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20 聖女の友達


 ある日、私は聖女だと言われ、王宮に売られた。


 出自は公表されず、下位貴族の娘だということにされている。実際は田舎の農民の子供だった。


 老夫婦で、実際はどこかの捨て子だったという。元々子供がいなかったから、老後を考えて買った可能性もあった。それでも、両親は貧しいながらもちゃんと育ててくれたし、学校にも通わせてくれた。けれど、お金で私を売った。


 王宮に連れてこられて、奥にある聖女だけが聖力を込められる秘宝に連れていかれた。そして、正式に聖女だと認められてしまった。


 絶望して泣いているのに、みんなが祝うのだ。


 そんな中、一人だけ同情してくれた。それが当時王太子の婚約者だったリラだ。


「本当に、凄い。偉い。可愛い! こんな短期間であんなに上手に貴族語を扱えるようになるなんて、天才!」


 私の婚約者の元婚約者に膝枕してもらって、ネコか犬に対するように撫でられている。


「ふへへ。がんばっただ。わたず。リラを守ってあげられるぐらいに、強くなるってきめただ」


「生粋のお嬢様も驚くくらいの完璧なお嬢様だった! 他の令嬢連中を見てて笑わないようにするのが大変だったわ!」


 裏に隠された嫌味などなく、ただただまっすぐに褒められていることが分かる。これまで、頑張ってきたことが報われた気分だ。


「わたず。婚約破棄で、リラがどんな立場になるか、わかってなかった。嫌われたかもしれないって、怖かった。でも、会いに来てくれで、うれじいっ」


 ほっとして、涙があふれた。


 リラからは、事前に少しの間王宮には向かえないと言われていた。新しい生活のために準備があるし、妙な噂を避けるためだと。だけど、みんなが歓声を上げる中、一人取り残されているリラを見て、自分がいるせいだと思ってしまった。


 王妃様が、聖女であり、将来王妃になる私には、社交界で絶大な権力を持てると諭された。準男爵は平民よりも上でも、貴族よりも下だから、誰かの守護下になければ不当な扱いを受けると。聖女の庇護下にあれば、どんな貴族からも守れるからと、リラが戻るまでに頑張った。


 貴族令嬢たちとのお茶会の会話を書き出してもらって、表面上の意味と裏の意味を教えてもらった。気分のいいものではないけれど、ひたすらに学んだ。聖女の私ですら、侮辱する人たちはきっとリラも侮辱する。だから、強くなろうとしたのだ。


「本当はもう少し早く会いに来たかったけど、王宮に上がるにはそれなりの服も必要だったから。それに、まあ……色々とあったから。次はもう少し早くに会いに来るわ」


「ゔんっっ」


 無様に泣いても、リラは受け入れてくれる。




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