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怪物になった男

作者: 倉瀬 学

 むかしむかし、ある所に貧しい小作人の男性がいた。男は地主に朝から晩までこき使われていました。男はとても信心深い人で神への祈りを忘れることは1日たりともありませんでした。しかし、苦しい現状に我慢できなくなり神に向かって「なぜこんなにも祈っているのにいつまでたっても暮らしが楽にならないんだ、もうあなたなんかに祈ったりしない悪魔に祈ってやる」と神を罵った。ただし、それは一時の気の迷いであり再び神を信仰する従順な信者として祈りをささげることのなった。

 そんなある夜、男のまえに悪魔が現れて「力が欲しくないか?」とささやいた。男は思わずドキリとした、かつての神への罵倒を聞かれていたのではないかと。男はもちろん最初は悪魔の言葉に耳を貸すつもりありませんでした。しかし、悪魔が男の前に高級そうな酒を出した時、男は目の色を変えます。実は男は酒が大好きだったのです。悪魔は「いっしょに一杯やらないか?」と男を誘います。男は思い悩んだ後、小さくうなずきます。悪魔は「本当に飲んでしまっていいのか?」と尋ね、男は「これは神の血だ」と言い訳します。うまい、おそらくまともに暮らしていたら一生縁がない代物だと男は酒を飲みながら思いました。男は悪魔といっしょに酒を飲んでるうちに悪魔に信愛のような感情がわきました。また、酒を飲んで気が大きくなったのかまた神への罵倒が脳裏をよぎりました。毎日毎日祈っているのに神はなに1つ自分に恵んでくれないと、そのくせ傲慢な商人や貴族、金貸しといった連中は野放しにしていると。この目の前にいる悪魔の方がよっぽど信用できるのではないか、男はそう思い悪魔から力をもらうこと決意します。

悪魔は物語のように別に対価を要求してきたりはしませんでした。男は少し不信に思いますが、もちろんただの方がいいので余計なことは聞きませんでした。悪魔の気が変わったら大変ですから。

 朝、目覚めると悪魔はいませんでした。男は昨日のことは夢かと一瞬思いますがその身に宿った力からそれは誤りだったとすぐ気が付きます。

その力は絶大で、男は自身を討ち滅ぼせるものはいないと思うほどです。さっそく男は強欲な地主の家に侵入して八つ裂きにします。血に酔った男は怪物になり、村を力の限りあばれます。このことを聞きつけた領主は侍従のものを付け怪物を討伐しにいきます。男もさすがに領主の軍隊には勝てないと山に逃げこみます。しかし、領主は軍隊をだして何の戦果も出さなかったとあれば面目丸潰れであると山狩りをしました。度重なる山狩りのすえついに怪物となった男は領主に発見されてしまいました。男はついにここまでかと覚悟を決め領主の軍隊に襲い掛かります。しかし、それは杞憂でした。男の力に領主の軍隊はなすすべなくやられ、壊滅状態になりました。男は自分に敵う者はいないと知り、領主の領土を好き勝手暴れまわり、むさぼり喰らった。

 冬が来ました。男が暴まわったことにより領土にはネズミ一匹いず草木は枯れはててしまいました。男は怪物になったとはいえ、食わねば生きてはいられません。男は飢え苦しむことになります。男は「これもすべては悪魔のせいだ」と天高く吠えます。悪魔がやってきて男から力を回収してどこかへ消え失せてしまった。

 ただ荒れ果てた大地にただ一人、小作人だったあわれな男がそこに残された。この後、男がどうなったかは誰も知らない。

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