22 デート計画
リラとの関係を進めるためにも、デートをしてきてはどうかとリリアン様に言われてしまった。
最近は、宣言通りに執務や家の管理などの手伝いをしてくれている。なんというか……部下として欲しい。
結果として、恋人のような雰囲気が全くない。いかにも貴族らしい義務の婚約に見える。
仕事の合間に、少しお茶をしたりはしているが、まったくもってこちらの好意が届いていない。
リリアン様からの助言ももっともだ。聖女とはいえ年下の少女から指摘されてしまう点がつらい。
マリウス様も、元婚約者のリラとは婚約者らしい関係を一切築いてこなかったが、リリアン様とは大変に仲睦ましい。そして元婚約者であるリラと新婚約者のリリアン様も仲が非常にいい。なんというか、自分だけ蚊帳の外なのだ。
「リラ殿、少し話をしてもいいでしょうか」
「はい。なにか不備がありましたか?」
帳簿をまとめてきたリラが首を傾げる。
以前は認識もされていなかったようだが、今はこうして視界の中心にいる。少しは意識されているはずだ。
そして、顔がきれいだ。
「いえ……明日は時間が取れそうなので、一緒に外出などどうでしょうか。オペラの公演を見に行くのでもいいですし、何か欲しいものがあれば買いに行ってもいいです」
公爵家が生活のために購入したものは婚約破棄時は全て所有権を放棄するとリラは言っていた。代わりに彼女の持ち物や私財で買ったものは当たり前だが彼女の持ち物とするとしていた。もし、所有権を放棄して贈りたい場合は品目ごとに証明書の発行を求められている。
そんな状況で宝石類を贈るのことが好まれるとも思えない。
既にブルストとビールは使ってしまった。彼女の負担にならず、喜ばれることは何か。頭を捻るが明暗が浮かばない。
「オペラですか……」
「お嫌いですか?」
「いえ、劇を見るのは苦手なんです」
それは嫌いということではないだろうか。
「歌のパートだけは好きなのですが」
「音楽がお好きならばコンサートなどはいかがですか? 物語ではありませんし」
「………そうですね。見に行ったことがないので、一度試してみるのはいいかもしれません」
内心で拳を握る。
「ご自身で何か演奏したりは?」
「教養として、いくつかの楽器を弾けますが、プロのようにうまくはありません」
「ピアノが広間にあるので、今度聞かせてもらえませんか?」
貴族令嬢は楽器を趣味にする者もいる。
「そうですね。少し練習をしておきます」
「楽しみにしておきます。明日コンサートをどこかでしているかわかりませんが、一度調べてみましょう」
なくとも小さなサロンで開催させればいい。
「わかりました。ああ、もし街の方に出るのであれば、シーモア卿の元へ寄ってもいいですか? 作成した個人的な婚約契約書を公的書記官として登録をお願いしたいので」
「……公爵家のお抱えではだめですか?」
「顛末を報告もしておきたいので、ダメですか?」
「いえ、以前お世話になりましたし、何かお礼の品も持っていきましょう。先ぶれを出しておきます」
だめですと言いたいというのに、別の言葉に変換した。
「ありがとうございます」
一瞬作り笑いではなく、表情が柔らかくなった。
羨ましい。どうすれば俺の話でこんな顔をしてくれるのだろうか。
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