第47話 星降る夜、ふたりだけの誓い
※こちらは全年齢向けに甘さ多めで改稿した作品です。
以前の作品を読まれている方は、内容が重複する部分がありますのでご注意ください。
基本糖分高めで甘やかされます♡
扉が閉まった瞬間――
レオンは、セレナをそっとベッドの上に降ろした。
その瞳に宿る熱は、もはや隠しようもないほどだった。
「……セレナ」
低く甘い声が耳に届いたかと思うと、レオンはそっと身を屈めてくる。
セレナの頬に触れた指先が、ほんの少し震えていた。
「……もう……君に触れたくて仕方がなかった」
そう呟くと同時に、レオンはセレナをそっと押し倒した。
驚いたように声を漏らすセレナの身体が、やわらかなベッドに沈み込む。
「きゃっ……」
レオンの体温がすぐそばにある。
その腕に抱き込まれながら、セレナは彼の熱と気持ちのすべてを感じ取っていた。
「……セレナが恋しかった」
頬に落ちた口づけと共に囁かれる言葉が、まるで祈るように、静かに心の奥まで届いてくる。
そのまま、焦がれるようなキスが、優しく唇を塞いだ――
◆
ふたりは寄り添うようにベッドに横たわり、穏やかな空気の中で、互いの温もりを感じ合っていた。
「……セレナ、体調もすっかりよくなった。ありがとう」
レオンがそっと腕を回し、セレナの背中を引き寄せる。
その低く優しい声に、セレナは胸の奥がじんと熱くなるのを感じた。
(……よかった。ミアさんに教えてもらったこと、ちゃんと役に立った……かも)
心の中でそっと呟いて、セレナはレオンの胸に顔をうずめた。
すると、レオンがふわりと笑って、セレナの髪に唇を落とす。
「……可愛すぎて、困る」
くすくすと笑い合いながら、ふたりは頬を寄せ合った。
何気ない言葉のひとつひとつに、愛おしさが溶けていく。
ゆっくりと過ごすうちにあっという間に日も暮れ、ぼんやりと窓の外に目をやった。
潮の香りと、遠くから聞こえる波の音。
夜の静けさが、どこか心地よくて――
「ねぇ、レオン……外の風、ちょっとだけ……感じてみたいかも」
ぽつりと呟いた声に、レオンが目を細めた。
「疲れてない?」
「うん、大丈夫」
そう言って、レオンがそっとセレナの手を取る。
冷えないように、と羽織をかけてくれて、ふたりでゆっくりと外へ出た。
星空は、まるで宝石をちりばめたように広がっていた。
海面にも、きらきらと星の光が映っている。
「わぁ……すごい……!」
セレナは、思わず目を輝かせた。
嬉しそうにはしゃぐセレナを、レオンは優しい目で見つめる。
「……夜は、危ないから」
そう言って、セレナをふわりと抱き上げた。
「きゃ……!」
驚いたセレナは、レオンの首に慌ててしがみつく。
レオンは小さく笑って、そのまま砂浜を歩き始めた。
「明日、明るいうちに海来ようか」
そう優しく囁くと、セレナも嬉しそうに頷いた。
「うん、約束!」
◆
少し歩くと、レオンはそっとセレナを下ろした。
そして、自分が羽織っていた上着を脱ぎ、砂浜に敷いた。
「ここに、座って」
レオンに促され、セレナはちょこんと座る。
レオンも隣に腰を下ろし、ふたりで肩を並べた。
「……きれい……」
セレナは、うっとりと空を見上げた。
レオンもそんなセレナを、そして広がる星空を、静かに見つめていた。
セレナは、ふとレオンの肩に、そっと頭をもたれさせた。
小さな声で、呟く。
「……今、すごく幸せ」
「……俺もだよ、セレナ」
甘く、低い声で囁いた。
そしてレオンは、そっと上着の内ポケットから小さな銀のリングケースを取り出した。
「……渡すタイミング、ずっと逃してたから。」
そう言ってそっと蓋を開けると、そこには繊細な細工が施された可憐なリングが輝いていた。
セレナの左手を取って、そっと薬指に通すレオン。
「俺の一方的な願いから始まった結婚だけど、セレナのことを心から大切に想ってる。……これからも、毎日隣で笑って欲しい。ずっと、傍にいて。」
声がかすれるほど、深く、真剣に。
「愛してるよ、セレナ」
指輪の重みと、言葉のあたたかさが、胸いっぱいに広がっていく。
セレナは言葉に詰まりながらも、ぎゅっとレオンの胸元に抱きついた。
「……ありがとう。愛してる、レオン」
ぽろぽろと自然に涙がこぼれた。
レオンは静かにセレナの涙を拭うと、ふたりは月明かりの下で唇を重ねた。
静けさの中、波の音が優しく寄せてくる。
「ねぇ、セレナ……結婚式、本当にしなくてよかった?」
「……うん、大丈夫。私、これ以上にないくらい幸せだから」
胸の奥から、素直な言葉が溢れた。
「それに、まだ……」
私は、少しだけ視線を落とす。
「人前に出る勇気も、公爵夫人だって胸も張れないから……」
私はそっと囁いた。
「……もし、勇気が出たら、そのとき……言うね」
レオンは、静かに私の手を握った。
砂浜でしばらく星を眺めていると――
夜の海風が、だんだんと冷たく感じられてきた。
セレナが、小さく身を縮めたのを見て、レオンはすぐに気づく。
「……冷えちゃったね」
囁くように言うと、レオンは迷わず、セレナをふわりと抱き上げた。
「……部屋に戻ろう」
レオンに抱き抱えられたまま、ふたりは別荘の部屋へと戻った。
あたたかい部屋の空気に包まれて――
ふたりはまた、ベッドにごろんと並んで転がる。
レオンはセレナの髪を撫でながら、ふわりと微笑んだ。
「明日はいっぱい遊ぼう」
その言葉に、セレナの顔がぱあっと輝く。
「うんっ!楽しみ!」
「セレナがしたいこと、何でもしよう」
ぴったりと寄り添って、ベッドの中でレオンの腕の中に収まるセレナ。
(……明日が楽しみだな、思い出いっぱい作りたい)
そんなことを思いながら、セレナは、ふわりと目を閉じかけた。
その瞬間ーー
レオンがそっと身体を起こし、セレナの上に覆いかぶさってきた。
「……セレナ」
耳元で、甘く低く囁く。
「まだ、眠るには……早いよね?」
その声に、セレナの胸がどきんと跳ねた。
顔を赤らめる間もなくレオンはセレナの唇を優しく塞いだ。
肌を重ねるたび、心がさらに深く結びついていくのを感じながら。
甘くとろけるように、ふたりだけの夜は静かに幕を閉じた。
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