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私の世界  作者: 花添
3/4

実父との生活。~小学生~


実父との生活は、普通のようで普通ではなかった。


実父は自衛官で、朝早く、そして夜19時頃には帰って来た。


しかし帰って来て座るや否や


「ビールを持ってこい。つまみを持ってこい」


私と兄は召使いのようにこき使われた。


部屋を片付ける時は、実父が部屋の中央にほうきでゴミも要るものも


全て一緒に纏め、そこから要るものだけを取り除く。


その間に実父は座ってお気に入りのゲームを始める。


そこからは私や兄の仕事で、ゴミをちりとりで取り


床を拭いたり、窓を拭いたり・・・


それが終われば、ご飯の支度。


兄と役割分担でお風呂などの支度も終わらせておく。


寝る時間まで、実父と同じ部屋にいないと怒鳴られるので


面白くもない実父のゲームを無心になりながら見た。


母と会えるのはいつだろうと考えながら毎日眠りにつく。


学校で学芸会などがあっても、来ることはなく


いつも友達に親のことを聞かれていた。


学校が終わっても、休みの日でも私は友達と遊ぶことも許されなかった。


実父も私が小学6年になるころには帰って来てもパチンコへ行き


閉店まで帰ってこないことが増えた。


その間に競うように食事やお風呂を済ませ


弟を寝かせてから私と兄は各々の部屋に籠る。


部屋に籠ってからは実父が帰ってくるので


実父が眠りにつくまでは息を殺し身を潜めるのが日課だった。


パチンコで負けて帰ってくると機嫌が悪いから余計にだ。



そんなころ、兄が実父の目を盗んで母と連絡を取り始めた。


兄の心の支えだったのだろうと思う。


兄にとって私は実父と共に住むことになった大きな原因だったし


兄は実父が嫌いだったから。


その兄の実父嫌いに拍車が掛かったのは


母と連絡を取っていたのがバレたからだ。


ただバレただけならよかったが実父は、兄に暴力を振るったのだ。


それも私の目の前で。


私は兄が好きだった。


それこそ自他共に認めるほどのブラコンと言ってもいいだろう。


そんな兄に実父は暴力を振るった。


その事実と光景は今でも目に焼き付いている。


実父と暮らさせてしまったことに


私は今までにないくらいの罪悪感を覚えた。


それから兄は母と連絡を取ることをやめた。


かく言う私も、母がいたころ


家族ぐるみで交流のあった人達から母達と


「この間泊りに行って遊んできた。一緒にディズニー行ったよ」


などと聞くと母に対して憎悪が沸いて仕方なかった。


「なんで。どうして。お母さんの言う通りにしたのに。私だってそうやってみんなと一緒に遊びたい。お母さん達と一緒にいたいのに」


そんな考えばかりが浮かんできた。



小学校を卒業する前に、親同伴で中学の制服の寸法合わせなどがあったが


私の親は来なかった。



小学生を卒業するころには、私には母と実父に対する嫌悪感と憎悪しかなかった。


卒業式にさえ、実父も母も来なかった。



私はもう親というものが信じられなかった。


「自分は何のためにいるんだろう」


そんなことばかり考えていた。

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