あの時にした即決はない。
朝のゴタゴタが過ぎ去り、俺達は空洞を出て、この周辺を散策している。
エリーザとミーナは、俺が生成した防具に身を包み、戦闘モードに切り変わっていて、周囲に注意を張り巡らせているところだ。
2人共、当然寝間着の上に防具を着用している訳ではなく、昨日と同型の旅服に着替えている。
着替えについては・・・
何でなん?なして生成した本人も知らなんだ事を、もらいたて、覚えたての彼女らが即実践してんの?
俺が渡したリストバンド(異空間収納付き)は、着衣系の物であれば、取り出す際、普通に引き出す方法の他に、体全体に魔力を巡らせる事により、取り出しと同時に着装着出来るらしい。
しかも、その際の感覚は現状で着衣しているものが入れ替わるイメージなので、彼女達は俺に一切肌を見せることなく着替えていた。
んなバカな!俺は知らんかっぞ!・・・ちくしょう!俺ってば、なんってもんを渡してしまったんだ!と、後悔したが時は遅し。
俺の推測とおり、昨晩俺が完落ちした後に着替えていた。
その際ミーナが寝間着を取りだそうとしたら、偶然この事を発見したらしい。
また、熟睡中の俺を他所に2人による女子会が開催されていたらしいのだが、その詳細は教えてもらえなかった。
しばらく3人で散策していると小川が見つかる。
「え?こんな場所に?いつから?」
「そう言えばエリーザは、この辺りの土地感あったんだよな?そんなに驚くって事は何か有るの?」
「ええ、私が知る限り、この川の存在を知りません。一体いつから?」
パッと見は何の変哲も無い小さな川なのだが、よくよく見ると、凄く違和感を覚える。
川幅はおおよそ2㍍位、深さは・・・40㌢位だろう。
川の水はわりと綺麗なので、泳ぐ魚が直視出来るどころか、川底がわかる程の透明度。
と、ここまでであれば普通に何の違和感も無いのだが、川の造りを見ると不自然な所が目に付く。
川と、両岸の造りは広い面を上にした、均整の取れた台形で、川底には小砂利が敷き詰められているし、川の両端は大きめな石で川幅調節してある。
つまり、用水路の様。
俺の知る前世のように、コンクリートや護岸ブロックで形成されてはいない。
自然な感じではあるが、明らかに人の手が加わった印象を受ける。
「エリーザ1つ聞きたいんだけど、この近くには集落は無いんだよな?」
「私は聞いた事も有りませんよ?仮にもし集落が在るので有れば、ここは私達の集落から距離にして1日程度、交流を持たない方が不自然です」
そう、その事は旅の早々確認していた。
1日程度で付ける集落が有るなら、昨日の段階で間違いなくそこを目指している。
つまり結果的にあの空洞を夜営地にする事は有っても、あの時にした即決はない。




