1.1 転生1日目
1話を更新させていただきました。遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
2話も、明日3/10(金)か明後日3/11(土)に投稿しようと思います。
よろしければ今後もよろしくお願いします。
3/9(木)PM11:51 千条
爽やかな風が頬を撫でたため目を開けると、大きめな窓があけられ前にかけられた真っ白なレースカーテンが大きく膨らんでいた。
膨らみがだんだん小さくなり揺れる程度になった頃に、そばに座っていた20代後半にみえるヴィクトリアンメイドが微笑みながら話しかけてきた。
「サク様、お目覚めですか?」
サクとは俺のことで、たぶん1年ほど前にこの家に生まれてきた。家名は分からないが貴族で、少し上の兄がいると思う。
俺はまだはっきりとは喋ることはできないので、メイドさんの方へ視線を向け笑い返す。
「まぁ、なんてかわいらしい。サク様はお利口ですね、まだおやつまで時間がありますけどどうしましょうか」
そこで、俺はアンティーク感の出ている本棚を指差す。暇なときには本を読んでもらっているので気味悪がられているのでは、と思っている。
しかし、この世界のことを少しでも知りたいので仕方のないことなのだ。とわいえ、読んでもらえるのは絵本だけなんだが。
「あら、また絵本ですか? 本当にすきなんですね。なら、どの本にしましょうか......これにしましょう」
そう言って、本に這わせた指を止め抜き取って来たのは、今まで何度も読み聞かせてもらった本であり、最もお気に入りの本である。
タイトルは『英雄章 外伝 魔術師』だ。
英雄章とは遥か昔にあった勇者と魔王の戦いについてかかれたものである。そして、その外伝として勇者に付き添った仲間達・・・・・斥候、魔術師、ヒーラー、雑務の4人について書かれた話がある。
その中の魔術師について書かれたものが例の本なのだ。
内容は、アミリアは小さく貧しい村に生まれたが魔術適正が非常に高く、それを知った勇者にスカウトされ魔術を極め、稼いだお金で村を支援するという話だ。
ただ内容はどうでもよく、この本に心を惹かれたのは魔術という未知の存在について書かれた本だったからである。
魔術という存在について、例の外伝から読み取れることを自分なりにまとめてみるとこのようになった。
・魔術を使うには魔力と適正が必要
・魔術には魔術陣というものを書かなければならない
・属性が最低でも、炎、水、木、光、闇、無属性の6種類が存在する
・魔術は威力は高いが陣が必要なため発動に時間がかかる
・時間がかかるため|物理的な攻撃(剣など)で時間を稼ぐ必要がある
・魔術陣を開発・改良する人もいる(?)
最後のはそうではないのかという予想である。アミリアが魔術陣をいくつか開発したという話があったため、そういった事を専門とする人たちがいるのではないのかと思ったのだ。
もしこの予想の通りだったとしたら、そんな仕事もしてみたいと思う。
元プログラマーとしての血が騒ぐのだ。なぜか、プログラムを書くのと同じようにかける気がする。
でも、魔術師になるのもいいと思う。やはり、ゲーム関連のプログラマーになったぐらいだからそういった事に憧れているのだ。
発動までの時間を短くして熱く燃え盛る大きな炎球を、思いきり魔物にぶつけてみたいなどと妄想したりしたものだ。それがこの世界で実現できるかもしれないのだ。それを目指さないてはない。
そんなこんな、魔術について考えている間に読み聞かせも終わり、おやつの時間になったようだ。
さて、今日のおやつはなんなのだろうか。
誤字脱字ありましたら感想のほうで教えてくださいますとありがたいです。