プロローグ【とりあえず】
女の子の裸は妄想してください。
「とりあえず、テナちゃん。脱いで」
「何言ってんですかーっ‼」
とある大きな館の一室で、そんな叫びが飛んだ。
豪勢な椅子に座った白い髪の少年のセクハラ発言に目一杯の否定をぶつける青みを帯びた長髪をもつ美女。
そして、それをビデオカメラで撮影する短い白髪のメイド。
「ご主人様は、ヒマなのですよ。求められることに喜びを感じなさい、テナ」
「暇つぶしのために脱ぐ女がどこにいますかっ! ユミさんもメイド長なら、撮ってないでこのヘンタイを叱ってくださいっ!」
カメラをため息交じりにしまいつつ、メイド長は座っている主人に机を挟んで、「めっです」と人差し指を立てた。
「テナちゃんのせいでユミに怒られた……」
「今ので反省するんですか……」
「ご主人様は、まだ幼いのです。あまり、強く叱るとグレてしまいます」
「幼いってこの人、もうとっくに百超えてんでしょーがっ‼」
テナは主人を指差し、詐欺っぷりを批判した。
これを受け、白髪の少年――に見せかけた、実年齢百を超えるモノは、子供のように開き直った。
「男は年齢を重ねるほどいいんだよ、テナちゃん?」
「詐欺じじいがなにをいいますか……」
「ダンディーなご主人様もステキです」
呆れた顔をしたテナとうっとり顔のユミ。
そして、二人の主人であるこの少年風の男性。
実年齢、一六〇歳。外見年齢、一三歳。身長、一六〇センチ。体重、四六キロ。
白髪で青い眼を持ち、年齢からは想像がつかないほど幼い中性的顔立ち。
「オレは、キーズ・エリファス・セスナ。これからよろしく」
「キーさん、誰に言ってんですか?」
「ご主人様はあらゆる方にご配慮なさっているのですよ」
これから館に集うであろう、様々なモノたちへ。
キーズ・エリファス・セスナ、彼は、コレクターである。
ちょっと不老で、色々おかしく、ちょっとエロいけど、色々スゴイ、そんなコレクターである。
お気をつけて。
え? なんのコレクターか?
今は知らない方がいい。
というか、訊かないでください。
お願いします。
次回は回想です。