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【トラインの過去】

___俺には二人の恩人がいた




「商品はこれで全部か?」

高貴な身なりの男が奴隷商人と話している


「えぇ勿論ですよ旦那様!全員元気で活きが良い物ばかり!」

5歳から10歳ほどの男女がズラリと並んでいる。手足枷が付けられ、感情など無いに等しく皆無表情だ


「女は器用なので様々なお手伝いで使えますし、男は肉体労働などにもってこいです。いかがしますかね?」

「時代は戦争だ。我々は若い男を欲している。優秀な捨て駒になれる奴はいないのか?」


「ではこちらを…」

少年たちが並べられ客が品定めをする


「うむコイツもいい コイツも合格だ お前も合格。こいつは…」

たった一人だけ違う。その8歳の少年は剣なんか持てそうにないほど小柄で貧弱な体型


「こいつだけはダメだな、あとは全員を買わせてもらおう」

「へへ毎度あり」


いつもそうである。この少年だけはいつまで経っても売れない。8歳になっても体は弱々しく肉体労働すら適わない。そのため、客が彼を買うことはない



毎日毎日売れないたびに、奴隷商人のストレスは少年への暴行へと向けられた

「またお前だけ売れなかったじゃないかぁ!!!」


奴隷商人は少年の体を蹴ったり殴ったり……、顔は商品だから傷つける事は出来ない

「お前の食事代がかさむばかりだ!!!迷惑を掛けやがって!!!」


少年は傷だらけで苦しいが、いつもの事なので感情も持たずに時が過ぎるのを待っていた。最初の時こそゴメンなさいと必死に叫んで命乞いをしていた。しかし途中から、いくら許しを乞うが無意味であると気がついた。次第に何も言わず暴力に屈して黙るだけであった


「ちっ!屋根の修理は任せるぞ!!お前が出来るのは雑用くらいだ!!雑用すら出来なくなったら狼の餌にしてやるからな!!!」

常に売れなかった少年は、遂には雑用として働かされる。屋根の修理や家具の修繕、夕食作りまで。いま思えば自分が器用になった理由はコレかもしれない


しかし、料理や家事は女奴隷の仕事だと相場は決まっている、男奴隷の自分にとっては何のプラスにもならない。日に日に商人のストレスも増え暴力も増えてくる。商人にとって少年は丁度いいサンドバックなんだろう…




___もう死ぬんだろうな



もういつ死んでもいいと思っていた頃だった。自分が奴隷商人に売られてから110日目が経った日のことである。なかなか売れない少年は商人の屋敷で労働を課せられていた。いつものように暴行されうずくまる少年に、商人は床の掃除を任して寝室に戻っていった



しばらくすると寝室から商人の悲鳴が聞こえてくる

「ぎぃやぁぁぁぁああぁぁ!!」


少年が様子を伺うため寝室に入ると、そこには血だらけになって死んでいる商人の姿があった

「……」


その隣では謎の仮面を付けた女が立っていた

「…だれ?」

「お前はここの奴隷か?」


女は剣の血をふき取る

「喜べお前の主人は死んだ。お前はこれから自由の身だ。好きな場所に行けばいい」


少年は無表情で女に問う


「…自由ってなんだ?」

「その質問は困るな…。かく言う私も自由かと聞かれたら困る。だが少なくとも鎖は繋がれてない。お前だって同じだろう?」


少年は女に語り掛ける

「何を言ってる。僕は別に生きる価値は無いんだ。奴隷としても価値は無かった。主人も死んだのなら…ここで死ぬよ」




「死ぬだと…?」

「あぁここで野垂れ死ぬ…僕には生きる意味なんて無いからだ」



「そうか…じゃあ今すぐに死ねッ」

突然、女はナイフを少年の顔に目掛けて突き刺す。少年は恐怖のあまりに顔を逸らしてナイフを避けてしまった


「…なんで避けた?死にたいんじゃないのか?」

「そ それは」

「本当に死にたい奴は避けないさ。それでも避けたってことはお前は生きたかった。ただそれだけの事だ…」


少年は恐怖心で倒れ込む

「い 生きたかった…?……僕は生きたいのか…?」


女は暖炉にある火が付いた木材を拾うと、カーテンや床にばらまいて火をつけた

「ここは燃やす…。お前も一緒に来い」

「来い…?…僕があんたに?」


「そうだ、本当に生きたいと思うのなら私についてこい。生きる術を全て教えてやる。私と共に生きる意味を見つければいい」






___これが僕が最初に出会う恩人であった。少年はかつて自分が働かされた商人の屋敷が燃えるのをただ眺める

「燃えてる…」




「行くぞ少年」

「なぁ……あんたは誰なんだ…?何者なんだ…?」



女は仮面を脱いで素顔をみせる。とても綺麗で肌の透き通った女性であった

「私は〝ラフィーナ・メルポン〟…【殺し屋】だ」







__ラフィーナが所属する組織は裏社会では有名な暗殺部隊であった。ラフィーナが奴隷の子供を拾ってきたことはすぐに問題となり聴聞会議にかけられることになった。ラフィーナを聴聞するのは組織の幹部たちと組織のボスである


「まさか奴隷の子を拾ってくるとわな…」

「勝手なことはしないで貰いたいね~」

「ついに血迷ったかラフィーナ!!」


幹部たちの厳しい批判にもラフィーナは冷静に答える

「あぁもちろん私の勝手だ。あの子は私の手で育てる。異論があるなら私を殺せばいい」

「お前は組織の稼ぎ頭だ…そう考えて簡単に殺せないと腹を括っておるな?」

「どう捉えようが構わない」

「なぜ少年に固執する?見たところ体も貧弱で魔法の素質もない…ハッキリ言ってゴミだ」

「私は全力で少年の顔にナイフを突きました。しかし少年は私のナイフを避けたのです。あの反射神経は殺すには惜しい」

「なんだと?お前の攻撃を避けるやつなどいるのか?」

「ほうそれは少し面白い…」


「あの子には何か光るものがある気がします。お願いです。あの子を組織に入れてくれませんか?」


ボスが手を挙げてラフィーナに答える

「いいだろう…責任は全てお前が取れ」

「感謝します」







___こうして少年は組織の一員となった。しかし待っていたのは地獄のように厳しい訓練である


「遅いッ!!剣の振りが甘いぞッ!!」


訓練の様子を見た他の殺し屋たちも、少年を気の毒に思うほどだ

「ひぇっ…ラフィーナの鬼訓練は地獄だぞ」

「あいつ3日も持たないんじゃないのか?」


しかしどれだけキツイ訓練であっても、少年は弱音一つ吐かずに訓練に従った。地獄のような訓練であっても、奴隷時代の事を思えば幾分マシだったからだ。それをみてラフィーナも次第に心を開かせる




「少年、飯の時間だぞ」

草原の上で風呂敷を広げラフィーナは弁当を開ける


「‥‥」

「どうした?食べないのか?」

「いや‥どうしてこんなに良い飯を食べさせようと?僕は別に働いていないのに…」


「訓練も立派な仕事だ。てかあんた…前まで食ってたの?」

「虫とか腐った…」

「あぁ!!もういいもういい!!…食事時に食べる話じゃないのは理解した!!」


ラフィーナは弁当を手渡す

「もうあんたは奴隷じゃないのよ?だから出されたら遠慮なく食べなさい」

「分かった…」



少年は弁当を口にする

「お…美味しい…」

その時の弁当は間違いなく世界一美味しかっただろう。少年は夢中で弁当を食べる


「そういえばアンタ名前は?」

「僕か…?奴隷に名前はない…おいとかお前とかで呼ばれてきたからな」

「そうなの…じゃぁここで決めましょうか。あんたは正直言って動きも鈍くてトロイわ。だからあんたの名前は今日からトロインね」

「あぁ分かった。僕はトロインだな」

「おいおいおい!!分かったってなぁ…普通に考えて悪口って分かるでしょ?ったく冗談が通じないんだから」

「冗談だったのか?」


ラフィーナは頭を悩ませる

「じゃあ少しもじって〝トライン〟にしましょう。あんたは外ではトライン・メルポンと名乗りなさい。私の弟って設定にするから」

「弟?」

「姉弟って方が都合がいい場合もあるからね。今日からよろしくねトライン」

「あぁ…よろしくだラフィーナ」


この日から俺の名前はトラインとなった。ラフィーナによる訓練によって、剣や防具の扱い方、暗殺の心得や必要とされる技術の全てを叩き込まれた


トラインは見違えるほど成長したのは言うまでもない


「そろそろアンタにも仕事を回すわ。いつまでも訓練ばかりってわけにはいかない」

「わかった…誰を殺せばいい?」

「最初の任務は私も同行するわ」

「なぜだ?僕一人でも十分だと思うが…」


「いいや…最初は絶対に私が付いて行く」




__暗殺者としての初任務の夜、ラフィーナの同行でターゲットを殺すために屋敷に潜入をした。ターゲットは貴族の金持ち。傲慢で金遣いが荒く女性を道具としか思ってないような男である。屋敷の全員を気絶させターゲットがいる寝室まで行った。その男は先回りしていたラフィーナの手によって縛られて拘束されている。口にはタオルを突っ込まれ喋ることが出来ず悶え苦しんでいた


「なぜ縛るんだ?殺すならてっとり早くやるべきじゃないのか?」

「そう焦るな。お前にとっては初の殺しさ。人を殺すにも準備がいる」

「準備?」

「こいつは貴族という肩書きを盾にして婦女暴行や殺人を起こした男だ。被害者のほとんどは身分の低い女ばかり。社会的地位が高いから裁かれることは無い」

「つまり?」

「おいおい少年 察して欲しいなー…わざわざお前のために胸糞悪い奴を暗殺対象に選んでやったんだ」

「必要ない。俺はどんな相手でも殺せる覚悟はある」



「覚悟がある事と実際にやることは別だよ」

「‥‥」

「例え相手が極悪人だったとしても、殺人ってのは躊躇するものだ。人を殺すってことは覚悟だけで埋まるほど簡単な話じゃないのさ」


そう言うとラフィーナは男の塞いだ口のタオルを解く。男は怯えるどころか激高で叫び出した


「誰かー!!!わたしを助けろー!!」

「無駄だよ。屋敷の連中は全員眠らしてる。しばらくは起きてこない」

「くそっ貴様ら!!ワシは貴族だぞッ!!!今に覚えていやがれ!!こんな事はタダで済むはずが無い!!国に訴えてお前ら全員皆殺しにしてやるからな!!」


ラフィーナは冷酷に返す

「残念だが、お前に暗殺依頼を出したのはその国の大臣だよ。何を怒らせたか知らないが、あんたは国に見捨てられてんだ」

「なんだと!?嘘だ!!嘘だぁぁあぁ!!!」


「さぁやれトライン」

トラインはナイフを手に持つ。男は遂に観念して涙を流して命乞いを始めるが、トラインは覚悟を決めた








__静かになった屋敷を後にしたトラインとラフィーナはバーで杯を交わす


「これでアンタも立派な暗殺者だ」

「…あぁ」

「これからは依頼は一人でこなしていけ。私抜きでもお前の力だけで生きていくんだ。いいな?」

「あぁ分かってるよラフィーナ」


先ほどまで殺人をしたのが嘘のように、綺麗で可愛らしい微笑みを見せるラフィーナに、この時からトラインはラフィーナへ恋愛感情があったのかもしれない




__この日から俺は暗殺者として人生をスタートさせた。最初は大変なこともあったが、次第に仕事にも慣れてくる。勿論だが暗殺というのは必ずしも悪い者だけを殺す訳では無い。決して正義のヒーローでは無いのだ



立派な殺し屋になったころには年齢は10歳を過ぎていた。俺の手は何人を血に染めたのか…それすら分からなくなった。ただ暗殺依頼を受けた回数だけは覚えていた


「100回目…」


暗殺というのは一人1依頼と言うわけではない。時には一つの依頼に10人以上の殺しが含まれることもある。そのため依頼100回の達成は他の殺し屋からも一目置かれるものであった


「すげぇなあいつ。遂に暗殺100回目らしい」

「よくやるぜ…、暗殺はリスクが高い上に金は組織にほとんど取られるからな。まぁそれでも高給取りな方だが、俺なら即座に裏手の仕事にまわるぜ」

「まぁでも気の毒だよアイツも…暗殺者っていうのは大抵ろくな最期は迎えないもんだぜ…」





__俺は暗殺で稼いだ金を全て貯蓄していた。なぜなら俺は暗殺の仕事を辞める日に備えていたからだ。いつの日か必ず本当の自由を手にするために。109回目の暗殺依頼を終えたあと、俺は組織に脱退を申し出た。しかし簡単には組織から抜け出せない。俺はもちろん聴聞会議にかけられることになる


「組織への脱退は死を持って償う。それを知っての発言か?」

「知っている。だが俺の働きで組織はだいぶ稼いだのも知っている」

「貴様っ!!頭が高いぞ!!元々奴隷だったお前を拾ったのは我々じゃないか!!」

「俺を拾ったのはラフィーナだ。それに俺はそもそも組織へ加入した覚えは無いし誓った事も無い。全部ラフィーナがやったこと。俺には抜ける権利があるはずだよな?」

「屁理屈だ!今すぐここで殺してやろうか!!」

「まぁまて、確かにお前の言うことも一理ある。お前は十分な働きを見せてくれた。だが何もせずに、組織への脱退を許可することは出来ない」


「…何をすればいいんだ?」

「高難易度の暗殺依頼がある。もし成功したなら脱退を許してやってもいい」

「いいだろう、誰を殺せばいい?」

「組織から裏切り者が出た、我々がこれまで暗殺で取引した連中との金のやり取りを記録した機密取引書を盗んでいったのだ。目的は他国に情報を売って、我々と国を潰すのが狙いだろう」




「裏切り者?誰なんだソイツは…」




「ラフィーナさ」

「ッ!!?嘘だ!!」


「本当の話だ、ラフィーナは我々を裏切った。だから死を持って償わせる必要がある」

「しかしラフィーナ程の暗殺者はそうそういない」

「そこで弟子であるお前の出番と言うわけだ…お前ならラフィーナを殺せる」


トラインは完全に動揺をする。しかしボスは冷酷に条件を突きつける

「どちらにせよ選択肢は無い。一生ここで組織に従事するか、師匠を暗殺して組織を抜けるか、お前が選べ…」


その時選んだ選択は…













___組織に従うことであった











___しかしそれは組織を欺くための嘘である。本当はラフィーナと共に逃げるつもりでいた。トラインにラフィーナは殺せない。恩人であり初めて好きになった人だからだ


その日は雨が降っていた。当然忘れもしない。俺が初めて好きな人を殺めた日だった


「違う…本当は…そうじゃないっ…!!」

血だらけのラフィーナを抱え俺は後悔に打ちひしがれていた。瀕死のラフィーナは優しい表情でトラインの頬を撫でた


「あんたも…そんな顔が出来るんだ…少しお姉ちゃんほっとしたな」

「俺は…俺は…!!!」

「これでいいのよ、私はすぐに死ぬ運命だった」


か細い声でラフィーナは答える

「殺されるのが…アンタで…良かった…」


その言葉を最期にラフィーナは命を絶った。おれは初めて泣いた。大声で、声も枯れるほどに…









___組織内では最強の殺し屋を殺した男として、俺の評価は伝説となった。組織も俺の要求を呑むしかなく無事に脱退を認められ、俺は組織を抜け出した

「自由か…」


しかしどこにも行く宛はない。あるのは暗殺で稼いだ大金のみであった

「俺はどうすればいいんだ…なぁラフィーナ…」



トラインが森の中を歩いていると、目の前に山賊たちが現れる


「ひっひっひ よぉ小僧。こんな場所に一人でいたら危ないぜー?」

山賊たちは短刀を手に持っていた


「俺を殺す気か?」


「よく分かったな~。どっかの金持ちに依頼されたんだ、お前を殺したら大金をくれるってな」


トラインは依頼主に検討がついていた。山賊共に殺しを依頼したのは組織の連中だ。師匠殺しをした俺の存在は組織にとって邪魔なんだろう




しかし俺にはもう生きたいと思える気力は無かった。木の幹にゆっくりと座り込む



「あぁん?なんのつもりだぁ?」

「殺れよ。俺は手は出さねぇ、殺したかったら好きにしろ」


そう言って俺は目を瞑った。もう死んでもいいと妬けになっていたのだ


山賊共は笑いながら刃物を少年に突き出す

「じゃあお言葉に甘えて死ねぇっ!!」

「(ラフィーナ…もうすぐ会えるな…)」







しばらく待っていると突然、山賊の悲鳴が聞こえてくる

「え?」

気が付くと山賊の一人が大きく宙に舞って茂みに突っ込んできた

「グハッ!!」

「な なんだッ?」


山賊たちも慌てふためいてる

「おいおい君たち…弱い者イジメはよくないぜ☆!!」



目の前に立っていたのは見たことが無いような【筋肉】を持った大柄な男であった



腕や足はパンパンに膨れ、胸は山の如し、腹は岩より硬そうである

「誰だテメぇ!!」

「まぁまぁ!!俺の大胸筋のバルクに免じて!!ここは友好的に行こうじゃないか!!☆」


その大きな巨体の男はなぜか上半身は裸で、筋肉を見せびらかすようにポーズを決めている

「な‥なんだこのバカでかい筋肉!?」

「おいテメェ!!容赦しねぇぞ!!」



男は【フロントダブルバイセップス】を決めて笑顔で答える

「ふっそれは出来ない相談だ!なぜなら目の前の人が殺されそうになってる!!それを見過ごすのは【マッチョ】の掟に反するからな!!」


「(コイツ……











___何言ってんだ!?)」


トラインを含め その場にいた全員がそう思ったに違いない


「誰か知らねぇがお前ら!!コイツを殺せ!!」

山賊達の標的が自分ではなくマッチョに向けられる


「私は世界一筋肉を愛する【ボディービルダー】だ!!この鍛えられし筋肉は!!決して!!悪い暴力には屈しない!!!」

「うるせぇ死ねぇえ!!!!」


山賊は思い切り短刀を振り下ろすも、その強靭な筋肉によって剣が粉砕する

「はぁ?なんだこれ?」

「おいおい…剣が錆びていただけじゃ」


男は瞬時に移動すると山賊の額に指を構える

「少し痛いだろが我慢したまえ☆」

「は?」

「【筋肉デコピン☆】!!」


男が放ったデコピンは山賊の頭に直撃し、数メートル吹っ飛んで木々に激突した

「ひっやっぱり化け物!?」

「ハハハッ☆化け物ではないさ!!誰だって鍛えれば俺みたいになれるッ!!!☆」


男が満面の笑みで決めた【モストマスキュラ―】は山賊にとって恐怖でしかなかっただろう‥‥


「ぎやぁぁぁぁあぁあ!!!!!ごめんなさぁぁああぁい!!!」

山賊たちはその場から退散していった



呆然と見ていた俺の元に男がやってくる

「大丈夫か少年ッ!☆」


白い歯は眩く光り、筋肉は神々しく輝いていた

「あんた…誰だ?」



「俺は〝オーガル〟【ボディービルダー】だ!!☆」


これが俺にとって二人目の恩人との出会いであった。そして俺に筋肉の全てを教えてくれたのも彼である



生きる意味を教えてくれたラフィーナ、生きる楽しさを教えてくれたオーガル。この二人がいたから俺はここまで生きてこれた



俺は決して人から褒められた人生は送っていない。俺を偽善者や殺人鬼、罪人だと思われても構わない。だがそれでも






___困ってる人は全員助ける。この筋肉誓ってな…

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