表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダブルイメージ  作者: ナメゐクジ
第1章
4/29

第4話「楽しみの休日」

今回は特にバトルシーンはありません。

まぁ今までもバトルシーンちゃんと出来てたのか不安ですがね。えぇ。にしてもこんなに早く書けるとかマジ先が心配

僕は空っぽなリュックを背負い、人通りの少ない場所を探していた。


昨日のトルネードとの対戦で、僕は久しぶりに人間社会が関わっていない自然の景色を見た。

あの時僕は、何とも言えない懐かしさが込み上げてきたのだ。


そう言えば、「僕」と「俺」に融合してからというものの、ずっとこの都会暮らしだ。


僕はそんな事を考えると、久しぶりに人間社会とは孤立した自然に触れたくなり、今こうして外に出ているのだ。


でも外に出ると言っても、ここは大都会。

そうそうそんな自然豊かな場所はなかったりする。


一応、僕と俺が出会った山があるが、あそこも人の手で整備されてるし、何しろ人が来る可能性がある。


僕は、バニッシュの姿で自然を満喫したい。


バニッシュの姿でいるのは、服を仕舞う異空間を維持できる時間・3時間まで。

最近ほぼ毎日バニッシュの姿で戦っているが、どうにも物足りないのだ。


だからこの際、自然を満喫するのと序でに、バニッシュの姿で一息つこうという訳だ。


その為のリュックだって持ってきている。

服は一旦脱ぐか転送して、このリュックの中に仕舞う。そしてこのリュックを異空間以外の場所に隠す。

そうすれば、僕は時間制限を気にせず俺としていられる。


うん。我ながら完璧だ。


後は誰にも気付かれない場所で人間の管区外に転送すれば、バニッシュとしての楽しい楽しいバカンスが待っている。


昨日は大変だったからなぁ。トルネードは中々強かったし、お父さんにも殺されかけたし、お母さんにも違う意味で殺されかけた。

それにご飯を食べ終えてからインターネットで調べてみたけど、ドラゴンスレイヤーが毒を扱うなんて情報は一切載ってなかった。

やっぱり機密保持って奴なのかなぁ。これじゃあ、お父さんに訊いても答えてくれなさそうだ。


「ちょっとキミ」


ん? 何だろう?


僕は突然見知らぬ男に呼び止められた。


茶色い帽子とトレンチコートを着た男だ。年齢は、僕のお父さんと同じぐらい?


「な、何ですか…?」


見知らぬ男に、僕は警戒心を抱く。


「アピアス・ファーナー君だね?」


「そ、そうですけど…」


名前まで知ってる。ますます怪しい。


「私を覚えてないかな?」


「い、いえ…」


これ不審者って奴?早く逃げた方が…。


「私だよ。マンハッタンだ」


そう言って男は、被っていた帽子を取った。

名前と帽子を取った顔を見て、僕の頭に閃光が走ったのを感じた。


「! マンハッタンおじさん!?」


「あぁ、大きくなったな。アピアス君」


マンハッタンおじさんは、僕に懐かしい優しい顔を見せてくれた。


「ジオの奴は元気か?」


「うん! 最近は帰ってこないけど…お父さんは元気だよ!」


昨日実の息子を殺そうとしたぐらいには。


「そうか…それは何よりだ」


マンハッタンおじさんは元ドラゴンスレイヤーで、僕のお父さんの友達だ。そしてお父さんの上司でもあった。

僕も小さい頃からお世話になっており、おじさんの子供とは仲良くやっていた。

確かマンハッタンおじさんの本名は、リベッジ・マンハッタンだっけか。


「マンハッタンおじさんは、今何してるの?」


「ん? あぁ…ちょっと小遣い稼ぎと暇潰しを兼ねて、探偵をな」


「探偵!? 凄い! 今は何か捜査してるの!?」


探偵と聞き、僕はテンションが上がっていた。

本物の探偵なんて、滅多に会えるものじゃない。

僕は目をキラキラさせておじさんに質問する。

すると、おじさんの口から衝撃的な言葉が放たれた。


「例の黒いドラゴンの捜査」


「……え」


僕は思わず固まってしまった。

ま、まさか…僕の正体に気付いてるなんて事は…。


「これは依頼とかじゃなくて、個人的に調べたいと思って調べてる事でね。ん? どうしたアピアス君」


「ふぇ!? あ…い、いえ! 何でもないです!!!」


僕は焦りながらそう言った。

ヤバい。明らかに動揺した。いつもの事だけどこれどうにかしたい。


「……あぁ…そうか…。君は、奴に襲われたんだっけか。すまないな、君の前でそんなデリカシーのない事を」


「あ、いえいえ! だ、大丈夫です! 確かにちょっとびっくりしましたけど、平気です!!!」


そ、そうだ。僕にはこの切り札があった。


僕はあの黒いドラゴンに襲われた。


そう思ってる人も何人かいるのだ。おじさんもお父さんから話は聞いていたらしい。

襲われたドラゴンの話をされたら驚いて固まってしまうのもおかしくはないだろう。多分。

それに、黒いドラゴンに襲われたのは事実だし。


「じゃ、じゃあ僕、行くところあるんで! おじさん、お元気で!」


僕はこれ以上おじさんといるのはマズいと思い、そう言って走り去って行った。


危ない危ない。まさかおじさんまで黒いドラゴンを調べてるなんて。余計、僕の正体がバレない様に慎重にならないとなぁ。


そんな事を考えながら走る僕の背中を、おじさんは見つめていた。


その目は、それはとてもとても鋭いものだった。




ーーーーーーーーーーーーーーーー




俺は洞窟から顔を覗かせた。辺りを見渡し、匂いも嗅ぐ。


……よし、誰もいない。


俺は服を詰めたリュックを片手に、洞窟に入っていった。

洞窟の岩の陰にリュックを隠し、俺はその場に座り込む。


……………

………

……


最ッッッ高!!!


あー! 良い! やっぱ我が家は最高!!!

三週間も離れてたから荒らされてないか不安だったけど、どうやら無事だったみたいだ。


あー…洞窟いいわぁ…。落ち着くわぁ…。

人間の家はハイテク過ぎるんだよなぁ。いや、良いんだよ? あのハイテクも良いんだよ?アレだって立派な我が家な訳だし。

でもさ、やっぱりアレよ。こういう洞窟も良いよね。うん。


久しぶりのバニッシュのマイホームに、俺は心をウキウキさせた。

もちろんここは人間の管区外。つまり周りは自然そのままの姿だ。

あの開発された街並みも人間から見れば良いけど、ドラゴンから見ればこういう自然が一番落ち着く。


外出たら何しようかって悩んでたけど、しばらくはここでゴロゴロしてぇ。

お母さんには昼食は食ってくるって言ってきたから、時間は余裕にあるしな。

あ〜…いいなぁ。こういう休日の使い方もアリだわ。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



「ごめんなさいね〜。夫ったら仕事中で…」


「いえ、お気遣いなく。彼の仕事の大変さは、私もよく分かってますから」


リベッジ・マンハッタンは、アピアスの家に立ち寄っていた。

アピアスの母はリベッジにコーヒーを渡し、テーブルを挟んで向かい合わせにイスに座る。


「さっきアピアス君に会いましたよ。元気そうですね、あの子は」


「まぁ…元気過ぎて困ってるんですけどね。昨日なんて夜遅く帰ってきて…しかも怪我して」


「友達と喧嘩でもしたんですか?」


リベッジの質問に、アピアスの母は首を横に振る。


「なーんにも答えてくれないんです。もう反抗期なんですかねぇ…」


「ふぅん…とてもそうには見えませんけどねぇ…」


そう言いリベッジは、家に飾られていた家族写真を見る。

アピアスの母とアピアスの父・ジオとアピアスの三人が笑顔で写っている。とても幸せそうな写真だ。


「まぁ、あの事件があってから…私も過保護なところがあるのかも…」


「いえ、あんな事が起きたら心配になるのは当然ですよ。私も、気持ちはよく分かりますから…。でも…アピアス君が無事で本当に良かったです」


あの事件とは、アピアスがドラゴンに食われた事件だ。

普通、その時にアピアスは死んでいてもおかしくない。アピアスが生きているのは、正に奇跡だ。


奇跡過ぎて…リベッジにはどうも気になる。


「こんな事訊くのは失礼ですが…アピアス君は、あの事件のことをどう思っているんですか?」


「それは…私にもあんまり…。あの子自身、あまり話そうとはしなくて…」


「まぁ…そうですよね…」


「でも、あの黒いドラゴンはやっぱり気になるみたいです。あのドラゴンがテレビに出ると、食い入る様に見てますので」


「ふむ…」


自分を殺しかけたドラゴンがテレビに映ると食い入る様に見る…。

自分を脅かした存在が今どうしているのかが気になっているのだろうか。

だが、普通は寧ろ奴の情報を避けるのではないか?何故、アピアスは逆に奴に興味を示しているのだろう。


やはりアピアスは…


「そう言えば、アピアス君は今日何を?」


「友達と遊びに行くって言ってました。多分クリント君とじゃないですかね? リーシャちゃんは、まだ外に出れないみたいですし…」


「そう…ですか…」


リベッジはそう言い、コーヒーを飲んだ。


これは、帰ってからも調査が必要そうだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



この世界は弱肉強食。


それは人間だろうがドラゴンだろうが変わりはない。特にドラゴンはそれが顕著だ。


つまり何が言いたいかって…。


あ、シカ見っけ。


俺は空からシカの群れを発見した。


俺はすぐに魔法を発動させ、シカの目の前にまで瞬間移動する。

もちろんシカの群れはいきなりの天敵の出現に驚き、バラバラに散り始める。


まぁそうなるわな。怖いわな。体格的に勝てる相手じゃねぇもん。うんうん。分かる。分かるよその気持ち。だが容赦はしない。


俺は適当なシカを三頭ほど選び、次々と転送してそのシカ達を取っていった。

二頭は俺が両手で抱え、体に爪を食い込んである。最後の一頭はそのまま口に咥えた。無数の牙が食い込んで、他の二頭よりも悲痛の声をあげている。悪いな。これも生きる為なんだ。弱肉強食だよ。


俺は自分の住処にワープし、その三頭のシカを地面に叩きつけた。

叩きつけられたショックがトドメとなり、三頭の内二頭はそこで完全に息絶えた。

左腕で抱えていた方のシカはまだ息があるらしく、すぐに立ち上がり逃げようとしたが、俺から逃れられる筈がない。


俺は洞窟の出入り口の前にワープし、逃げようしたシカの首に噛み付いた。

シカは悲鳴を上げるが、それはすぐに収まりそのままそのシカは息絶えた。


何か悪い気がしてきたな…。

ドラゴンだと全然罪悪感無いんだけど、今の俺人間混じってるからなぁ。僕の方はこんな生きた動物を狩る様なことしないし…。

あぁ駄目だ駄目だ。狩らなければ俺だって生きていけん。人間が優遇され過ぎなんだよ。食いもんぐらい自分で狩れ。うんうん。


……いや、自分で言っといてアレだけど、それは難しいか? うむむ…あー! もう! 考えたって仕方ない! 食う食う! もう腹一杯食う!


俺はシカを三頭まとめて置き、適当に一頭ずつ食っていった。

久しぶりの生肉は美味しかった。調理するのもアリだが、この肉そのものの味もたまらない。


人間だとまず食わないだろうしなこんな生肉。下手すりゃ病気だ病気。

でも、ドラゴンにそんなの関係ない。そもそも他の野生動物だって生肉そのままむしゃくしゃ食ってる訳だし。こう考えてみると、人間は慎重過ぎるのかねぇ。

それとも人間と他の動物だと、何か体の構造とか違うのか?俺そこら辺詳しくないんだよなぁ。まぁいいや。


俺はあっという間に三頭のシカを食べ終えた。

久しぶりの生肉、しかもこんなに食うのはもっと久しぶりだ。うん。やっぱり定期的にこういう生活するのもいいかもしれない。


さて、飯は食ったし次はどうすっかな。

何か適当に辺りを探索でもするか? でも、これ以上外でウロウロするとなぁ…。

ドラゴンスレイヤーが遠征に行ってるって情報は無いからそこは平気だけど、不安なのは俺を知ってるドラゴンとバッタリ会う事だ。特に俺と一緒に人間の街にやってきた親友。


あいつ、俺がいなくなって心配してんのかなぁ。会いたいのは山々なんだけど、こっちもこっちの事情があるから、そう簡単に会う訳にもいかないんだよなぁ。あいつも人間にそんな良い感情は抱いてない筈だし。


……クソッ。最初はウキウキ気分だったけど、冷静に考えるとやれる事少ないな。ここ、案外静かでドラゴンも少ないんだけど、いざとなると警戒してしまう。

でももうちょっと外の空気吸いたいしなぁ。もし会ったら転送して逃げればいいか? いやでも、もし奴に会うと面倒くさい事に…。


ん? 待てよ? 奴?


そう考える俺がふと視線を感じると、目の前に一つの目玉が浮かんでるのが見えた。


あ、やべっ。


見覚えのあるその光景に、俺は冷や汗をかいた。


浮かぶ目玉はしきりに俺の周りを飛び回る。


あーヤバい…。一番面倒くさい奴に見つかった。


【バニッシュさん!? 帰ってきたんですね!? 心配したんですよ!?】


目玉から思念が伝わってくる。


つーかこいつ、何勝手に俺の住処に目送ってんだよ。ストーカーかよ。


【まぁな。ってか何でお前、ここに目送ってんの?】


【そりゃ当然! バニッシュさんが何時帰ってくるか不安で、時々見て回ってるんですよ! 1日10回ぐらい】


めっちゃ見てんじゃねぇか!!!


何? 俺の留守中、俺の住処こいつに見られてたの!? 恥ずかしっ! 別に恥ずかしいもの置いてないけど恥ずかしっ! ってか今までよく会わなかったな!? 逆にすげぇよ! このすれ違い逆にすげぇよ!!!


【バニッシュさん今まで何処行ってたんですか? 変わり者(マーベリック)さんも心配してましたよ?】


あぁでしょうね。そいつの事は今さっき考えてたよ。


【まぁ、色々あってな】


【色々って何なんですか!? というか帰ってきたこと、マーベリックさんには伝えたんですか!? まだだったらあたしが…】


そこまで言った目玉を、俺は右手で力一杯掴んだ。

目玉から驚いた感情が伝わってくる。


【一つ…約束をして欲しい…】


【は、はい…?】


俺は、目玉の方に目を向ける。

と言っても目玉は俺の手に収まり、目玉は一部分しか見えていないのだが。


【この事は黙っててくれ。頼む】


【………何で…ですか?】


【……それは…言えない…。でも、頼む】


俺の懇願に、目玉は黙り込む。

しかし、しばらくすると目玉から念が送られてきた。


【分かりました。バニッシュさんがそこまで言うのなら】


【……ありがとう。悪いな】


俺は目玉に礼を言い、掴んでいた手を離した。

目玉だから見た感じの表情は分からないが、きっと俺のことを分かってくれたに違いない。


【じゃあ、あたしから…最後にお願い良いですか?】


【何だ?】


突然の目玉の願いに、俺は快く受け入れることにした。

こいつも俺の頼みを聴いてくれたんだ。それぐらい良いだろう。


【今からあたしの住処に行って熱いキスと】


俺はそこで目玉を握り潰した。


悪いができる事とできない事がある。あれはできない事だ。

っていうかあいつ、キスと他に何かさせようとしてたよな? 何? 何を要求しようとしてたの?何か考えるだけで体が震えてくるんだけど。何これ怖い。


しかし、奴に帰ってる事がバレるとは。

いや、冷静に考えれば一番可能性は高くない訳じゃないんだけどさ。


仕方ない、今日はここまでにするか。まぁ久しぶりの我が家に帰ってきた上に生肉を久々に食えたんだ。悪い休みじゃなかったさ。


俺は食べ終えたシカの骨を適当に草原に転送させた後、俺は僕へと姿を切り替えた。


洞窟から冷たい風が僕の肌を伝ってくる。


しまった。ここで全裸にいるべきじゃなかった。めちゃくちゃ寒い。


僕はすぐにリュックを取り出し、中の服を着ていった。

服を着替え終わり、靴を履くと僕はできる限り人がいないであろう場所を選んでそこに自分をワープさせた。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



「ただいま〜」


僕は鍵を開けて、家の自動扉を通っていった。


「おかえり〜」

「おかえり」


すると、リビングの方から二人の男女の声が聞こえてきた。

一人はお母さん、もう一人は…


「お父さん!?」


僕は急いでリビングの方に向かうと、お母さんはソファでテレビを観て、お父さんはコーヒーを飲んでいたところだった。


「よっ、何かこう話すの久しぶりだな」


お父さんは帰ってきた僕に笑顔を見せた。

まさかお父さんがこんな時間にいるとは予想外だった為、僕はしばらく固まってしまった。


「お、お父さん何でいるの!? 遂に仕事クビになった!?」


「クビじゃないよ。俺どう思われてんだよ」


えぇと、とても怖い天敵です。


「昨日から今日の朝までずっと働いてたんだぞ?家に帰らないと流石に体力がもたん。全く、ドラゴンの奴には参るよ。仕事が増える一方だからな」


あぁそうだね。ごめんなさい。


「というか聞いたぞ? リベッジに会ったみたいだな」


「え? あぁうん」


一瞬リベッジって誰だっけ? ってなってしまったけど、確かマンハッタンおじさんの名前だ。

僕はそう返事をして頷いた。


「家にも来たらしくてな。はぁ…俺も帰るのがもうちょっと早かったら会えてたのに」


「会えててもすぐ寝てたでしょ」


お父さんの言葉に、お母さんはそう返してきた。

どうやらお父さんはさっき起きたばかりらしい。やはり、ドラゴンスレイヤーの仕事は大変そうだ。


いやそれより、気になる事が…


「え…おじさん、ここに来たの?」


「えぇ、近くに来たからって」


僕の質問に、お母さんが答えてくれた。


近くに来たから…確かにその理由でも納得するが、僕にはどうもそんな気がしない。


おじさんは確かああ言っていた。


『例の黒いドラゴンの捜査』


僕はそれを思い出すとゾッとした。


僕に話を訊くだけでなく、わざわざ家にまで来るなんて…。

実際お母さんの言う通り、近くに来たからここを訪ねたのかもしれないが、どうにも不安だ。


「近くに来たって…リベッジは元々何の用事で来てたんだ?」


「それがね、あの人今探偵をしてるらしくて。そこで依頼人から夫の不倫現場を抑えて欲しいって頼まれたんですって。それでここに来たって」


お父さんとお母さんの会話を聴いて、僕はびっくりした。


「へぇ…あいつも大変だなぁ」


「ね〜。実際その夫、不倫してたみたいよ。あなたもやめてよね」


「俺はしないよ!」


不倫? 違う。おじさんは黒いドラゴンの事を調べてた筈だ。じゃあ、何でおじさんは嘘なんて言ったんだ? まさか…本当に…。


「あ、そうだアピアス」


「ふぇ!? な、何?」


突然お母さんに話しかけられ、僕は驚いて声をあげる。


「遊ぶのも良いけど、宿題はやったの?」


「あ…い、今からやるよ!」


僕はそう言って、自分の部屋に駆け込んだ。


でも、とても宿題なんてやれる精神状態じゃない。

おじさんは、僕の正体に気付いてるのか? 僕が、その黒いドラゴンだって事を知っているのか?

そんなまさか…。そんな筈ない。きっと何かの勘違いだ。そうだ。そうに決まってる。だから落ち着くんだ。落ち着け僕。今は宿題が優先だ。そう、宿題をやらないと先生に怒られる。だから…そう。落ち着け…。深呼吸深呼吸…。


僕はそう自分に言い聞かせて、机に向かった。


でもどうしても、僕の頭にはおじさんの顔がチラついた。

僕の心臓は、正に爆発寸前だった。




ーーーーーーーーーーーーーーーー




人通りの少ない路地に、小さな探偵事務所があった。

立て札に「マンハッタン探偵事務所」とだけ書かれ、外観は古い木造の小屋の様な作りだ。


そのボロ小屋の中で、リベッジは壁に貼り付けた地図を見つめていた。その地図の上には、さらに写真が貼られている。

その写真何枚もあったが、写っていたのはバニッシュとアピアスばかりだった。


「最初にこの黒いドラゴンが人助けを始めたのがダイアンド市…」


リベッジは一人で考え込みながら、写真の貼られた地図を確認する。


「そして、その一週間前にアピアス君を食おうとした黒いドラゴン…」


リベッジはアピアスの写真とバニッシュの写真を交互に見る。


「黒いドラゴンに襲われたアピアス君は奇跡の生還を果たし、その一週間後にアピアス君の住む場所で黒いドラゴンが人を助けた…。これは、偶然か?」


リベッジは一先ず地図を見つめるのはやめて、机に置いてた資料を取る。


「アピアス君。君は…何かを知ってるんじゃないか?」


リベッジが見つめる資料。それは、リベッジが自力で調べたアピアスの個人情報であった。

せっかくお父さんが帰ってきたのに毒の件を訊くの忘れてた。マジうっかり。まぁ多分次回ぐらいで訊いてる事になったりするんじゃないですかね(適当


それでは読んでくださってる皆様、こんなグダグダな後書きですが今回も読んでくれてありがとうございます。できれば感想とか指摘とか送ってくれてもいいのよ(ボソッ

それでは皆さんまたいつか。


P.S.後書きって何書けばいいんだろう。ポエム?ポエムでも書けばいいの?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ