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醒めよ日本の朝ぼらけ

脚本です。


ここでの登場人物


安藤輝三 帝国陸軍大尉 歩兵第3連隊第6中隊長

永田曹長 第1小隊長

堂込曹長 第2小隊長


鈴木貫太郎 侍従長

鈴木の妻


磯部浅一 帝国陸軍大尉






〇 回想 第三連隊中隊長室  決起 数か月前 

  安藤 磯部 向かい合って座っている


  安藤   「どうして あのような偉大な愛国者を討たねばならんのか! 鈴木貫太郎閣下は昭和の

        西郷とも言うべきお方だ 清廉剛直な典型的な武将だぞ! 絶対に襲撃目標にしてはい

        かん!」

   安藤 鬼の形相で激怒する

  磯部   「安藤 鈴木侍従長は陛下に最も近い側近であり大御心を直接操る黒雲だからだ!」 

  安藤   「・・・」

  磯部   「これはやらねばならんのだ 判ってくれ  貴様が やれんと言うなら栗原 中橋がやる

        ことになるぞ!」

   安藤 磯部をにらむ

  磯部   「そうすれば彼らは徹底的にご老体の息の根を止めるぞ!」

  安藤   「・・・」

  磯部   「安藤 敢えて貴様が侍従長と親交があり邸内の事情に詳しいから引き受けてくれと

        言ってるんだ 貴様なら武士道精神にのっとて立派にやり遂げててくれると思うん

        だが・・・」


〇 鈴木貫太郎官邸内 2階

  安藤 立っている

  兵隊(声)「中隊長殿! 侍従長閣下を発見しました!」

   安藤 ふと我に返る

   銃声が3回する

   バン! バン! バン!

   安藤 階段を駆け下りる


〇 和室

  安藤 入って来る

  鈴木 鮮血を流して うつむけで倒れている

  妻  鈴木に寄り添っている

  永田 堂込 放心状態で立っている

  安藤 鈴木の傍にひざまずく


  安藤   「歩兵第三連隊第六中隊長の安藤輝三でございます 閣下 ご無沙汰でございます

        昭和維新を断行をするため このような状況で参上いたしました・・・

        ご・・・ ご無礼を深くお詫びいたします・・・」

   安藤 うつむいて 沈黙する

  堂込   「中隊長殿・・・ とどめを!」

  安藤   「そうだったな・・・」

   安藤 立ち上がり 軍刀に手をかけ 妻を見る

  妻    「どうか それだけはやめて下さいませ!」

  安藤   「解りました・・・ 後は奥様にお任せいたします・・・」

   安藤 軍刀から手を放す


〇 廊下

  安藤 永田 堂込 兵達 整列している

  

  安藤   「気を付け! 侍従長閣下に黙祷! 南無 鈴木侍従長閣下・・・」

   一同 黙祷する


〇 表門

  周囲は白々と明るくなって銀世界が広がっている

  隊 整列している


  安藤  「各隊ごと 弾を抜き人員装備を点検せよ! 及び 拘束した者達を武装解除したまま

       開放せよ!」

   安藤 空を見上げる


〇 表門 時間経過

  隊 整列している

  

  安藤   「鈴木侍従長閣下に敬礼! 捧げえー つつ!」

   安藤 軍刀を目の前に捧げる


〇 雪道 千鳥ヶ淵付近

  隊 行進している

  救急車 サイレンを鳴らして前方から近づいて来る

  兵   「取り押さえましようか!?」

  安藤  「いかん! 道を空けて 通せ!」

   救急車 通り過ぎて行く

   安藤 目を閉じて祈る

   誰からともなく「昭和維新の歌」が合唱し始まる


  汨羅べきらの淵に波騒ぎ

  巫山ふざんの雲は乱れ飛ぶ

  混濁こんだくの世に我れ立てば

  義憤ぎふんに燃えて血潮湧く・・・


〇 雪道 青山通り

  隊 行進している

  

  天の怒りか地の声か

  そもただならぬ響あり

  民永劫えいごうの眠りより

  醒めよ日本の朝ぼらけ

  醒めよ日本の朝ぼらけ・・・


〇 銀世界の東京の街並み  

   

  



原作: 奥田鑛一郎   「二・二六の礎 安藤輝三」より

脚本:浜昭二

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