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第46話 出発の朝、手紙と、いよいよ別荘へ

※こちらは全年齢向けに甘さ多めで改稿した作品です。

以前の作品を読まれている方は、内容が重複する部分がありますのでご注意ください。


基本糖分高めで甘やかされます♡

朝――


自室へ戻ったセレナは、リナに身支度を整えてもらったあと、ソファで丸くなっていたベルの頭をそっと撫でた。


「ベル、いい子にしててね」


小さく微笑みながら、優しく声をかける。


(猫好きの使用人さんにお願いしてあるし…きっと大丈夫)


門へ向かうと、そこではレオンが護衛の配置や荷物の確認に指示を飛ばしていた。


「荷物の最終確認と、屋敷に残る者、護衛に付く者…人数に問題は?」


鋭い声を響かせたレオンに、騎士団長ザックが落ち着いた様子で答える。


「問題ありません。配置もすでに完了しています」


そのやり取りを見ながら、セレナはそっと近づいた。


「……レオン、おはよう」


静かに声をかけると、レオンは驚いたように振り返り、ふっと表情を和らげた。


「おはよう、セレナ」


ザックもセレナに気づき、にこやかに一礼する。


「おはようございます、セレナ様。本日はいよいよご出発ですね」


「ザック、おはよう。護衛、よろしくね」


そんな穏やかな会話が交わされる中、レオンは横で目を丸くしていた。


(名前で呼び合ってる…?なぜそんなに仲がいいんだ?)


出発の直前――


アレクがそっとセレナに近づき、耳元で囁く。


「セレナ様、公爵様に、例の件をそろそろお伝えしてもよろしいでしょうか?」


少し迷ったのち、セレナはこくりと頷いた。

アレクは静かにうなずき、レオンの方へと向き直る。


「公爵様。実はこの一週間、セレナ様が密かに業務の手伝いをしてくださっていました」


目を瞬かせたレオンに、アレクは続ける。


「おかげで、徹夜一回で済みました。きちんと感謝してくださいね」


その声音には、淡々としつつもどこか誇らしげな響きがあった。

レオンはゆっくりとセレナの方へ振り返る。


その視線が揺れた、次の瞬間――


レオンは勢いよくセレナを抱きしめた。


「セレナ……ありがとう」


耳元に甘く低い声が響く。

そのままレオンは護衛たちを見渡し、きっぱりと言い放った。


「絶対に、邪魔するな」


その迫力に、護衛たちは無言で敬礼するしかなかった。

レオンに抱きかかえられたセレナは、そのまま馬車に乗せられたのだった。



馬車がゆっくりと走り出すと、車輪の揺れと共に、軽いきしみ音が響く。


「セレナ、本当にありがとう。明け方、手紙も読んだよ」


そう呟いたレオンは、あの瞬間を思い返していた。

ーー部屋に戻った時、机の上に置かれていた手紙。


『レオンへ


今日は帰って来られないって聞いて、 ……ちょっとだけ、寂しかった。 でも、顔を見に来てくれてありがとう。


明日からの旅行、すごく楽しみにしています。 行き先よりも、泊まる場所よりも、レオンと一緒に過ごせることが、一番嬉しいです。


お仕事、大変なのに無理させてごめんね。 少しでもレオンの疲れがやわらぎますように。 この手紙を読んで、ほんの少しでも笑ってくれたら嬉しいな。


それでは、おやすみなさい。 明日、たくさん笑ってくれますように。


セレナより』


丁寧に綴られた文字から、セレナの想いが伝わってくる。

徹夜の疲れも吹き飛ぶほど、心が満たされた。


「セレナ、あの手紙……額縁に――」


「だめ」


セレナの小さな一言に、レオンはそれ以上言葉を続けられず、ふたりで見つめ合って、思わず微笑み合う。


そんな中、セレナは自身の体にじんわりと広がる違和感を感じ取っていた。


(……体が重たい)


しばらく忙しく、すれ違いの生活が続いていて、二人で触れ合う機会がなかった。


(触れてないと、やっぱり体に不調が出るみたい。……多分レオンも……)


横目でそっとレオンを見る。

疲れた顔をしつつも、どこか柔らかな表情で微笑んでいた。


「書類も片付けてくれてたんだな。ありがとう」


繰り返し呟かれる、感謝の言葉。


(レオン、最近はほとんど眠れてもいなかったのに…)


「お礼は、もういいよ」


囁くようにそう言って、セレナはレオンの唇にそっと自分の唇を重ねた。

やわらかなキス。

短くても、確かに伝わる想い。


そしてそのキスだけで、身体の違和感が少し和らぐのを感じた。


「レオン、疲れてるんだから。少し、休んで?」


甘えるように囁いて、自分の膝を軽くぽんぽんと叩く。


「せっかくのお休みだし、元気になってほしいの」


その一言に、レオンの肩がぴくりと反応した。

やがて彼は観念したように息をつき、素直にセレナの膝に頭を預けた。

セレナは、そっとその髪を撫でる。


やがて、穏やかな寝息が聞こえてきた。

セレナはその音に耳を澄ませながら、満ち足りた気持ちで目を閉じた。



海沿いに建つ別荘に、馬車が到着した。

屋敷の中に足を踏み入れると、使用人たちが、整然と並んで出迎えてくれる。

事前に連絡を受けて、準備をしてくれていたようだった。


「ようこそお越しくださいました、公爵様、公爵夫人」


老執事をはじめ、穏やかな表情の使用人たち。

セレナは少し緊張しながらも微笑み、丁寧に挨拶を返す。


(皆さん優しそう。ここで過ごす時間、きっと素敵になる)


そう感じた矢先、レオンがセレナの手をぎゅっと握る。

そして、一瞬だけ周囲を見渡すと、使用人たちの前できっぱりと言った。


「このあと、俺は部屋にこもる。誰も近づくな」


突然の宣言に、セレナはぽかんとする。


(……部屋にこもる?)


その疑問が浮かんだ瞬間。

レオンはセレナを軽々と抱き上げ、そのまま用意された部屋へと向かっていった。


--扉の閉まる音が、静かに響く。


ふたりだけの世界が、そこで幕を開けた。

お読みいただきありがとうございます♡


公式サイトにて先読みとイラストギャラリー公開中♡

☞ https://serenitee-tp.com/


※お手数ですがコピペでお願いします!

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