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【戦いの行方】

____【アケノ山】【監獄洞窟】


「トライン…?」

「すまない。別に騙すつもりは無かったんだ…」

「ふふふふふ♡」


トラインの表情は、まるで後ろめたい事実があることが見て取れた

「分からないよ…どういうこと…?」

「ふふふ…♡この男は沢山人を殺した事があるのよ」

「本当なの、トライン…?」

「あぁ本当だ。言い訳になるのは分かってる…。だが状況が状況だったんだ…。俺は人を殺めることでしか生きられなかった…何人殺したかも覚えていない…今でも夢で苦しむほどに」


トラインは自分の汚れた手のひらを見つめる

「カリンダ、俺がとても怖いだろ?」

「え…?」

「お前の気持ちはよく分かる、お前は俺が怖いはずだ…」

「ちょっと、何言ってるの?やめてよ‥‥」


「この戦いが終わったらお前をギルドで保護してくれるように頼むつもりだ。だから…」

「ふざけないで!!!」


突然カリンダが激昂した。初めて見せたカリンダの表情にトラインも驚いた

「カ カリンダ?」

「ふざけないでよ…何が私の気持ちは分かるよ…全然分かってないじゃない!!!トラインが怖い!?馬鹿じゃないの!!!本当にバカじゃん!!!」

「お お前…」

「私にとってトラインは…大切な人だから…」


カリンダは痛みで動けないはずの体を必死に動かして立ち上がる

「お前っ無理すんな!!」

「無理もするよ!!!」

「…ッ!!」

「例えどんな過去を背負ってたって、私がトラインの事を嫌いになるわけないでしょ?だって私は…トラインが好きだから…筋肉が大好きで筋肉の事になると夢中で話すトラインが好きだから」


「……カリンダ」

「トラインがいなかったら今の私はいない。だからトラインが過去の事で悩んでいるなら、私も背負いたい。だって私達は仲間だから。だから…また…自慢の筋肉でみんなを笑わせてよ……」



トラインはカリンダの悲しい表情に再び後悔に打ちひしがれていた


(何も分かっていないのは俺じゃないか…全てカリンダのためだと思っていたのに、カリンダの気持ちを全部無視していた。俺は本当にダメなマッチョだ…。こんなんじゃオーガルさんみたいなボディービルダーになんて一生慣れないよな…)


カリンダにとって本当に大切なことは何か、トラインはその答えを出すことが怖かった。もし言えば自分を拒絶するのではないか、自分を嫌ってしまうのではないかと。この時、初めてカリンダが為と思っいた行動は、全て自分が為の行動だと思い知らされる。トラインは考えを改めた。本当にカリンダの為を思うのなら、もう怖がってはいけないのだと


「あぁカリンダ、これが終わって帰ったら俺の自慢の筋肉をいくらでも見せてやる。お前のことはもう一生お前を一人にはさせねぇよ」

「トライン それって…」

「そうだ。これからも一緒に旅をしよう。沢山の人と出会って沢山の風景を見るんだ。お前と一緒にな。それにお前が居ないと服を直してくれる人もいなくなるし…」


カリンダは笑顔で答えた

「うんっ…いくらでも縫ってあげるね」

二人はもうただの旅の仲間ではなかった。お互いがお互いに本当に特別な存在になっていたのだ。もう二人を引き裂くものはきっとないだろう。これらもずっと







「あーもういいかしらー?」

待ちくたびれたのかテレブレアは座っていた


「すまない、待たせたな…」

テレブレアは立ち上がると、新しい魔式ナイフを取り出す

「黙って聞いていたけど、やっぱりつまらない男なのね。ガッカリ…」


「ガッカリさせたなら申し訳ない。だが俺は決心したよ。もう逃げないし立ち止まらない。俺は間違った過去を送ったかもしれない。でも俺は正しい未来を生きて償っていく。それが俺の答えだ」


「あっそう…もういいわ。やっぱツマらない」

テレブレアは両手にナイフのナイフを構える


()()()を殺したら…少しは楽しめるかな」

「ッ!?」


トラインは全速力で走り出す。テレブレアは腰を低く保ち呪文を唱えた

「【大禍死超斬(おおかしちょうざん)】」

狙いはカリンダであった。黄色いオーラを身に纏うとテレブレアはカリンダに目掛け高速で突進しナイフを突きだす


「さよなら子猫ちゃん♡」

「やめろぉぉお!!!!」


トラインが間一髪の所で駆けつけるとカリンダを覆うように抱きしめた。テレブレアのナイフはトラインの背中に深く突き刺さる。それだけではテレブレアの攻撃は終わらず、次々とコートからナイフを取り出してトラインの背中に攻撃する


「邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔!!!!」

トラインは痛みで苦しみ堪えていた


「やめてッ!!!目当ては私でしょ!?これ以上トラインを苦しめないで!!!」

「もう依頼なんて関係無ぇよッ♡!!!私が楽しめればそれでいいんだ!!!もっと楽しませろぉぉおおおぉぉッ♡!!!!」


次々とナイフが背中に刺さる中、トラインはカリンダに語りかける

「なぁカリンダ…」

「ッ!?なにトライン!!」


「俺とお前が最初に会った日の事を覚えているか…?」

「何言ってるの!!今それどころじゃ!!」

「俺は覚えるぜ…。お前泣いてたよな…あの時のお前は本当に小さかったのを覚えてるぜ…」

「ちょっと血が…ッ!」

「お前の…お兄ちゃんが居なくなっても、お前はめげずに頑張ってきたよ。お前は本当に凄いぜ」

「やめてよ…」

「お前は料理も上手いし、裁縫も上手だからな…きっと良い奥さんになれると思うぜ…」

「やめてよッ!!!なんでそんな…最期みたいな事を言わないでよッ!!!」


トラインはカリンダに優しく微笑む

「なんで…」

「最期なんかじゃねーさ………俺は死なねぇよッ!!」


そう言うとトラインは拳を強く握り締め、テレブレアの体に一撃を決める。突然の攻撃にテレブレアは咄嗟に防御の体制を取るが、トラインの強烈な一撃をもろに受け、数メートル吹き飛んで壁に激突した


トラインは立ち上がり拳を構える


「カリンダ…今のうちに逃げろッ…!外にいるエローナ達と合流するんだ」

「ダメだよ!トラインも一緒に逃げなきゃ」

「無理だ…あんな攻撃で死ぬような敵じゃねぇ」


トラインの言う通り瓦礫からテレブレアが這い出てきて立ち上がる

「ふふふ…今のは痛いじゃん…♡」


テレブレアの目が本気になっていた。向こうも余裕が無くなってることが分かる


「大丈夫だ、俺は絶対に生き残って帰る。だから心配せずここから逃げるんだ」

「(嘘だ…)」

カリンダは分かっていた。トラインはもう長くない、巨大な広背筋に突き刺さったナイフがそれを物語る。もしこのまま逃げれば、今度こそトラインは死んでしまう。カリンダにはそれは出来ない


「(ダメだ…いつも私はトラインに助けられてばかりだ…トラインは今も苦しんでるのに、私はただ逃げるなんて出来ない)


カリンダは手を前に突き出した。中々逃げないカリンダにトラインも焦りだす

「カリンダ!!何やってる!!早く逃げろ!!」

「逃げないッ!!今度は私が…トラインを助ける番だッ!!」



カリンダが力を込めると突如として手から眩い光が放たれた

「なに!?」

「…ッ!?」


光が洞窟全体を包むと、その場にいた全員の傷が癒され体力が回復するのが分かった。トラインの背中に刺さったナイフも次々と抜けていって、傷口が塞がれていく。カリンダが持っている強力な回復魔法であった。しかし前とは状況が違う


「出来た…私の回復魔法…」

「まさかカリンダッ…お前知ってたのか!?」


「知ってたよ。私には凄い回復魔法が使えるって…でも自分の意思で使えたのは今回が初めて…」


トラインは自分の体力が全て回復したのを確認すると、カリンダにお礼を言う

「ありがとう またお前に助けられちまったな。なら俺も全力で戦わないといけねぇ!!」



トラインの体力が全回復したが同時にテレブレアも体力が回復してしまった。最初は驚いてたテレブレアも事態を確認すると再びナイフを構える

「なんか知らないけど…まぁいいわ…♡」



「うん…トライン…力が…出ない…」

「カリンダッ!?」

カリンダが突然倒れてしまう。力を使ったことで気を失ったようだ

「カリンダ…よく頑張った。ゆっくり休んでくれ」


トラインはゆっくりとカリンダを寝かせると、傍にあった自分の剣を強く握りしめる


「今度こそ…決着をつける」


トラインは必ず生きて帰ることを己に誓い剣の鞘に手を掛ける。トラウマで手が震えるが勇気を決して剣を抜いた。すると刃先が光だし、トラインを包み込む

「なんだこれ…ッ!?」


なぜか体中から力が湧き上がってくるのが解る

「これは…普通の剣じゃないだとッ!?」


「へぇ♡まさかの魔式道具…それも強力なエンチャント武器じゃない」


剣はまるで空気のように軽く、あらゆる力が宿ってるようであった

「おいおいあの爺さん…とんでもない剣をくれやがったな」


トラインは改めて剣を構える。テレブレアも呪文を唱え攻撃をはじめる

「【大禍死連斬(おおかしれんざん)】」

テレブレアのコートから高速でナイフが噴出される。しかし、トラインが剣を構え一振すると風圧で全てのナイフが吹き飛ばされた


「すげぇ!!体がとても軽い!!」


しかしその隙にテレブレアは間合いを詰め、トラインの首へ目掛け斬りかかる。トラインは瞬時に避けると、即座にテレブレアを蹴り上げる。テレブレアは受け身をとって、投げナイフをトライン目掛け投げるがトラインの姿はない


「はぁ!?どこいったわけ!?」


トラインの気配が完全に消え去る

「あり得ない!!私が気配を読めないなんて!!あんな巨体の気配をッ!!?」

「ここだ」

「ッ!!」


背後にトラインがいると分かるとすぐさま慌てて距離をとる

「……あんた凄腕の殺し屋だったわけ?」

「いや違う、元殺し屋だ。そして今はただの筋肉を愛するマッチョの一人だ」


トラインは【モストマスキュラ―】のポーズを決める。その神々しいまでのポージングにテレブレアは全てを理解した。気配を消す暗殺技術、全てを破壊できる最強の腕力、使用者の力を最大限まで高める魔式の剣。もはやテレブレアに勝ち目がないことは本人も十分に分かっている。だがそれでも…

「ふふふっやっぱお前面白れぇッ♡!!」


テレブレアはこの状況を楽しんでいた

「今ので分かっただろ?俺はお前に絶対に負けねぇ。これ以上戦うっていうなら本気でお前を斬る」

「ふふふっここまで戦っといて、まだ私を見逃すつもりなの?安心しなよ…私は戦いは放棄しない。それに…」


テレブレアはカリンダの方を指差す

「これは殺し合いだ。アンタが生き残ればその子を連れて帰ればいい。でも私が生き残ったらその子を殺してやるよ。残酷に切り刻んでね」

「そうか、ならもうお互いに後は引けねぇな」


___テレブレアとトラインは激しく剣を交える。時に剣から火花が出るほどであった。テレブレアは傷んで使えなくなったナイフを何度も変えて戦う。しかしトラインの見た目に寄らない素早い攻撃は少しずつテレブレアの体に当たる。それでもテレブレアは徐々に傷ついてく自分の体に興奮していた

「(あぁ♡この人なら私を楽に殺してくれる…。痛みもなく一瞬で…私の夢が叶うッ!!)」



そして遂にテレブレアの望みが叶う時がきた。トラインは瞬時に背後に回り込むと全ての筋肉に力を入れ、全力で剣を振りかぶった。その速さでは完全に避けられないうえに、当たれば瞬時に死ぬことが出来た。まさにテレブレアが望んだ通りの結末だ

「(やった…これで私は楽に死ねる………)」




しかし剣が当たる直前、テレブレアは余計なことを考えてしまった。その余計な考えは体に反応してしまう。トラインが振りかぶった一撃はテレブレアの胴体に直撃したが即死には至らず血が飛び散って地面に叩きつけられた。トラインは全てが終わったことを察すると剣を鞘に納める。その表情はどこか悲しげであった





___テレブレアは仰向けで開いた天井から月を呆然と眺めた

「あぁ…クソ…やっちまった…マジでクソ痛い…」

テレブレアは意識があるが、自身の胴が完全に斬られており、大量に生温かい血が体にまとわり付いてくるが、なぜか真冬のように体は寒かった


「あぁ…なんでかなぁ。ちょっとだけ生きたいって思っちゃった。せっかく楽に死ねるはずだったのに…見事に傷口が…臓器を逸れてるわ…」


トラインはテレブレアを起こして抱きかかえる。さらに血が吹き出てテレブレアが痛みで悶え苦しみ叫び出す

「うわぁあぁぁぁぁぁぁあああぁあぁあぁ!!!」

「落ち着け…とにかくこのポーションを飲め。痛みが和らぐかもしれ…」

「いらないッ!!!」


テレブレアはトラインが差し出したポーションを振り落として割ってしまう。もはや、トラインは痛がるテレブレアをただ黙って見ることしかできない。ただ今は敵味方関係なく優しい瞳で最期を見送ろうとした。それがトラインが唯一出来る自分への償いだと思ったからだ


「ほんと…うっ…あんた…お人好し……」

「あぁ、よく言われる」

「はぁはぁ…アンタも…覚悟…しな……人を殺し…すぎた人間は…安らかには……死ねない…わ…」

「とっくの昔から俺は安らかに死のうとは思ってないぜ。でも自分の信念は変えねぇ、俺はこれからも目の前の人を助け続ける。この筋肉に誓ってな」


「あっそう…やっぱアンタ…つまら…ない…」

















___トラインは気絶したカリンダを抱いて監獄洞窟を後にする



月夜に照らされたテレブレアは、まるで安らかに眠ってるようであった







____________________________

【アケノ山】【山道中】


王宮魔術師グリープとの一戦にてリドル&エローナは迫りくる魔獣やグリープの魔法攻撃の熾烈な攻防劇を繰り広げていた


「エローナさん…?一ついいですか?」

「なによッ!!こっちは魔獣を倒すので忙しいのよ!!」

「気のせいだと思うのですが…さっきからエローナさんの攻撃が…







_一つも当たってないように思えるのですがッ!?」


リドルの言うとおりエローナの華麗な剣さばきは見事に全て外れていた。あまりの外れっぷりに魔獣たちも謙遜するほどだ

「きッ…気のせいよ気のせいッ!!」

「いやいやッ!!そこまで当たらないのはまるで才能ですよ!!」

「はぁ!?嘘言わないでよ!!少しは当たってるでしょ!?」

「…もういいですよ。あとは私が全部やりますから…」



グリープは空中で高みの見物をしている。リドルは方範囲魔法を使うためエローナに注意を促した

「どうだ!!ワシの自慢の魔獣に手も足も出まい!!」

「エローナさん、少し我慢してくださいよ。手っ取り早く強力な魔法を放ちますから」

「え?マジで!?」



「【テラアイシバース】!!」

リドルが放った魔法は周りの全てが氷と化す最上級魔法であった。魔獣たちは全て一匹残らず氷漬けにされる。エローナも足元が氷で埋もれた

「ちょっと突然何ッ!?危ないじゃないッ…てか寒ッ…!!」

「少しは感謝してくださいよ。あなたに当たらないように調整するのは大変なのですから…」


グリープは魔獣たちが全て氷漬けにされたことに驚愕する。なによりもリドルが放った最上級魔法はグリープを混乱させた

「ああ あり得んッ!!テラ系魔法は最上級魔法のはずだッ!!一介の魔術師が使える魔法ではないッ!!それに最上級魔法を使ったら普通なら体が動けなくなるほど疲労するはず!!」


「申し訳ありませんが私は普通の魔術師とは違うんですよ」


リドルのローブからちらりと見えた紋章入りペンダントにグリープはさらに困惑する

「まさか…!!その紋章は【サイキック協会】だとッ!?なぜ協会の連中がここにッ!?」

「まだ気づいて無いのですか?あなたの真下に魔方陣を描いていることに…」

「なんだと…ッ!?」


グリープの真下には確かに魔方陣が形成されていた。呪文が発動されると無数の鎖が出現しグリープを拘束する。グリープは身動きが取れなくなってその場に落下した

「ちくしょぉぉぉぉおおおぉぉおおう!!!!!」


地面に落下して混乱してるグリープにリドルは魔法を唱える

「あなたの魔獣への行動魔法を私の行動魔法で上書きしました。これで街を襲ってる魔獣は動かなくなります」

「ち、ちくしょう~…」




【これにて決着 勝者リドル(おまけでエローナ)】

「おまけってなによッヽ(`Д´)ノ!?」







___【グルメイン】【壁外エリア】


魔獣たちの襲撃から街を守るため、全ての兵士やギルドメンバーが総動員して魔獣と対峙する。ギルドマスターは街の真ん中で最上級の防壁魔法を唱え、街に巨大なバリアを張っていた

「ワシの力じゃ、これが精いっぱいじゃな…」


外壁で魔獣たちと戦う兵士やメンバーにも疲労の限界が近づいていた

「だめだ、もうおしまいだ…」

「こんなの勝てねぇよ…」

「くそ、トラインまだか?こっちはもう限界だッ!!」


全ての人が諦めかけていた時であった、突然 魔獣たち動きが大人しくなる。まるで戦意が喪失したかのように動かなくなったのだ。突然の出来事にみな驚く

「な なにが起きた?」

「動きが止まった…ッ!?」

「いや油断するなッ!!」


何人かの兵士たちが念入りに確認してみる。剣で皮膚を刺したり魔法で攻撃をしても、魔獣たちは動く気配は無い。これに次第にみな勝利を確信しはじめる

「勝ったのか…?」

「間違いない、勝ったんだッ」

「やったぞッ!!トラインがやってくれた!!俺たちは勝ったんだッ!!!」


勝利を確信すると全員が歓声をあげる、街中にも勝利の号砲が鳴り響いた。街の人達全員が勝利の雄叫びをあげる。だが一人だけこの勝利を素直に喜べない者がいた。ギルドマスターだけは戦いが終わっても魔法の防壁を維持し続けていた


「どうしたんですかギルドマスター!!戦いは終わったんですよ!!防壁を解除して外の兵士たちを中に入れましょう!」

「いや、まだ防壁を解除することは出来ん」

「どういうことですか?」

「まだ戦いは終わっとらん。そんな予感がするんじゃよ」



ギルドマスターの不吉な予感は当たっていた。外壁の外にいる兵士たちは勝利に気を取られていると、突然魔獣たちが動き出す。最初は兵士たちも驚くが魔獣たちはまるで粘土のようにぬっくりと動いていた。攻撃はしてこないため、兵士たちは警戒しながら様子を見ていると、魔獣は近くの魔獣とくっ付いて融合し、肉の塊になっていく


「なんだッ!?」

「魔獣共が合体しはじめたぞ!!」

「爆発の可能性もある!!全員距離を取れ!!!」


兵士やメンバー達が融合していく魔獣を遠くから観察していると、徐々に肉のかたまりは形を変え獣のようになっていく。完全に融合を終えて姿を表したのは山のように巨大な魔獣【巨大獣】であった。巨大獣は大音響の轟声を発すると、周辺一帯が揺れるほどの衝撃を与えた。その光景に何人かの兵士やメンバーは戦意喪失し逃げ出すものもいる

「おいマジかよ…」

「こんなのありか!?」

「終わりだ」


「怯むなッ街を守るんだろッ!!!ならば全員武器を取れッ!!!」



月夜の光に照らされた大きな鉤爪は、街の終焉を知らせる鐘のように不吉に輝いていた

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