第70話 優しさが体にしみる…湯船で寄り添う、静かな幸せの時間
※こちらは全年齢向けに甘さ多めで改稿した作品です。
以前の作品を読まれている方は、内容が重複する部分がありますのでご注意ください。
基本糖分高めで甘やかされます♡
ティオが帰ったあと、レオンの“全力甘やかし”が始まった――
まず運ばれてきたのは、見たこともないほど綺麗にカットされた果物の盛り合わせ。
「はい、あーん」と言いながら口元まで差し出してきて、果汁が唇を伝えばすぐにハンカチで拭ってくれる。
喉が渇いて体を起こそうとした瞬間、そっと肩を押さえられた。
「動かないで。俺が飲ませるから」
そう優しく囁いて、水差しを手に唇へ水を運んでくれるレオン。
シーツを直そうと少し手を動かすと止められ、足を下ろそうとするたびに先回りされて――
「欲しいものがあったら言って。全部やる」
その真剣な顔に、思わずたじろいでしまう。
「そこまでしなくても、大丈夫だから……」
そう返しても、レオンはまったく譲らない。
「……それに、三日も眠ってたからね。毎日拭いてたけど、今日はちゃんとお風呂に入ろう」
「えっ……毎日……拭いてたの?」
驚いて問い返すと、レオンは当然のように頷いた。
「当然でしょ」
(ま、まって……それって、もしかして……!?まさか、全部……? 下着まで――うわあああ!考えたくないっ!!)
顔が一気に熱を帯び、心臓が跳ねる。
「だ、大丈夫、自分で入れるから!」
慌てて言葉を返したものの、言い切る前に遮られる。
「……無理しないで。ティオも言ってたでしょ?」
優しくそう言われた直後、ふわりと体が浮かんだ。
「きゃっ……!」
レオンの腕に抱き上げられ、そのまま迷いなく浴室へと連れて行かれる。
抵抗する暇もなく、浴室の扉が静かに開かれた――
「座れる?」
椅子を指さしてレオンが尋ねる。
私は頷いて、そっと腰を下ろした。
「ちょっとふらつくけど……大丈夫」
「辛くなったら、俺に掴まって。全部やってあげるから」
真剣なまなざしでそう言うと、レオンはしゃがみこんで、指先でそっと髪を梳き始めた。
まるで壊れ物を扱うような丁寧さで、優しく洗ってくれる。
(くすぐったいけど……気持ちいい……)
そのあと、体も丁寧に洗ってもらい、重たい体が少しずつ軽くなっていくのを感じた。
「ねぇ、レオン」
「ん?」
「ちょっと……ふらっとするかも。だから、一緒に……湯船、入ってくれる?」
私の言葉に、彼はすぐに「もちろん」と頷いた。
そのまま抱き上げられ、湯の中へそっと下ろされる。
背中を彼の胸に預けると、ぴたりとくっつくようにレオンの腕が回された。
「……セレナが、いる」
低く、噛みしめるようなその声。湯の温もり以上に、レオンの体温と想いがあたたかい。
私は、彼の胸に寄りかかり、そっと目を閉じた。
お風呂から出ると、レオンは大きなタオルで私の体を包み、髪も丁寧に乾かしてくれた。
「ありがとう、レオン。すっきりした」
そう伝えると、レオンは髪に触れたまま真剣な表情で言った。
「ちゃんと掴まってて。……ティオが言ってたんだ。あの出血量じゃ、本来なら助からなかったって。でもセレナが、自分の力を使ったから、命が繋がったんだって」
その言葉が、胸にじんと染みた。
そして、レオンは私を強く抱きしめた。
「……もう、絶対に、そんな無茶しないで」
何度も聞いたその言葉。
だけど、聞くたびに、どれだけ怖かったのかが伝わる。
私は彼の背中に手を回し、小さく笑った。
「……うん、もうしないよ。大丈夫」
その答えに、レオンはそっと息を吐き、安心したように微笑んだ。
レオンは手慣れた様子で私を抱き上げ、ベッドまで運んでくれる。
ふかふかの毛布の上にそっと下ろされると、体が心地よく沈んでいった。
レオンもすぐ隣に横たわり、並んでそっと身を寄せ合う。
「……レオン、あまり眠ってないんでしょ?」
そう問いかけると、レオンは少し困ったように笑った。
「……うん。セレナが目覚めるまでは、眠れなかった」
「じゃあ、少し一緒に寝よ?」
私から腕を伸ばして、彼の首に抱きつく。
そして唇を重ねる。
優しく、あたたかいキス。
レオンは私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「……おやすみ、セレナ」
「おやすみ、レオン」
彼の温もりに包まれて、私はそっと目を閉じた。
(――ただ、寄り添って、笑ってるだけで。胸がいっぱいになるなんて)
お読みいただきありがとうございます♡
公式サイトにて先読みとイラストギャラリー公開中♡
☞ https://serenitee-tp.com/
※お手数ですがコピペでお願いします!




