第一話 ⅩⅡ
お久しぶりです。
今回は短いです。
すみません。
生徒全員を集め、適当に座らせたところで、担任達の話が始まる。
先ずはスハイツ。
「やぁ、H組の諸君。俺はスハイツ=カリカ、G組の担任だ。以後よろしく」
次に、H組の担任教師。
「初めまして、G組の皆さん。私はH組の担任をしてるカルロ=ラクテオだ。実習ではスハイツと共に、君達に魔術を教える。理解できないところがあれば、遠慮なく聞いてくれ」
その声は深みのある優しげなもの。
カルロは思っていたより優しい人物のようだった。
「では早速、今日の講義で学んだ魔方陣のベースを構築してもらおうと思う」
カルロはそのまま説明を開始する。
「ベースは魔方陣にとって無くてはならないものだ。修練が必要になるが、術式が無くても魔術を使うことは出来る。だが、その反対は不可能だ。これは今も昔も変わらない」
ここでカルロは一つ呼吸を入れる。
そしてチラッとスハイツを見るが、彼が何の反応もしないところを見て、再び説明を開始する。
「ベースを構築する方法は、単純に魔力で円を描けば勝手に出てくる」
説明しながらカルロは空中に右手の人差し指で円を描く。
まるで人差し指が絵筆にでもなったように、そこに白く光る円が描かれる。
その円はチェンジリングを思い浮かばせる。
と思っていると、描かれた円が独りでに動いて何かの模様を作り出していく。
そうして作り出されたのは、背中を丸めた牡牛だった。
「一応説明する。この牛はモンといって、雲や霧を支配する天候の神であり、流氷の神でもある。しかし、だからといって私が雲や霧を自在に操れるという訳ではない。勘違いしないようにしてほしい」
カルロはここまでまた息を吐き、先程と同じようにスハイツに目を向ける。
そしてスハイツが何もしようとしないのを見て、説明を再開する。
何だか、講義での面倒臭がりなスハイツを知るG組の同情をとっても誘う光景だった。
「ベースの構築は魔力制御の第一歩だ。自分の中にある魔力を感じ、操ることは魔術を扱う者には最も重要で最も要求されることだ。そのことを覚えておくように。では各自、ベースの構築練習に入ってくれ」
これでスハイツは最初の自己紹介以外、一切口を開くことなく説明を終えたことになる。
カルロ先生、お疲れ様です。
そして、これからも頑張って下さい。
心の中でG組の生徒全員が、カルロにエールを送った。
お読みいただきありがとうございます。




