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桜が散ったら
桜が散ったら
雅 練平
桜が散ったら
思い出してほしい
こんな僕のことをさ
初めて出会ったのは
半年前よりちょっと最近
まだ十二月なのに
雪がちらつく寒い日だった
初めての道
カーナビは壊れている
「大丈夫ですか?」
きみは優しく声をかけてくれたね
その日はきみの家にとまったね
次のあさには
まるで何事にもなかったかのように
とびたつ僕を
きみはやさしく受け入れてくれた
すべてが変わり始めたのは
一月のある昼だった
僕が仕事を左遷になった
部署にきみがいた
(ある雑誌の4月号に掲載された詩を抜粋しました)