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【はじまり~出会い】

「逃げろ!!!」




現在地【スレーン王国領】【ヌタの森】にて~


「なんでだ!クソッ!こんな場所で死にたくないぞ!」

「こっちのルートが安全って言ったのはあなたでしょ!?」

「あんな化け物がいるなんて分かるわけないだろ!」


4人の獣人族は一匹のマグドロスから逃げていた

マグドロスは全長4メートルほどの巨大なネズミである


「キャ!」1人の獣人の少女がつまづき転けてしまう

「カリンダ!!!」


一人の獣人が足を止め、少女に駆け寄る

「俺が魔法で足止めをする!その隙に逃げろ!」

「お兄ちゃん…いや…そんな…」

「逃げろ!!!俺のことはいいから!!!」


他の獣人が無理やりカリンダの手を引っ張る

兄であるマーリンは妹を守るべく、杖をマグドロスの前に突き出し魔法を詠唱した

「火炎魔法【ファイアクロス】!!」


巨大な炎の塊は勢いよくマグドロスにぶつかり、大きく火花と白煙が広がる

「やったか!?」





だが瞬時にマグドロスのしっぽが白煙を飛び出し、マーリンを叩きつける

「ぐはッ!!!」


マーリンは吐血し倒れ込んだ


「マーリン!そんなっ!いやぁ!」

「カリンダ!だめ!あんな化け物に敵いっこないわ!」

「そうだぜ!マーリンの…君のお兄さんの覚悟を無駄にするな!」


倒れてるマーリンの傍に少しづつ迫るマグドロス

「(クッ…さっきの詠唱は全力だったんだぞ…くそ…力が尽きた…なんて化け物ネズミだ)」


マーリンは遠くで必死に逃げる三人に笑みを浮かべた

「(カリンダ…シーリン…レクゼ…お前らだけでも国を生きて脱出しろ…そして俺の分まで生きてくれ)」


マグドロスは不快な鳴き声を発するやマーリンの顔に勢いよく噛み付こうとした


「そんな…いやああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!!」

カリンダの悲鳴がヌタの森をこだまする












だがしかし、いつまで待ってもマグドロスはマーリンを噛み付こうとしない

「…?」ふと顔を見上げるとマグドロスは白目を向き、ヨダレを垂らし、まるで気絶しかけてるようであった


「な…何が起きたんだ…?」


マグドロスの首が何かで絡まってる?


いや…これは…………腕?


人間の腕か!?



人間の腕がマグドロスの首を締め付けていたのだ

「マッチョォォォォ!!!!パワァァァァ!!!!!」


マグドロスの首はバキッ!!と鈍い音をあげ、上へと持ち上がり空中へ大きく弧を描き、後方へ投げ飛ばされる


ドッサーーーン!!!!!


「お前の敗因はただ一つ…胸鎖(きょうさ)乳突筋(にゅうとつきん)を鍛えなかったことだ」


逆光と白煙で体長2m越えの大男のシルエットが浮かぶ


「(に…人間?)」

マーリンが疑問に思うのも無理はない


それは人間と呼ぶにはあまりに巨大で、あまりに剛鉄、そして鬼神のオーラを醸し出していた



男はマッチョであった


嘘偽りない(まこと)のマッチョであった




「大丈夫かい君たち?」

巨体のマッチョ男はフロントダブルバイセップスで上腕二頭筋をアピールしながら獣人たちに語りかける


「あ…はい…大丈夫です!助けて頂き、ありがとうございます!」

「そうか…悲鳴が聴こえ駆け付けて正解だった」


「お兄ちゃん!」

カリンダがマーリンに掛け寄る


「良かった…お兄ちゃんが無事で」

「あぁ危ないところだったよ

カリンダも人間さんにお礼を言って」


「う…うんっ。あの人間さん……私の兄を助けて頂きありがとうござ……い………」







気付いた時には遅かった



太陽が雲で覆われ、逆光によるシルエットは薄くなり、白煙は晴れ、男の姿が露わになるやカリンダの顔は青ざめる
















挿絵(By みてみん)


男は全裸だったのだ



「ヒッ!!!」

ヌタの森で、二度目の悲鳴がこだました

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