無いですか?
さてミーナの方だが、彼女のは一枚皮のど真ん中部分だけ丸くくり抜かれていて、使用時にはその穴から顔を出して着るだけの至ってシンプルなものだった。
いわゆる、最も簡単な作りの皮ポンチョ。
外敵戦闘に成った場合、魔法が主体のミーナにとってはそれで良いのかもしれないが、防具としては最悪だ。
いわゆる皮製の外套と変わらないのだから。
また、俺は製造士という事になっているが、本当は錬金術を使えるだけなので、1から何かを作る様な事は出来ない。
従ってやれる事はエリーザの鎧にした事と同じ、元素結晶も同じ物を錬成に使用する。
出来上がる物はもちろん皮製ダイヤポンチョ。
この世界でダイヤ製装備品は上位クラスだと言っていたから、最悪装備の高品質防具なのかな?これ?
残りの鉱物でダイヤを錬金出来そうなのは一組ぐらい。
本当はエリーザの槍に使いたい処だが、錬金のグレードを下げれば銀が2組作れる事は解っていたので、俺は方針を変えて異空間収納から取り出した2つのリストバンドに練り込む事にした。
ただし元々このリストバンドは特別製、魔力動力世界で俺が空間ウインドウと連動させ生成した異空間収納機能を込めた物。
収納量は10個限定なのだが、激しく裂傷しない限り異空間の収納は魔力に枷が付くことはない。
代わり出し入れには魔力が必要だけど、たいした魔力を必要としないのがミソだ。
それに比べ、この世界の収納魔法は魔力をかなり消費する上、使用中はその分の魔力は回復されないらしい。
つまり、それよりは便利なはずだ。
ただ布製品な為、戦闘が頻発なこの世界では裂傷しやすい。なのでこれに銀を練り込み強度を高める事にしたのだ。
出来上がりは布製銀リストバンド(収納魔法付き)だ。
錬成し終えた防具を2人に各々返す。
ただし今回防具に練り込んだ物がダイヤであることを伏せておくことにした。
要らぬ混乱を生むのは解っているからだ。
「今、2人が採取してきてくれた鉱物で、各々の防具を強化したからね」
「はい?特に何も代わりが無いようですが・・・確かに、色が若干光っては見えますが、それ以外は・・・」
「いやいや間違いなく上がってるから。ナイフでも切れないぐらいには」
俺が言い終えたとほぼ同時に、エリーザは自分の皮の道具袋からナイフを取り出し、渡された鎧に切り付ける。
ピキーン!!と甲高い音を響かせナイフの刃が真っ二つに割れる。
「え?こんなに硬いのですか?」
驚きを見せるエリーザだが・・・
確かに錬成は成功しているので、強度面において絶対の自信はあったが、何の躊躇もなく起こした彼女の行動の方に俺は驚きを隠せない。
「タイチさん。こんなに硬くして動きに支障が出る様な事は無いですか?」




