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第三話 ⅩⅢ
超短いです。
無数の星が瞬く漆黒の空で三日月が笑う夜。
コツ、コツ、コツ、コツ。
学院。
廊下の床と靴の底が当たる音が響く。
ソレは只待つ。
コツ、コツ、コツ、コツ。
待ち続ける。
焦りは無い。緊張も無い。呼吸音すら、無い。
只々、目標が己の設定した地点に進むのを待つ。
到達。
ソレは音も無く、目標の背後に現れる。
その様子はまるで起き上がった影。
ソレは機械的に、手にあるエストックを振り上げる。
その様子はまるで意思の無い人形。
ソレは、腕を振り下ろした。
そこにはもう、ソレはいない。
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