第一章目覚め
目覚めると、ぼんやりとした視界に、年期を感じる木の天上と、うす緑色に桜の柄が模された提灯の様な楕円形の照明が吊り下がっていた。中の光の玉が明るさを時折変えながらゆらゆらと浮かんでいる。
...ここはどこだ?。
.........あれ?......私は......。
こめかみに鋭い痛みを感じ、右手を押し当てる。
ギィッ、
コツッ...コツッ...コツッ......
「ようやく目を覚ましたか...。」
片目をうっすらと開けると、
そこには照明に照らされキラキラと輝く銀色の長髪に、青い右目と金色の左目に片眼鏡をかけた、息を飲む程の美しい男が佇んでいた。
黒地に青と銀色の装飾がなされた一見シンプルながらも気品の漂う丈の長い
......誰だ?......思い出せない......。
何処を見てるのかわからない冷ややかな瞳で、
「廻廊樹に見初められし娘よ、これよりここがお前の生きる牢獄だ。
精々足掻いて、己の目的を果たすが良い。」
男はそういってきびすを返すと、光の差す方へ歩き出した。
そして、両方の引き戸の冊子に手をかけ、障子を開く。
眩しさに腕で顔を覆いながら、体を起こす。
目が慣れ、顔をあげると、開かれた戸の先に神々しく光を放つ巨大な幹があった。
はっ!!!こっ...これはっ...!!!
娘はその光景を見るなり、目を見開きながら、何かに取りつかれたように寝台からフラフラと