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君が選ぶのは  作者: ぬしぽん
第一章
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ep.9 襲来

 (ミア様は問題無く過ごせているでしょうか?)


 グレアは憂慮していた。700年もの間眠り続けていたミアは学校どころか現代の常識も当然ではあるが知らない状態だった。出来る限りの解説はしたが数ヶ月で全てを網羅するのは現実的に不可能だ。


 初日くらいはこっそり様子をみたいところではあるが、グレアはこれから新居の整理をしなければならない。以前の住居はミアの力によって立派な家へと変貌してはいたが廃虚だった場所に住み続けるのはごめんだし、学校に通うのであれば立地的にも不便だ。


 「一段落したら私も通おうかしら?」


 生徒としては厳しいかもしれないが、教師としてしてなら等と思いつつも主を疑う事は無礼にあたるので命令されない限りは行動を起こすつもりもない。




 「どうゆう関係!?」

 「正直に話せ!」


 「知らない。本当に知らないって!」


 昼休み。ミアはオーラというかなんというか話しかけづらい雰囲気を纏っているし、先程の突拍子もない行動が決め手となったのか誰も近寄らなくなってしまった。代わりに楓がクラスメイト達の質問攻めにあう羽目になっている。


 「チッ。もういいや。飯行こうぜ」


 (本当に分からないのに…)


 なんだか心が痛いし、男子達からの視線も痛い。ミアは何故あんな行動をしたのだろうか。冷たい目のままだし、あれから話しかけてくる訳でもない。どう考えても好意的とは思えない。


 (不法侵入した俺への復讐か?)


 そう考えると段々と恐ろしい奴に見えてきた。あの時の行動で男子達から向けられる自分へのヘイトは高まる一方だろう。とはいえ


 (復讐だとしてもリスク高すぎだろ…)


 あんな事をしたら周りから変人だと思われるだろう。せっかく綺麗な容姿をしているのに勿体無い。ただ存在するだけでも手厚く扱われるだろうに。考えれば考えるほど謎が深まる。そう思いながら窓際に座るミアの姿を見ているとある疑問が浮かんだ。


 (あいつ飯食べに行かないのかな?)


 昼休みだというのに弁当を出す素振りすらない。家に忘れてきたのだろうか。思い返すとコーヒーも自分で作れないようだったし、どこか抜けている性格なのかもしれない。


 「なぁ。お前食べるもの持ってきてないの?」


 ミアの席まで近寄り質問をしてみた。やはり反応は無い。さっき自分の手にキスをしたのは本当にただの嫌がらせ目的だったのでは?しかし食べ物が無いのであれば見過ごせない。


 「悪いな。俺もこれしか持ってきてないんだ」


 楓は家から持ってきたクリームパンを半分にちぎり袋ごとミアの机の上へ置くと、ようやくミアは顔を上げた。


 「ダイエットでもしてんの?昼は食べたほうがいいぞ」


 返される事も無かったので半分になったパンを頬張りながら自分の席へと戻った。教室にいるクラスメイト達がやっぱりとかこそこそと話しているが聞こえないフリをする。


 (やっぱり忘れてきたのか。転校初日から変なやつ)


 遠目からバレないようにミアの様子を伺っているとゆっくりと渡したパンを口に運ぶのが見えたので楓は安堵した。


 (はぁ。半分のパンだけで放課後まで耐えられるかな…)


 かっこつけて渡したのはいいが、楓の生活もギリギリだ。寧ろ自分が食べ物を分けて欲しい。ただし困っている人は放って置けない。体力温存のため休み時間が終わるまで机に伏せ眠りにつく。






 「ヒヒッ。オーガを森に放ったお陰で大騒ぎですね」


 「まさか討伐までされるとは思わなかったがな。暴れ過ぎないように調整したとはいえ、死者が一人だけというのは流石に驚いた。平和ボケした国とは聞いていたが、思ったよりちゃんとしているじゃないか」


 「ヒッ。でも予定通り警備があっちに集中しているので自由に動けますよ」


 「ついでにオーガを殺ったあのガキも捕獲しておこう。命令以上の仕事もこなすのがちゃんとした社会人だ」


 物騒な会話をする二人の男が楓達の住む街へと歩を進めた。

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