膝丈程になっていた。
ミーナに向かって、大人の腕の太さは有ろう長い触手の様なモノが4方から襲いかかっている。
偶然にもミーナと俺の距離がかなり接していた事、それと俺が溜め池の水面に浮き出た魚影にいち速く気付いた事もあり、触手らしきモノがミーナを捕らえる前に彼女を引き寄せる事が出来た。
だがミーナを抱き抱え、両手の自由が効かない状態の俺には、必要に襲いかかる触手らしきモノに対して成す術がない。
何とかかろうじてかわしていたが、一本ならまだしも、4方向から襲いかかる触手的なモノに、やがて俺の左足が絡み付いてしまった。
相手は獲物を捕らえたって事を感知したのだろう。
したらばこやつは、自分が優位に成るように俺を強引に引っ張って、溜め池へと引き込もうとしている。
「エリーザ!ミーナを頼む!」
エリーザに叫び、ミーナをトスした。
ミーナをボールの様に扱うなど言語道断な行為なのは百も承知なのだが、今回ばかりは緊急を要するので我慢してもらう。
エリーザにしてみれば、いきなり声を掛けられただけでなく、自分に向かって飛んでくるミーナに目を白黒させていたが、事の重大さは伝わっていたようで、俺に返答を返してきた。
「こっちは任せて下さい!ミーナの安全が確保出来たら、そっちへ向かいます!」
声に心配さが滲むエリーザ。
「いや!いい。大丈夫だから」
と返事を返し、俺は異空間収納から師匠から譲り受けた例の剣を取り出し、鞘から抜き、俺の左足に絡むモノに目掛けてぶち当てる。
バスン!!と鈍く廻りに響く音をたてた後、溜め池に夥しい量の泡がわき上がる。
少し間をおいて、溜め池に俺の前世での認識で言うなれば、大きなナマズが浮かび上がってきた。
ただし異様なデカさ。
溜め池自体が直径にして30㍍程だと思うのに対し、浮かび上がったそれは多分15㍍は有るだろう。
目分量だから一概には言えないものの、2匹いれば端から端まで届きそうなのは間違いが無い。
呆気にとられたが、今回は油断しない。
今は師匠からもらった剣の追加電撃効果で感電しているだけに過ぎないのだから。
それにしても・・・可愛可愛ミーナを襲ったこいつを俺が許す事など出来ようはずがない!
鞘から刃身を抜き出して、左手に鞘、右手に剣の変則二刀流で構え、浮かび上がったナマズもどきに、今度は俺が襲いかかる。
丁度真ん中位の位置を右手に持つ剣で真っ二つに切断、左手に持つ鞘で、陸に上がるように、フルスイングバッティングOK。
ズドーンと激しい音をたて、陸に出されたそれは、既に息をひきとっている。
見た目通り、かなりの質量が有った為だろう。
ナマズもどきを出した直後、普段なら1㍍位は有りそうな溜め池の水位が全体的に膝丈程になっていた。




