どう見ても本当の姉妹だ。
初めて接触した時の彼女が龍化していた時の姿より、今、目の前で俺に向けている瞳は恐ろしく、正直怖い。
こうなる事は、自分の考えを伝える前に予想出来ていただが、いざ目の当たりにすると、弱い自分が強く出てきそうだ。
しかし、睨み付ける彼女の瞳から俺も目を背けない。
彼女の話ぶりや性格からして、同郷の者を疑う俺が憎らしく「お前に何が解る!」と叫びたいに違いない。
だがエリーザはそうしなかった。
少なくとも、俺が生半可な気持ちで口にした言葉ではないと感じ取ってくれているのだと思う。
だからこそ俺を睨み付けていても、罵り罵倒を浴びせることなく自分の唇を噛み怒りを押し殺そうとしている。
緊迫した空気が重い。
「エーザねえね・・・おにいちゃん?ケンカしてる・・・の?」
俺達の中間ぐらいの位置で、その様子を見ていたミーナが心配そうに声をかけてきた。
2人の目が彼女に向くのとほぼ同時に、ミーナの口からエリーザが思いもよらなかった言葉が飛び出す。
「・・・に~にが帰ってきてたの。どこかつれててやるって言ってたけど、でもミーナ、行くのイヤだったから、いやいやしたら、おか~さんたち庇ってくれたけど・・・知らないおじちゃんたちが、みんなをみんなを・・・」
ミーナが涙声だ。
うつむき、涙を手で必死に振り払っているけど、次々溢れ出るそれを引き払いきれていない。
俺には最初の声が聞こえなかった。でもそいつが内通者に違いない!というよりも、半ば実行犯じゃないか。
エリーザの言葉詰まりの時、幼いミーナにしては母の死を素直に受け入れ過ぎなのに違和感を感じたが、この時の事を自分のせいだと思っていたのが原因なのだろう。
そして、この事を喋ったのは、たぶんその時の状況に近い針積めた重い空気を感じ取ったんだと思う。
俺とエリーザは、ほぼ同時にミーナに近寄っていくが、若干俺の方が早くたどり着いた。
膝をおり、ミーナの顔の高さと自分の顔の高さを合わせるまで、腰もかがめ、ぬぐいきれない涙をポケットから取り出したハンカチで拭いてあげつつ声をかける。
「お兄ちゃん達はケンカしてないよ。ミーナのおうちに帰る為にどうしたら安全に行けるかを、真剣に話してただけだから」
と言ったところでエリーザがたどり着いた。
まだ見知ったばかりの俺よりも、この場は姉と慕う彼女に任せた方が間違いなく良いだろうと思い、彼女に顔を向けると静かに頷き、俺の意図している事が解っているようだった。
俺は静にその場から少し離れた位置に移動し、ミーナのそばの位置をエリーザに譲る。
エリーザはミーナの体全体を胸元に包み込み、頭を撫でながら泣き崩れるミーナの心を癒している。
その姿はどう見ても本当の姉妹だ。




