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第六話・アールドワースの真実

あれ? 今回ちょっと短いな…あとでキャラ紹介でも続けてうpります。

 暖かい毛布に包まれ、眠り続ける。このまま来世まで眠り続けたい。

 目が覚めたら異世界で、僕は超絶イケメンの自称普通の高校生、魔法のレベルはSSSより上のMランクだけど、面倒くさいんでBランク、魔力属性:火、闇、雷。今や伝承する者が誰もいない伝説の古武術・蒼天紅牙流の使い手で肉弾戦闘も最強(でも普段は隠してる)。毎朝幼馴染に起こされて本当は毎晩地下室で一歩間違えれば死ぬ特殊訓練を受けていて、学校の授業のペーパーテストは逆にレベルが低すぎて赤点すれすれ、ツンデレのあだ名が「委員長」で眼鏡を外したら超美人の幼馴染Bに小言を言われて、妹みたいな可愛い後輩が「お兄ちゃん」って呼んでくれて、

 謎の転校生の美少女は幼い頃「君を守る」と約束した某国のプリンセスで謎のテロリスト(AAA級秘匿だけど僕は知ってる)に巻き込まれて、「やれやれ面倒だな」「さあお前ら、懺悔じひの時間だ」は~い僕のスーパー無双た~いむ! ちゅーん、どかーーん!! 「まったく面倒事にばかり巻き込まれる」相手は死ぬ。美少女は僕に惚れる。


 ……アレ? 異世界どこいった?


 じゃ、今度は異世界バージョンで、

 やっぱ幼馴染はハーフエルフだよな、僕は幼い頃暗殺者集団に誘拐されてそこのエースで、何人もの人間を暗殺して人間の感情がなくって、でも心に深い傷を負っていていつも誰かに許しを求めていて……、

 は~嬉しいね~幸せだね~、朝練気にせず眠れる日曜の朝は……。

 ……野川原高校相撲部。休日、元旦のみ。364日全部朝練込の、ヂゴクのジャパンレスリング部……。

 目を空ける。もう日が昇っている。

 ……死んだ。ガチ先輩に殺された、今日僕は死んで殺された。今日が僕の命日か……。

 暖かい布団を蹴っ飛ばし、一気に跳ね起き。


 ………………どこ? ここ?

 昨日(多分)ゴブリンに殺されかけたってのに、正直ガチ先輩の方が怖いです。てかそうだ、僕って死んだんじゃなかったっけ?

 異世界――アールドワースに飛ばされた桐ケ谷琢磨呂。二日目の朝が始まった。



「あ、お目覚めですか? タクマロさん」


 ファンタジー異世界アールドワース。村のどこかの家で目覚めました。

 室内は結構立派です、もしかして村長の家とかでしょうかね?(ズバリ正解)。

 爽やかな目覚め、眠気は吹っ飛んでいるけど、まだ頭に霞がかかったようにぼーっとしている。


「……おはよう、御座います」


 現れたのは、執事っぽい服を着た、やたらと角ばった四角い顔の男性だった。カクさんと命名。

 てか目覚めの挨拶はメイドでしょ。ファンタジーなんだから。いえ生意気いってスミマセン豚のくせにベッドご馳走様でした。


「お身体はもう大丈夫ですか? ……記憶の方は、いかがですか?」


 ああそうだ、僕記憶喪失これマジ。


「いえ……ああ、身体の方は万全です、よく眠れましたありがとう御座います。記憶の方は……うぅ、アタマがー、ナマエ以外、ナニモ思いダセナイー」

「ああ、どうか無理をなさらずに、ゆっくりと静養なさって下さいね、私はカーク=ブライアンと申します、ご用がございましたら、いつでも呼び鈴で及び下さい。直ぐに朝食を持ってきますね、腕によりをかけて作りますので」


 ……いたりつくせりで、本当恐縮です。コレも一種の俺TUEEEE!! なんでしょうかね?

 しかしカクサン、いやカークさん。捻り鉢巻きで大工や料理人が似合いそうな、粋で鯔背なチャキチャキな見た目で、随分と腰が低くて物腰が柔らかい。

 そうだ……僕は(多分)異世界に飛ばされたんだ。

 服装は学ランの上下にマフラー、ポケットには財布とティッシュと学生証と、フリスク一個。

 スマフォも鞄も手放してたなぁそういえば、死んだ時に。


 ……死んだ、んだよね? 異世界だよねここ? まだ夢の中じゃないよね?



 朝食はスクランブルエッグにサンドイッチ、暖かいモーニングコーヒー。

 ……だいたい食材は地球と変わらないらしい。つか美味しい。

 僕はぺろりと平らげてしまい、カークさんに色々質問したりした。

 カークさんは物腰柔らかく、親切懇切丁寧に僕の質問に答えてくれた。

 ううぅ……あったけぇ、あったけぇ……相撲部の先輩方とはえらい違いだこの待遇……ッ!


「カークさん料理お上手ですね? こんな美味しいサンドイッチ食べたの初めてですよ!」

「あはは、ありがとう。いやなに、料理は男の嗜みってね」

「……女性の方々は、農作業に?」

「? 勿論」

「……昨日助けて下さった騎士団の方々、女性ばかりでしたが、男性騎士とかいらっしゃらないんですか?」

「ん? んん~、珍しいんじゃないかなぁ? まあラノベや薄い本では、「くっ殺」は流行ってるだろうけど」


 ……大丈夫なのかこの世界? なんでくっころが標準用語なんだよ?

 いや違う! 思わずどうでもいい情報がインパクトありすぎてイチイチ混乱する。

 そう、重要なのは異世界でも「くっ殺」が知れ渡っていることじゃない、


 やっぱりこの世界は……男女での職業従事があべこべになっている。

 それからも色々、世間話する要領でこの世界の情報を聞き出す。

 男子は家庭に入るもの。最近は就職し、結婚しないで独身を貫く男性も多いとか。

 出生率は女性の方が二割増しで多く、男子は比較的少ないとか。

 女子の一番の憧れの職業は騎士だとか、ドラゴンに攫われた王子様を助けに行く女騎士とか子供の童話レベルで浸透している。

 でも最近のラノベでは男の騎士が流行ってて、不自然なデカい剣を振り回しているとか。


 女性が騎士に就任して、女性が戦争で活躍っつ~か殺し合うのか? え? でも女性は月モノとか、妊娠したらどうしたって十月十日とつきとうかは身重になるわけで――、


 ごごごごごごごごごごごごご………


 ご都 合 主義 !!! !!!!!!!(どーん!)


 あ、はい。

 頭のアレな神がなんか言ってきたんで忘れます。


 そして――、

「ああ、後で白銀の薔薇騎士団の皆様に、お礼を言いにいかないと、カークさん、申し訳ありませんが、駐屯している宿屋まで案内してもらってもいいですか?」

「!? ……あ、あぁ、いや、うん! 勿論構わないよ」


 明らかに終始明るかったカークさんの顔が歪んだ。

 僕はそこに、“この世界に来て一番強く感じている違和感”に突っ込んでみた。


「ああ、ご迷惑でしたら無理をなさらないで! 場所さえ教えて頂ければ、後で自分で行ってきます♪ ……もしかして、騎士団の方々となにか?」

「あぁ……いえね、別に何があったわけじゃないんだけどね、やっぱり男としては、ちょっと怖いかな、って……」


 コレだ、この違和感は早めに解き明かさないと、後で大変な目に合う気がする。


「ええ~? でも白銀の薔薇魔法騎士団の皆さん、全員“絶世の美人”揃いじゃないですか~?」

「!!!?」


 ……謎は全て解けた。

 いやゴメン、まだわかんない(どっちだよ)。


「……な~んて、あはは♪」

「あ、あはははは! もうタクマロ君ってば面白いなぁ!」


 ……おいマジかよ……。

 男女の職業どころか――

 美的感覚まで、あべこべってこと?


 となるとなんだ? 僕のこの通称:ブタマロ細工、のご面相は――?

 僕の祖父、桐ケ谷竜二郎の名に懸けて!


「カークさんなんて、“モテモテ”で大変でしょう?」

「そんな~僕なんて全然!」


 っち、外した。明らかに西洋風な顔立ちと名前なのに、今どきの日本人もびっくりの謙虚さだ。

 流石にこれ以上突っ込んだら“変な奴”になってしまう。多分だけどデリケートな問題(?)でもあるし、もう少し時間をかけてはっきりさせよう。


「……では、ちょっと騎士団の泊まっている宿屋に行ってみますね」

「う、うん……気を付けてね、一応、いやいや、悪い人たちじゃないんだけどね勿論、タクマロ君なんて“とんでもない美少年”だから……いや、年頃だし万が一もありえるから」


 時間をかけてはっきりさせようって言ったばかりじゃないですかやだー。


 …………結論:僕様美形の美少年。


 狂ってるのは多分世界の方だと確信できる。

 あとこの世界を作った神か作者様の脳みそだろう、きっと手遅れだ。


 美形っていうのは、ある意味特徴の無い顔立ちのことだ。

 全員が美形だと、美形ばかりを並べると確かに判断が付きづらい、だろうか?

 いやでもやっぱ美形のがいいでしょ?

 ……という僕の個人的意見はこの際置いといて、どうやらこの世界、顔立ちに“個性が強い”ほどモテる……とか? 推理してみる(正解です)。


 僕は洗って乾かされた(魔法で)学ランの上下で身を包み、白銀の薔薇魔法騎士団が貸切って使っている宿屋を目指した。

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