自分でやりたいのだ。
俺はエリーザとミーナの反対側に座る。
ほんの少し前に見知った程度の彼女達に、食事を振る舞う義理は通常ない。
だが、この世界で初の心許せる知り合いではある。
エリーザには、この世界の知識というか、常識的なことを多少は教えてもらっている気がするし、ミーナは・・・可愛いからOK。
しかも、さっきは火を付けてくれたし・・・ん~もう、なんでもアリアリなんだよ!
はっはっはー
で、楽しく食べたいと思うのは間違いだろうか?
食事の礼儀としては、かんばしくないと言われとるけど、話をしながらの食事にしたい。
どの世界でも、それが俺の普通だったもん。
例え、この世界では、それが非常識だとたとしても、それを曲げたく無いし、改める気もサラサラない。
というか絶対変えない。
それに、今は、これも1つの情報の収集原だ。
はてさて、どんな結果になるかが楽しみであり、不安でもある食事タイムへと駒はすすむ。
「頂きます」
両手を合わせ、軽く会釈した。
俺にとっては食事を初める前にいつも行うルーティン。
「いた~だきます!!」
ミーナが俺の動きを見よう見まねで、パチンと手を合わせ、ペコッリと頭を下げながら元気で可愛い声を張り上げる。
「・・・ん?ああ、タイチ殿には感謝します」
あるものに意識が集中していて、注意力散漫なエリーザは、反応が一歩遅れる形になり、ミーナの声で慌てて礼の言葉を述べた。
「エーザね~ね?お兄ちゃんは"いただきます"って言ったよ?あと、おてて合わせて、ペコッてしてたよ?」
ミーナには、俺がした行動をとらなかったエリーザに不満が有ったらしく、両頬をプク~と膨らまし、口を尖らせ、両方の手はグーに握って左右の脇腹に添えられた"私、プンプンですよ"のポーズで注意した。
「ん?ああ、頂きます」
ミーナに促されたエリーザも、手を合わせて、俺の食事挨拶をとる。
・・・エリーザさん?
どんだけ心を奪われているんでふか?
よもや、6歳の獣属人幼女に注意されようとは・・・
何が貴女を惑わせるので?
まあ、彼女の目が完全にある一点に向いていたから、なにが原因かは解ってはいるのだけど・・・
そんなに気になりますかね?
・・生ハムくん。
2人のやり取りを微笑ましく見守りながら、俺は乾パン蓋を開け、ココアの缶の飲み口を開く。
ミーナは慌てて、俺と同じように缶の蓋を開けようとするが、うんしょうんしょ、と頑張ってもなかなか開けられない。
今にも泣き出しそうな目で必死に頑張っている。
「ちょと貸してみな?」
俺はそう言って、乾パンの蓋とココアのプルタブを少し上げ、鉄部分に少し切り口を開け、また渡す。
今度は上手く開けれて喜ぶ。
俺は知っている。
このぐらいの歳の子は自分でやりたいのだ。




