メロメロなんでつ。
「に~にはミーナがキライなんですかね!!」
プンスカプンなミーナは、俺と繋ぐ手をブンブンと振り、耳をツンツンおったて、尻尾をブワーと膨らませ、おっきなおめめ吊り上げご立腹でござりまする。
南の街へと旅に出て間もないというのに、既に7回目となるこの言葉。本当はブラドとも一緒に旅がしたかったのだろう。
ブラドが集落に残る事を、身支度整え戻って来た時に聞いたミーナは聞き分けの良い子を演じていた。
俺は知っている。彼女が強がっていたのを。
彼が、かの事を伏せつつ、一緒に行かないと告げた時、ミーナの尻尾が小刻みフリフリからプシューンと垂れざる様が目に入っていたんだよね。
顔色や態度には出ないようにしていたみたいだけど、心境を知るのに結構バレバレな動きが出てしまうのが、ミーナちゃんなのだ。
「ミーナ、そんなに怒ってばかりだと、お兄~ちゃんからも嫌われちゃいますよ」
えらく上機嫌なエリーザはフフフと眼を細めてミーナを諭す。
「そんなこと無いんです。ミーナは良い子になるように頑張ってるんです」
ああ、そういうこと。“聞き分けが良い=良い子”だと思ってるんだな?
嫌な事は嫌だと言えし、自分の考えを伝える事も出来る子ではあるが、たぶん本当は、自分の感情をあまり表に出さないタイプなんだろうな。
ん?にしては俺にはストレートでないかい?ミーナお叱りタイムも有ったし、感情を抑え切れない場面も何度か有ったような気が・・・
「ミーナはタイチお兄ちゃんが本当に大好きなんですね」
追い討ちをかけるエリーザの一言は、プンスカミーナをバスンと音を立てさせ一気に縮こませる。
「・・・うん」
おー。ミーちゃん本当ですかね?お兄ちゃんは嬉しいよ。ん?ん?何処がお気に召されましたかな?
「ヨシヨシしてくれるし」
うんうん。これからも、い~ぱいしてあげる。
「おいしいの沢山もってるし」
ん?餌付け的なですか?
でもまあ、それはそれで大切な事だもんね!よ~し!次はもっとも~っと美味しいのを出してあげよ。
「不思議だし・・・」
フムフム、よもやその点を指摘してくるとは!もしやお主、なかなかの変わり者だな?だが俺は気にせんぞ!ミーナが可愛いのは変わらん!!
「おかしな服着た変な人・・・」
え?え?そ、そ、そりゃないよ~。お兄~ちゃんショック!!嬉しい気持ち一杯だったのに一敗食わされた気持ちでつ・・・
ガーン、ガーン、ガーン、立ち直れないかもしれないお~。
「けど、優しいからだ~い好き」
ミ、ミーちゃ~ん!
天国から地獄を経て再び天国へ昇る。
それ即ち“上げて下げて上げる”という、男心をガッシリ鷲掴む超高等な常套手段なんでつよ?
も~うお兄ちゃんは、ミーナにメロメロなんでつ。




