表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/79

第65話 “戻す力”に光が差す――セレナとティオ、呪いの突破口を見つける

※こちらは全年齢向けに甘さ多めで改稿した作品です。

以前の作品を読まれている方は、内容が重複する部分がありますのでご注意ください。


基本糖分高めで甘やかされます♡

ある日、私はティオとの約束を果たすべく、癒術理院を訪れていた。


彼の研究室に足を踏み入れると、ティオはいつものように書類の山に埋もれていた。

けれど私の姿を見つけると、ぱっと笑顔になり、手を振って出迎えてくれる。


「やっほー、セレナちゃん。待ってたよ~。お茶、淹れるね」


「ありがとう、いただくね」


私が椅子に腰を下ろすと、彼は手慣れた様子で紅茶を差し出してくれた。

ふわりと立ちのぼる湯気に、心が少しほぐれていく。


「最近どう?レオンとはラブラブ順調~?」


「う、うん……順調、かな」


頬の熱さをごまかすように答えると、ティオがにやにやと笑みを浮かべた。


「ふふ、いいね。幸せってことだね。あ〜あ、僕もそろそろ誰かと落ち着こうかな〜」


「えっ、ティオにも“気になる人”とかいるの?」


思わず口をついて出た問いかけに、ティオはカップを手にしたままわずかに間を置いた。


「……まぁ、最近ちょっと“気になる子”はできた……かも?」


「ほんとに!?どんな子? 気になる!」


「……ふふ、雑談はこの辺にしておこうか。本題いこっか」


そう言って肩をすくめたティオの笑顔は、どこか照れ隠しのようにも見えた。


(……顔、赤くなってる。ティオ、ごまかしてる……?)


「……じゃあ、この図面見てくれる?」


ティオは机に積まれた書類をすっと広げ、魔法陣の図面を並べていく。

そして表情を引き締め、指先で図面をなぞりながら語り出した。


「あとほんの少しで解明できそうなんだ。ここ、それからここと……この辺りがわかれば……」


指差された円の中には、かすれた文字や破損した図形が並んでいた。


「君の力は“自然治癒の促進”に特化している。つまり、対象の体が本来持つ回復力を引き出していることになる」


そう話しながら、ティオは図面の一部にさらさらと文字を書き加える。


「魔法陣っていうのは、いわば“コード”みたいなものなんだ。君の力が発動する“パターン”はもう大体わかった。だから、それを基盤にすれば術式は構築できるはず。……その術式を組み込めば、魔法陣が起動すると思う」


ティオはそばにあった、しおれた小さな花を魔法陣の中央へと置いた。


「ちょっと手をかざしてもらえる?」


私は黙ってうなずき、そっと手のひらを魔法陣の上にかざした。

次の瞬間――


ふわっ……


魔法陣の縁が淡い金色に輝き、中央の花の色がゆっくりと戻っていった。


「……光った」


「やっぱりね。これは君が普段使っている力と同じ働き方だよ」


ティオは魔法陣をじっと見つめながら、円を指でなぞる。


「でもね、普段の使い方だとレオンの呪いは解除できない。でも、“術式として”組み込めば作動はする。これは収穫だよ」


「そっか……これは普段の力だから、血はいらないんだね。……でも、どうして呪いを解くには血が必要になるんだろう?」


「――”対価”なのかもね。もっと強い力を使うときに、必要になるんだと思う」


ティオは静かに口を開いた。


「今、君が使ってるのは“本人の治癒力を活性化する力”だよね。切り傷を治すとか。でも、もしそれがもっと拡張されたら……壊れた臓器を再生したり、失った手足を戻すとか、そういうことも可能になるかもしれない」


「……元に戻す……?」


「うん。そういう“応用”を使うには、膨大なエネルギーが必要になる。だから媒介として、君の血……つまり君の命の一部が必要なんだと思う」


私は息を呑んだ。

そんな力が、自分の中に本当にあるのだとしたら――


(強い、力……)


レオンの体に浮かぶ、あの痣。

あれももとはなかったもの。


もし、痣ができる“前”の状態に戻せたなら――


「ねぇ、ティオ」


私はそっと顔を上げて問いかけた。


「……レオンの痣が現れる前の状態に、体を戻すことができたら……どうかな?」


ティオは少しの間ぽかんとした後、突然目を輝かせて勢いよく立ち上がった。


「――それだ!!」


思わず手からペンが転げ落ちるほど、強い声。


「君の力が“元に戻す”方向に作用するなら、あの痣も、呪いごと消せる可能性がある!」


「……ほんとに……?」


「まだ仮説だけど、かなり核心に近い気がする。君の“血”が必要だって言われてきた理由が、ようやく繋がった気がするよ」


ティオはしばらく黙り込んだあと、図面をじっと見つめていた。


「“元に戻す”ってなると、術式の構造から変わる。これは完全に新しい領域だ。……検証用に、セレナちゃんがこの前作った“聖力の石”、借りてもいい?」


「うん、もちろん。……お願い」


私は石を手渡しながら、彼が引いた線を見つめる。


「……ティオ、いつもありがとう。私、ひとりじゃ絶対にここまで来れなかった」


手を止めたティオは、ふっと笑って答える。


「何言ってるの。僕だってレオンを助けたいだけだよ」


その瞳には、優しさと強い意志が宿っていた。


「レオンの呪い、必ず解ける。……一緒に頑張ろう、セレナちゃん」


「……うん!」


私は大きく頷いた。


「……実はさ、呪いが解けたら、僕、髪切ろうって思ってるんだ。もうすぐその時が来るって気がする。楽しみだなぁ」


その顔は、まるで子どものように嬉しそうだった。

私の胸の奥にも、ふわりと小さな希望の灯りがともる。


そして、しばらくの沈黙のあと――


ティオはカップを見つめながら、少し声を落として呟いた。


「……それまでに、レオンの体調が悪化しないといいけど」


そのひと言が、妙に胸の奥に静かに突き刺さった。

お読みいただきありがとうございます♡


公式サイトにて先読みとイラストギャラリー公開中♡

☞ https://serenitee-tp.com/


※お手数ですがコピペでお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ