ここに滞在しない?
エリーザの箸に対する苦手意識を再確認したところで、途中だった食事の準備を進める。
とは言うものの、レトルト物をボイルしてから各々のスープ皿に、あとは生ハム先生を大皿に盛りつけて終了だ。
おにぎり君は、いびつな形ながらも2人に結構気に入られた。
「タイチさん。このおにぎり、少々余りそうですが・・・」
「うっぷ。勿体ないはダメなんです。ダメなんですけ・・・ミーナ・・・もうお腹パンパンで入らないのです」
2人の訴えに、俺はラップを取り出しそれも各々に一本づつ渡す。
「これは、一体何に使うのです?」
スーっとビニール部分を伸ばし、適度な長さでカットして、おにぎり君を1個包んで見せる。
2人も俺の真似をしながらせっせっせ。
余ったおにぎり君は全部で4個、それを2個づつ彼女達に渡す。
「俺は必要がないから、これは2人のね」
2人は俺におにぎり君を渡され、何をしたらいいのかが解らないらしく、キョトンとしていた。
まあ、仕方のない事だろう。
僅か前まで収納魔法に対する知識が有ったのみの彼女達が、いきなり、それ以上のものが使える様に成ったとして、直ぐに対応が出来る訳ではない。
説明しようと声を出す寸前、
「あー解ったのです。でも、お兄~ちゃん。これはどうやってセットにするのか解んないんです」
やっぱり、おかれた状況に対する順応性は、幼いミーナの方が高い。
俺がセットすにする方法を教えようとすると、
「ミーナ。こうやって2つを1つにまとめれば良いのです」
エリーザが俺が言おうとしていた事を代弁する。
こういった、経験を元に対処方法を導き出す事は、流石にエリーザの方がすぐれていた。
ともあれ、俺が言わんとしていた事を2人は理解し、自分達で対処したのに安堵する。
全部が全部、俺が指示していては、これからの行動全てが俺意思になってしまう。
自慢じゃないが俺にリーダーシップは無い。
提案や肯定、助言は結構するが、自分の思い通りに事が動かないと、批判的な面が表に立つ。
例えば、質問と称して言わせたい言葉を引き出す為、前者が既に聞いた内容と同じであっても、言い変え自分の質問とするようなことを平然と出来る性格なんだ。
簡単にいえば"俺が言質とった"と自慢したいけど"責任は取りたくない"のスタイルなんで、俺は。
そんなんの指示ばかりでパーティーが上手く維持出来ると思います?無理無理。
だから、さっきの様に彼女達で答えを導き出した事に心から安心を得たのは事実だ。
ちなみにビーフシチューと生ハム先生は一切残ることなく食卓からその姿を消している事を付け加えておく。
食事の片付けも終わり、一息ついたところで、俺は1つ提案をする。
「しばらくの間、ここに滞在しない?」




