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第61話 明かされる呪いの真実――皇帝が語る罪と贖いの言葉

※こちらは全年齢向けに甘さ多めで改稿した作品です。

以前の作品を読まれている方は、内容が重複する部分がありますのでご注意ください。


基本糖分高めで甘やかされます♡

レオンへ視線を向けたまま、皇帝は静かに息を吐いた。

その顔には、長い年月のなかで何かを抱えてきた者にしか現れない、複雑な影が落ちていた。


「公爵……いや、レオン。ノクティス家にかけられた“呪い”の真実について、私は知っている」


その言葉に、レオンの瞳がかすかに揺れる。

皇帝は、沈黙を破るように、重い口を開いた。


「今さら詫びたとしても、許されるとは思っていない。だが、それでも伝えねばならない。――この罪を、そなたたちに」


言葉を探しながら、皇帝はゆっくりと語り始める。


「私は、かつて姉上を心から尊敬していた。才知に富み、誠実で慈愛に満ちていて……本来、皇の器にふさわしいのは、自分ではなく、姉上の方だと考えていた」


淡々と語られる言葉には、過去を懐かしむような温かさと、微かに滲む悔いがあった。

まるで、ずっと胸に閉じ込めていた本心をようやく吐露するかのようだった。


「だが、その姉がノクティス公爵と恋に落ち、“呪われた家に嫁ぐ”とまで言い残して家を去った。……その瞬間、私は何かを奪われたような感覚に襲われたのだ」


悔しさとも、嫉妬ともつかぬ感情が、声の端々ににじむ。

弟として、皇位継承者として――そして一人の男として、抑えきれない劣等感と喪失感が、深く心に刻まれていたのだろう。


「その後、そなたが生まれた。私は、そなたの成長を見守るうちに、いつしか姉上の面影を重ねるようになっていた。愛しく、誇らしく、そして……どこか、憎らしくもあった」


小さく震えた声が、静かな部屋に響いた。


「私は姉を深く慕っていた。けれど同時に、彼女を奪ったノクティス家、そしてレオン、そなた自身にさえ、複雑な思いを抱くようになってしまったのだ」


ゆっくりと立ち上がった皇帝は、背後の書棚から、古びた一冊の書を取り出した。


「これは、皇家に次ぐ力を持つノクティス家を恐れた者たちが残した禁書だ。ある日、偶然、私はこれを発見した」


その声は穏やかでありながら、奥底には張り詰めた氷のような緊張が漂っていた。


「書には、ノクティス家の力を封じる呪いと、その術式――さらには解呪の方法までもが、詳細に記されていたのだ」


セレナの心に、その言葉が深く染み渡る。


(……解呪の方法?)


ざわめく胸の内で、思考が渦を巻く。


(やっぱり……知っていたの……)


けれど、ならばなぜ――


「……私は、それを知らせなかった」


思わずセレナは息を呑む。

意味を理解しかねて、レオンの横顔を見ようとするが、あまりに静かで、その感情を読み取ることができなかった。


「真実を伝えるべきだと、理性では理解していた。だが……どうしてもできなかった。姉と、そなたを遠ざけることで、自分の気持ちに蓋をしていたのだ」


その視線の先にいたのは、セレナだった。


「だが――先日、公爵夫人に命を救われた際、私は彼女の姿に、姉の面影を重ねてしまった。そしてようやく気づいたのだ。自分がいかに卑怯で、無責任であったかを」


その告白に、皇帝の声がかすかに震えた。


「逃げていた。罪からも、そなたからも……何より、自分自身から」


しばらくの沈黙ののち、皇帝はまっすぐレオンを見た。

その瞳には、皇帝としての威厳ではなく、一人の男の後悔が映っていた。


「……レオン。すまなかった」


その静かな言葉に、セレナは無意識にレオンの手を強く握った。


「私は、最初から皇帝の器ではなかった。だからこそ、姉に期待し、憧れ……そして背を向けた。お前たちが背負ってきた苦しみからも」


そう呟いた彼の肩が、ふと軽くなったように見えた。


「私は今回、自分の罪と向き合う機会を得た。……だからこそ、この座を降りる決意をしたのだ。未来を次の代に託すのなら、今が最良の時だろう」


レオンが口を開こうとしたその時、皇帝はそっと手を上げて遮った。


「無理に言葉を返すことはない。赦されようとは思っていない。……ただ、知っていて欲しかった。これが、私なりの贖罪だ。――解呪方法は写しを渡そう」



帰路の馬車のなか。

ふたりは、柔らかなクッションに身を預けたまま、静かに揺られていた。


しばらく景色を眺めたあと、私はそっと隣に目をやる。


レオンは、今どんな気持ちでいるのだろうか。


姉に向けられた皇帝の歪んだ愛情。

そして、長きにわたり策略に巻き込まれ、血の繋がった存在にさえ遠ざけられて――


愛されながら、同時に憎まれた。

その矛盾を背負い続けてきた彼の心の重さは、きっと私には計り知れない。


何度も、自分に問いかけた。

私は、彼に何をしてあげられるのだろう――と。


けれど、今の私には言葉がなかった。

ただ、そっと手を握ることしかできなかった。


その手の温もりを通して、少しでも想いが伝わることを願いながら――。



夜が、静かに重たく訪れた。


寝室に戻ったふたり。

レオンは無言のままセレナをそっと抱き上げ、ベッドの上へと運んだ。

そしてそのまま、隣に横になりながら、静かに彼女の体温を抱きしめる。


しばらく、ふたりの間に言葉はなかった。


「……話さなくていいよ」


そっと囁いたセレナは、自分からレオンの腕を抱き、そっとその髪に触れた。

やさしく、何度も撫でる。

深い傷に触れるように――いや、それ以上に、そっと届くように。


その手の温もりに包まれながら、レオンがぽつりとつぶやく。


「……ありがとう、セレナ。思うことは……もちろんあるけど」


彼の腕に、力がこもる。


「でも――ちゃんと少しずつ、自分の気持ちと向き合っていくつもりだよ」


その言葉に、セレナはただ静かに頷き、レオンの肩にそっと寄り添った。


すべてを受け止めるには、まだ時間がかかる。

けれど今は――この腕の中で。


ふたりの呼吸が、静かに重なっていく。

痛みも、愛しさも、すべてを包み込むように。

お読みいただきありがとうございます♡


公式サイトにて先読みとイラストギャラリー公開中♡

☞ https://serenitee-tp.com/


※お手数ですがコピペでお願いします!

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