なんとかなる。
ラッシグリエの集団は全部で7頭。
エリーザによって5頭までは、ほぼ一瞬で狩られたが、2頭が難を逃れ未だ突進を進めている。
突きの体勢からは、大きく左右に別れている2頭への追撃が難しい。
更に槍は剣とは異なり中距離間では優れるものの、近距離となると攻撃手段が一気に減ってしまう。
従ってパーティー内においても、一般的には近距離を得意とする剣士の横並びか、一歩下がった位置を取るのだが、今回エリーザは1人飛び出した配列なので対応が遅れる。
1頭は彼女の持つ槍の特殊性を生かし打棍として横殴りで仕留めたが、残る1頭への対処が間に合わず、彼女の脇を大回りするようにすり抜け俺達に迫ってきた。
仕留め切れなかった1頭を鋭い瞳で追うエリーザなのだが、長物を振り回し、そっちに攻撃を仕掛けるには時間が少なすぎる。
槍を投擲しようにも、取り逃したラッシグリエはミーナに目掛けて突進しているので、迂闊に放てない状況。
野獣は野生の生物だ。
俺の前世の記憶にある肉食獣もそうだが、より弱いものへと攻撃を移すのは必然的な行動。
この世界での野獣とは本能で行動すると、以前エリーザから聞いていた俺は、直ぐに攻撃対象がミーナに成っている事に気が付いていた。
エリーザが飛び出したのとほぼ同時に、俺は師匠から譲り受けていた例の剣を再び異空間収納から取り出している。
あの時エリーザの動きに目を奪われていたのは事実だが、俺は鞘から剣を抜きミーナを庇う位置取りをしていた。
そして、俺が考えていた事はミーナも気が付いていたようで、彼女は彼女ができる準備がしてあった。
俺が行動に移す前にミーナは魔法を発動させた。
「ファイヤー!」
彼女が持つ、先端に丸水晶の付いた杖から火球が出しラッシグリエへと飛来していき、火球は見事目的物を捕らえる。
俺はミーナの作ってくれた隙をつき、難なく仕止める事が出来たが、このパーティーの課題が見えてきた。
初戦闘という事で言えば及第点を付ける事が出来るかもしれない。
だが何時までもこんな連携の無いバラバラとした攻略手段では、いずれボロが出て窮地に陥るだろう。
それに・・・果たしてこの世界に於いてはどうなのだろうか?この世界の一般的な知識を持つエリーザの言葉を待った。
「取り逃しました・・・ごめんなさい。それにしても困りましたね。人手が足りてません。長旅になるのに私達は経験が少なすぎますし・・・」
まあ、やっぱりですかのう・・・俺が思うに現状の能力構成であれば、あと2人は欲しいところなのだ。
逆に1人旅ならば己の事を考えればいい。2人旅であれば隣接して行動する事になるから、対応は後手後手になりがちだろが、無理さえしなければなんとかなる。




