存在しない
「それは、解ったけど・・・」
言い淀む。彼の余命が気になるが、そんなの直接言葉に出来ないし、かといって判らぬから良しで過ごす事も出来ない。
知り合いってまでの仲ではないが、まったくの赤の他人とも言えない関係のブラド。
なんとも中途半端な状態。
ただ、余命がさほどしかないと聞いて、可能なかぎり何かしてあげたいと思っている俺は・・・お人好しか?
「・・・ああ、何と無く解るな。君が言いたい事、ちょっと待っててくれ」
ブラドは自分の胸に手を当てて目を閉じつつ、何やらブツブツと言い始めた。・・・端から見ればかなり、アレな人に見えるだろう。
だが魔族にとってのこれは魔核に直接触れる儀式を意味する至って真面目な行動だった。
俺が言いたかった事を彼が何と無くでも理解出来たのは、たぶん俺の魔力が彼の魔核に作用している事が原因なんだろう。
しばらくして、ブラドは目を開け俺の目を直視し
「50だ!」
ん?何がでつかね?チミはアチキの言いたか事解ってて答えてくれたんでつよね?んでもってそれは?
いきなしな事なもんで、意味が理解できず俺の頭がパッツン。
「えっとだな・・・俺の余命だが、あと50だ」
あ!言い直した。でもそれよく解らん・・・50日?・・50分・・まさか秒って事ないだろうな?
まじまじと俺の目を見続け彼は再度言い直す。
「俺の余命、あと50年だった・・・」
「「はあ~??」」
ブラドと俺の声がリンクした。
なんですの?それ!それ余命って言わんがな!!
「・・・どうなってるんだ!君の魔力は!そもそも魔族の魔核に干渉するのもおかしいが、これはどういう事だ!」
けっこう捲し立てられる言い回しだった。だがそんなことは俺に聴かれても解らんよ。
ただ解った事は、彼がおいそれと直ぐにくたばる事は無いということと、何故こうなっているのかが解らないということ。
実にイライラする結果だ。
その後も色々言われたが結局のところ理解に至るまでの結論が出ることはなかった。
「・・・そもそも君の魔力の質がおかしいんだ。純粋過ぎる」
「ん?どういう意味だ?」
「魔力ってのは個人の属性に多少なり干渉するだろ?」
「・・・そうなのか?」
「は~。えっとだな、仮に君の個人属性が火だとする。すると、火に反する水の属性を含む魔素、つまりは魔力の源を混ぜて吸収出来ない。だが君の魔力は、火質も水質も吸収できる。魔力源の魔素とうより元素。つまり魔元素のみの魔力なんだ」
「ほ~う。で?それはなにか変なのかい?」
「変というより、あり得ない。一切の魔素全てを高純度である魔元素のみで構成することは、魔族より魔に長けた種族でも無い限り考えられないし、そしてそんな種族はこの世界には存在しない」




