第71話 癒しの手に包まれて――レオンの甘やかしと、ユノの施術で穏やかな回復の日々
※こちらは全年齢向けに甘さ多めで改稿した作品です。
以前の作品を読まれている方は、内容が重複する部分がありますのでご注意ください。
基本糖分高めで甘やかされます♡
翌朝――。
まだ部屋が薄暗いなか、ゆっくりと目を開けると、目の前にはレオンの顔があった。
そして、額にちゅっと温かな感触が落ちる。
「……ん……?」
ぼんやりとした視線が合った瞬間、レオンは驚いたように目を見開いた。
「――あ、ごめん! 起こしちゃった?」
少し慌てながらも、どこか嬉しそうに笑みを浮かべている。
「おはよう、セレナ」
「……おはよう、レオン」
「……その、ね。君が目を覚まさなかったらどうしようって、不安で……。だから、つい、何度もキスしちゃった」
照れたようにそう言われて、自然と笑みがこぼれる。
それから――
いつもなら自室でリナが身支度をしてくれる時間。
けれど今朝は、レオンが頑なに譲らなかった。
「……今日は俺がやる。少しでもセレナのそばにいたいんだ」
――コンコン。
ノックの音に「どうぞ」と返すと、ぷんすか顔のリナが着替えを抱えて入ってきた。
「……公爵様ばっかり、ずるいです! 私だって心配してたんですよ!? 一番にお世話したかったのに……!」
「ふふ、ごめんね、リナ。……私もちょっと照れくさいんだけど。レオンがどうしてもって言うから」
微笑みながらそう伝えると、リナは少しむっとした顔を見せたあと、ふっと笑顔を浮かべた。
「……まぁ、セレナ様が元気になったなら、それが一番なので譲ります」
そう言い残し、渋々部屋をあとにした。
椅子に座ると、レオンはぎこちない手つきながらも丁寧に髪を梳いてくれた。
その仕草が、たまらなく優しかった。
「……髪、柔らかいな……」
ぽつりと漏れるレオンの声に、思わずくすりと笑ってしまう。
「今日は部屋でゆっくりできるように、肌触りのいい楽なドレスを持ってきてもらったよ」
淡い色のふわりとしたドレス。
レオンが一つひとつリボンを結んでくれるたび、くすぐったいような気持ちになる。
「……はい、できた。きつくない?」
「うん、大丈夫。ありがとう、レオン」
「君がこうして目の前にいてくれるだけで、もう十分幸せだよ」
着替えを終えた私は、倦怠感の残る体をレオンに抱き上げられ、静かに身を委ねた。
「ユノのところへ行こう。今日はちゃんと整えてもらわないと」
「うん……でも、自分で歩けるよ?」
「ダメ。君はまだ本調子じゃないんだから」
そう微笑むレオンに観念して、私はおとなしく胸元へ頬を預けた。
そして施術室の扉を開けると――
「……あれ?」
施術台の上には、きちんと丸まったもふもふの姿が。
「ベル!? ここにいたの?」
驚く私に、奥からユノが顔をのぞかせる。
「はい。最近マッサージしてあげたら、毎日ここに来るようになっちゃって」
「仲が良いなとは思ってたけど……」
「ふふ、“癒しの味”を覚えてしまったようですね」
苦笑するユノの手には猫用の小さなタオルが握られ、完全にマッサージ準備万端。
「ベルさん、今日はお休みです。セレナ様の番ですよ?」
やさしい声に、ベルは名残惜しそうにクッションへ移動していった。
「……ごめんね、ベル。じゃあ、お願いね」
「はい。今日はたっぷり、丁寧に施術させていただきます」
ユノの微笑みはいつもよりどこか柔らかくて、私の頬にも自然と笑みが浮かんだ。
「公爵様、少しかかりますので、あとでお呼びしますね」
施術台に横たわった私の横で、ユノがレオンに声をかける。
だが、レオンは静かに首を横に振る。
「……ううん、ここで見ていたい」
そのまなざしはまるで、息をすることすら忘れてしまいそうなほどまっすぐで。
その目に宿るのは、あふれるほどの安堵と、まだ消えぬ不安の色だった。
「わかりました。では、お静かに見守ってくださいね」
ユノがくすっと笑い、私の背に手を添える。
「……本当に、ご無事でよかったです」
その声は小さく、優しく、心に染みわたるようだった。
「ありがとう、ユノ……」
私の口から自然と、心からの言葉がこぼれた。
施術が始まると、ユノの指先はまるで水流のように滑らかで、体の芯をゆっくりとほぐしていく。
――施術が終わると、ユノはそっと私の手を取って体を起こしてくれた。
「……ありがとう、ユノ。体が軽くなった気がする」
私がそう伝えると、ユノは静かに頷き、落ち着いた声で言った。
「しばらくは毎日続けていきましょう。焦らず、ゆっくり戻していきましょうね」
そして、小さな声でぽつりと。
「……本当に、お疲れ様でした」
その一言が、なぜか胸の奥深くに沁みて、涙が浮かびそうになった。
◆
――それからの日々は、穏やかに流れていった。
私は、レオンの甘やかしに包まれながら、少しずつ体を回復させていった。
朝は、目覚めると隣でレオンがお茶を淹れてくれて。
昼は読書に耽り、夜には彼が髪を梳いてくれる。
ユノの施術も欠かさず続けられ、私の体は少しずつ、本来の状態へと戻っていった。
そして――
「うん、もう大丈夫だよ。無理しなければ、いつもの生活に戻っていい」
ティオがそう言ってくれた日、私は深く息を吐いた。
――ようやく“日常”が戻ってきたのだ。
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