第三話 Ⅲ
エル視点に戻ります。
今回は短いのでもう一つ投稿します。
お楽しみいただけたら幸いです。
ソファでぼけーっとして二十分程。
ロウェンが部屋に戻って来、マリアも来た。
「これ、出来るだけ食べろよ」
とロウェンに言われ、目の前に置かれたのはスープとサラダとカットされた果物のセット。
「分かった、食べる」
ぼぅっとしながらも、エルは返事をする。
完全にソファに体を預け、天井を眺めていると、マリアの手がすっとエルの額に触れてくる。
「うーん、熱いわね……」
難しい顔をしてマリアはそう評価する。
「熱が完全に下がって、体力が戻るまで学院に行くのは禁止。分かった?」
手を外し、天井を向くエルの視界に自分の顔を入れてマリアは言った。
「分かった、行かない」
素直に了承する。
「欲しい物があったら言ってね? 持って来るから」
言いながら、部屋の中を動き回って色々と用意をするマリアと、エルの寝室に入って色々と用意をするロウェンを見て、ポツリと呟く。
「過保護……」
「「自業自得、エルの所為」」
独り言に間髪入れず突っ込まれ、何が? 何故? とエルは頭を悩ませた。
一頻り部屋の中を動き回った後、マリアとロウェンは学院に行った。
「良い? 安静にしてなきゃ駄目よ?」
「大人しく寝てろよ」
まるで親の様な言い付けを残して。
残されたエルは目の前に置かれた食事を見、冷めてはいけないので、スープだけ飲んで寝室に戻る。
ベッドにばたっと倒れ込み、俯せの状態で再びぼーっとしていると、エルはゆっくりと眠りに落ちて行った。
お読みいただき、ありがとうございます。




