果たして君は…あの御方を見つけられたのかな?」
—我らが主様を
〜
「では行ってきますです!」
準備はバッチリ。
「うふふ。気をつけるのよハーリィ」
「はいっ!お任せあれです!ゴウラ?とかいう奴の無念はウチらが晴らすです」
第二章〜完〜




