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プロローグ

RPG用に作ったシナリオです。

メタ発言、キャラ崩壊、設定違いなどが出てくる可能性があります。

「じゃあその『未来水妖バザー』は大成功だったのね」

「そう! 近いうちに第2回が開催されるかもしれないよ」

 昼でも暗い妖怪の樹海。漂う毛玉達に囲まれて、厄神の鍵山雛と河童の河城にとりはおしゃべりをしていた。


「今度開催されたらさ。雛もおいでよ!」

「え、えぇ……」

 にとりの言葉に雛は複雑な表情を浮かべた。自分が人混みの中にいたら何が起こるかわからないからだ。厄神である雛の元には勝手に厄が集まってくる。その厄は彼女に近づく者を不幸にしてしまう。最近やってきた山の神に厄を渡すことによってよく遊びにやってくるにとりに危害がおこる可能性は低くなっているが、長い時間一緒にはいられない。

「雛――」

 にとりは雛の表情から悟ったのか視線を落とした。が、すぐに笑顔に戻る。

「大丈夫! すごいものを作ったんだ!」

「すごいもの?」

「そ、ちょっと腕を出して」

「ええ」

 雛は右腕を出すと、にとりは何かをその腕につけた。

「あら、雛ちゃんかわいいじゃない!」

 そばにいた毛玉がそう言う。

「これは?」

 ブレスレットのような腕時計のようなそのすごいものを見つめながら雛は呟く。

「『厄転送機』だよ」

「や、やく――てんそうき?」

「そ。この転送機が厄を山の神様の所まで勝手に送ってくれるんだ」

 にとりは胸を張りながらそう言った。

「山の神様のねぇ。そんな勝手に送って大丈夫なのかしら? 許可はもちろん取ったわよね?」

「えへへー」

「……取ってないのね」

 一瞬で全てを悟った雛はため息混じりに呟いた。

「で、どう?」

「どうって言われても、さっき厄を渡してきたばっかりだし――」

「じゃあちょっと集めてみてよ」

「そうね」

 雛はそう言うとにとりと距離をとる。そしてくるくると回転し始めた。どんどん勢いをつける雛。しかし突然回転をやめた。


「どうしたの?」

「誰か来たわ」

「ひゅい!?」

 にとりは変な悲鳴をあげると雛の背後に隠れた。そこに、一人の少女がやってきた。

「あ、あなたがたは?」

「私は鍵山雛。厄神よ。そして彼女は河童の河城にとり」

「こ、こんにっちはっ」

 雛の背後に隠れたまま、にとりは声搾り出すように言った。

「ごめんなさいねぇ。彼女人見知りで。それで、あなたは?」

「永江衣玖と申します」

「その姿、龍宮の使いね。まさか地震が?」

 雛は一瞬険しい表情を見せる。

「いいえ。今日はちょっと別の用でやってきただけです」

「そう。なら良かった。でも滅多に幻想郷に現れないあなたがやってくるなんて一体どうしたっていうの?」

「このお方を見ませんでしたか?」

 衣玖は懐から一枚のボロボロの紙を取りだし雛達に見せた。手配書のような紙の真ん中に、一人の少女の写真が載っていた。

「さぁ? 見ていないけど。にとりは?」

「私も見てないな。でもすごい懸賞金。なんか悪い事したの?」

「こちらのお方は天人の比那名居天子様です」

「天人? じゃあこの手配書は天界の?」

「いいえ。それがわからないのです」

「??? 順を追って説明してもらったほうがいいみたいね」

 雛は首を傾げるとそう言った。


「そのほうが良いですね」

 衣玖はそう言うと咳払いをし、話を続ける。

「先日、私は龍神様の言葉を聞きました。『比那名居天子から目を離すな。悲劇が起きる』この言葉を聞いて私はすぐさま総領娘様の元、天界へと急ぎました。しかし総領娘様は天界からの命を受け、幻想郷に降り立ったと」

「龍神様が? それは一大事ね」

「えぇ。ですから私は情報が集まる人里へと向かいました。しかし人の話を聞いているうちに妙な雰囲気を感じたんです。人々の視線が何やらギラついているような気がして……。そこに総領娘様の手配書が目に飛び込んできたんです。そして察しました。人々が何やら殺気立っている理由が。そして里の人々は総領娘様をおびき出すために私を捕らえようと――」

「まぁ! なんてことを。厄いわね」

「人間なら一生楽に暮らせるほどの金額だからねぇ。人たちもそりゃあ殺気立つよ」

「何とか逃げここにやってきたというわけです」

「事情はわかったわ。大変だったのね。で、これからどうするの?」

「山の妖怪達に話を聞いてみるつもりです。もし総領娘様を見かけましたらいち早く天界に戻るようお伝えください。では私はこれで」

 衣玖は一礼すると山のほうへと歩き出した。


「待って」

 立ち去ろうとする衣玖に雛が声をかける。

「何か?」

「私もご一緒してもよろしいかしら?」

「雛っ?!」

 にとりは素っ頓狂な声を上げた。

「ですが厄神様のお手を煩わせる訳には」

「でもあなたも狙われているんでしょう? 人の噂はすぐに広まるわ。尾ひれまでついてね。それに手配書を出したのは誰だかわからない。もしものためにも二人でいたほうがいいと思うのだけど」

「雛、大丈夫なの?」

「もちろん。それに外に出歩いたほうがこの厄転送機のいい実験にもなると思わない?」

「そりゃあそうだけど……」

 心配そうなにとり。

「ですがやはり――!?」

「っ!?」

 突然、雛と衣玖の顔が険しくなった。

「ど、どうしたの?」

「この空気――嫌な感じがします」

「えぇ。厄い、厄いわ」

「一体何が――ひゅい!?」

 草むらから響く足音ににとりが声を上げる。ガサリガサリと音を立て何かが近づいてきていた。そして足音がすぐそこにまでくる――と。


「グル……グゲゲ……」

『!!!???』


 目の前に現れた怪物に三人は息を飲んだ。

「なっ、妖怪の山にはこんな異形の怪物が!?」

「まさかっ! こんな怪物見たことないわよ!?」

「ほ、本で見た! ゴブリンとスライムとか言うモンスターだ!」

 子供ぐらいの大きさの、耳のとがった怪物、そしてゼリーのような今すぐにでも崩れてしまいそうな物体。それらがこちらに襲い掛かってきた。


「にとり離れてっ! 毛玉達も!」

「うわあああっ!?」

「きゃあー!」

「逃げろおお!」

「ホワァ!」

 毛玉達は悲鳴をあげて逃げていった。が、にとりは腰を抜かしてしまったのかその場に座り込んだまま悲鳴をあげていた。

「それっ!」

 衣玖はまとっていた羽衣を鞭のように伸ばしにとりに襲い掛かろうとしていたスライムと呼ばれた怪物を弾き飛ばした。

「『魚符「龍魚ドリル」』!!!」

 続いて叫ぶとドリルのように羽衣を腕にまとい、そのまま吹き飛ばしたスライムに突進する。

「異形の怪物よ! 立ち去りなさい!」

 雛も持っていた御札をゴブリンめがけて飛ばしてく。が、両者の攻撃はまったく効果がないようだ。

「ど、どういうことです? 攻撃が通じないなんて」

「厄いわね。でもスペルカードルールで言うことを聞いてくれそうにもないし――きゃあっ!?」

 ゴブリンが振るった巨大な棍棒を雛はすんでのところでかわす。

「これじゃあ埒が明きませんよ!」

「ふふふ。苦戦してるわねぇ」

 突然、上空から声が聞こえた。二人は思わず声のほうを向く。


「や、八雲?」

「うふふっ」

 上空にはスキマに腰掛けた八雲紫がいた。

「何? この怪物はあなたの仕業?」

 雛は表情を険しくする。

「私じゃないわ。そんな怖い顔しないで頂戴」

「それでは一体何の用です? 苦戦する私達を高みの見物ですか?」

「助けに来てあげたのよ」

「助け?」

「そうよ。あなた達は弾幕ごっこしか知らない。今まではそれで良かった。でも今回はそうはいかない。目の前の怪物はあなた達の命を狙っているからね」

「そうみたいね! 何も悪い事をした覚えはないのだけれど。ひゃっ?」

 スライムが飛ばした粘液が雛にぶつかる。 

「で、助けって一体何なんですかっ!?」

 羽衣でゴブリンの攻撃をガードしながら衣玖が叫んだ。

「一度だけしか言わないわよ。よく聞いてね。スペルカードの原理、意味。それを良く考えて」

「スペルカードの原理?」

 衣玖がいぶかしげな表情を浮かべる。

「――――なるほど。そういうことね」

 雛はそう言うと叫んだ。

「『バッドフォーチュン』!!!」

 すると雛はくるくると回りだす。そして楔型の弾を発射した。

「スペルカード? これじゃあただの弾幕ごっこですよ!」

「ギャアアッ!」

 しかし、衣玖の予想に反してゴブリン達にダメージを与えているようだ。


「ふふふ。わかったみたいね」

「えぇ。スペルカードは言葉に意味がある。言葉に意味を持たせることで効果を発揮する。どんなに無駄な行動でも意味があればそれは力になる。それがスペルカードルールでしょ」

「行動に意味を――なるほど!」

 衣玖はそう言うと羽衣を構え、スライムめがけて叩きつける。するとスライムの姿が消えた。

「頭の回転が速い二人で助かったわ」

「それじゃあもう一匹も片付けちゃいましょう!」

「えぇっ!」

 二人は顔を見合わせうなずくと、雛は御札を投げつける。

「くらえ! 『龍魚ドリル』!!!」

「ギヤアアアアアッ!」

 御札と同時に衣玖の攻撃が決まり、ゴブリンも消えていった。それと同時に何匹かの霊が散っていく。


「れ、霊?」

「霊が怪物に姿を変えていたというの? ねぇ――あら。いない」

 雛は紫がいた上空に目をやったがすでに彼女の姿は消えていた。

「あわわ……」

「にとり、もう大丈夫よ。毛玉達も」

 雛は腰を抜かしたままのにとり、そしてにとりと一緒におびえる毛玉達に声をかけた。

「大丈夫ですか?」

「あわわ。お、思い出した。思い出したよ!」

「思い出したって何を?」

 にとりは立ち上がると叫んだ。

「さっきの怪物! 今日の『文々。新聞』で見たんだ! 変な怪物が幻想郷をうろついているって!」

「そんな大事なことなんで忘れてるの!?」

「だって『文々。新聞』だよ? またデタラメかと」

「それもそうね」

「総領娘様……」

 衣玖は心配そうに空を見つめていた。

「やっぱり一緒に行きましょう。こんな怪物までいるんじゃ尚の事よ。戦いはあまり得意じゃないけれどサポートぐらいならできるわ」

「――――」

 衣玖は視線を落とすと少し考え込む。そして雛に顔を向けた。

「私も正直こういう戦いはあまり得意ではありません。ですが総領娘様を探さなければなりません。何よりも早く。厄神様、ご協力をお願いします」

 そう言うと、衣玖は深々と頭を下げた。

「えぇ!」

「雛! 俺達も手伝うでやんす!」

 近くにいた毛玉達が声をかける。

「手伝い?」

「えぇ。毛玉秘伝の薬でそのダメージを回復してあげるでやんす! さぁ、お前ら、幻想郷中の毛玉達に協力を要請するでやんす!」

「わかったぜー!」

「ホワァ!」

 あちこちに毛玉達は飛び立っていった。

「ありがとう」

「私は天狗様と、山の神様にも話をしてくるよ」

 にとりはそう言うと、山へと駆け出した。


「私達はどうしましょうか」

「博麗神社へ行ってみませんか? 総領娘様はある一件からずいぶんあの神社をお気に召していたようなので」

「そうね。それにあの巫女のところへいけばなにか情報があるかもしれないし」

「それでは急ぎましょう! とはいっても空を飛ぶのは危険ですね」

「あなたのその羽衣はとても目立つものね。見つけた人間が神社に押し寄せる可能性があるわ」

「では歩いていくしかないですか」

「その道を通ればすぐにつくわ」


 こうして雛と衣玖の冒険が始まった。

雛が主役のRPGを作ろうとしたんですけど。

攻撃力とか防御力とかの設定がメンドクセー!

ってことで諦めちゃいました。

でもそのままお蔵にしちゃうのももったいなかったのでここで。

ちょっと無理があるかもですが長い目で見てやってください。

登場した技とか属性とかちょっとした小話をこの後書きで補足していきます。

細かい設定とかは終わってからおまけ的に。


攻撃&防御力は低め、魔力は高めの魔術士タイプ。

前半は回復・補助系、後半に強力な攻撃スキルを覚える。

通常攻撃は御札。

衣玖さん

素早さ低め、防御がやや高い。

通常・魔法攻撃や補助魔法などバランスの取れた能力。

通常攻撃は羽衣。


後半にもう一人パーティに加わります。

もふもふ。


敵さんはゴブリン&スライム。

RPG王道の雑魚キャラですね。特筆することはありません。

バッドフォーチュン 敵単体に無属性攻撃。

龍魚ドリル 敵単体に攻撃。雷、風、無属性の3種がある。

毛玉はセーブポイント兼回復ポイントです。

中編程度の簡単RPGという位置づけなので回復ポイントありです。

ショップもあんまりないんでねぇ。

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