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面接に落ちた。
中堅どころの出版社だった。
書類選考ではなく、対面まではいった。
進歩ではあったが、またハローワーク通いの毎日が始まることを思うと憂鬱になった。
……面接に落ちたなぁ。
理由は明白だった。
――好きな詩は何ですか?
出版社らしい問だった。答はいつも同じだった。「桜が散ったら」雅練平
僕は間抜けではなかった。
「桜が散ったら」は、別の出版社の雑誌に掲載された詩だということはきちんとわかっていた。
でもなぜ僕が「桜が散ったら」を選ぶのか。
それは――。
思い出のアイツが作った詩だから。