表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/79

第25話 そっと名前を呼ばれて――気づいてしまった想い

※こちらは全年齢向けに甘さ多めで改稿した作品です。

以前の作品を読まれている方は、内容が重複する部分がありますのでご注意ください。


基本糖分高めで甘やかされます♡

レオンが隣で寝ているセレナに気づかれないよう、そっとシーツの下に手を伸ばした頃――


遠くで誰かに名前を呼ばれたような気がして、セレナはぼんやりとした意識の中で耳を澄ませていた。


まだ夢の中にいるのだろうかと感じながらも――


(………?)


微かに届いた、かすれた声と呼吸。

それは夢の中で聞こえているような、現実のような曖昧な響きだった。


そして、次の瞬間。


「……セレナ……」


自分の名を呼ばれ、セレナの胸がきゅうっと音を立てて高鳴る。


(今の、私の名前……?)


ぼんやりとした頭が少しずつ冴えていく。

けれど、セレナは体を動かせなかった。


(どうしよう……起きてるなんて言えない……)


隣から聞こえる微かな衣擦れと、わずかに乱れた吐息。

それだけで、すべてを察してしまった。


(レオン……私を想って……?)


恥ずかしさと、切ないほどの愛しさが胸に広がっていく。

頬がじわじわと熱を帯びた。


セレナはシーツの下で、そっと拳をぎゅっと握る。


(……だめなのに……)


それでもレオンの声が、苦しげに、そしてどこまでも愛おしそうに響く。

ふたたび名前を呼ばれたとき、胸の奥がとろけるように疼いた。


(……好き……私も、レオンが、好き)


セレナは目を閉じて、静かに耳を澄ませる。


(……もっと、レオンの声を聞いていたい……)


背徳感に身を震わせながらも、レオンを想う気持ちが勝って、黙ったまま――


そして、


切なげに名前を呼ぶ声が響いたあと、あたりに静けさが満ちる。

夜の空気に溶けていくようで――セレナは胸の奥がきゅっと苦しくなった。


(……レオン……)


自分の中まで熱が伝わってきたようで、恥ずかしさと嬉しさと、切なさが胸を満たしていく。


レオンが息を整え、乱れたシーツをそっと直し、静かにセレナの背中に腕を回してくる。

その温もりに、セレナの震える心がそっと包まれた。


(……好き。……大好き……)


そう思いながら、セレナはレオンの腕の中で静かに目を閉じた――。



翌朝セレナはそっと自室に戻り、小さな声でリナに話しかけた。


「……リナ。ちょっと、相談したいことがあるの」


「はいっ! なんでも聞いてくださいっ!」


リナは目を輝かせながら、ぴょこんと膝を折る。

その反応に一瞬言葉が詰まりながらも、セレナは小さな声で続けた。


「……昨日ね、レオンと一緒に寝てて……その……寝言?聞いちゃって……」


「寝言、ですか?」


「うん……私の名前……呼んでて……」


セレナは頬を真っ赤に染めながら、言葉を探すように視線を落とす。

リナは「ふむふむ」と深く頷き、まっすぐに耳を傾けた。


「それで……たぶん、レオン……その、私のことを想って……こっそり……」


「っ……!」


リナは思わず顔を真っ赤にして、手で口元を押さえた。

セレナはさらに声を小さくして、ぽつりとこぼす。


「……うれしかった。でも……もしかして、私だけじゃ……足りないのかなって……」


かすれた声で、指先をぎゅっと握りしめる。


「だから……どうすれば、もっと喜んでもらえるかなって……」


そこまで言って、顔を伏せる。

すると、ぱんっ!と軽やかな音が響いて、リナがぱっと顔を輝かせた。


「――お任せくださいっ、セレナ様っ!!」


「えっ?」


「よーし! 作戦会議ですっ!!」


リナはどこからともなく紙とペンを取り出し、机に広げてにんまりと笑った。


「……作戦会議って……?」


「よりセレナ様の魅力を引き出す作戦です……まずは可愛らしい下着ですね!」


「……!?」


セレナは顔を真っ赤にして、ペンを走らせるリナを呆然と見つめた。


「……可愛い、下着……?」


「はいっ! すっごく効果あると思いますっ!!」


「で、でも……私、そういうの……」


「大丈夫ですっ! セレナ様はもともととっても綺麗なんですから! ちょっと華やかなデザインとか、柔らかいレースとか……!」


リナは真剣な表情で、紙にメモを取っていく。


「はいっ! 今度、一緒にお買い物に行きましょう! ドレスの新調もしたいですし」


リナの提案に、セレナの心臓が跳ねる。

恥ずかしい。


でも、それ以上に――


(……レオンが喜んでくれるなら)


「……うん。……行ってみたい」


「えへへっ、セレナ様、とっても愛らしいですっ」


リナはにっこりと笑い、ウィンクをひとつ。


「セレナ様なら成功間違いなしですよ!」


「……ほんとに……?」


「もちろんですっ!!」


ふたりは目を見合わせて、ふふっと笑う。


――こうして、セレナとリナの【秘密の大作戦】は、ひっそりと始まったのだった。

お読みいただきありがとうございます♡


公式サイトにて先読みとイラストギャラリー公開中♡

☞ https://serenitee-tp.com/


※お手数ですがコピペでお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ