第一話 ⅩⅠ 上
お久しぶりです。
前回投稿した時、一日のアクセスが三桁を超え、一気にPVが1,000を突破しました。
ちなみに、ユニークも少しずつではありますが順調に増えております。
皆さんありがとうございます。
駄文ではありますが、これからもお付き合いいただけると嬉しいです。
「遂にやって来ました! 実習です!」
「待ち遠しかった! 実習です!」
「ふ、二人とも、落ち着いて……」
テンションが上がりまくって大声を出しているナディアとソフィアを、若干顔を赤くしながらユウキが宥める。
その甲斐なく、双子は尚も大声で話し続ける。
「だって、すっごい楽しみなんだもん!」
「ユウキも気になるでしょ? 自分の魔方陣!」
「そ、そりゃあ、気になるけど……」
双子がユウキに詰め寄る。
その迫力に押されて、ユウキは双子のペースに流される。
「ね?それがやっと分かるんだよ?」
「テンション上がらないわけないじゃん!」
いや、それにしても興奮しすぎだ。
「楽しみなのは分かったから、声のボリュームを落とそうぜ」
見かねたロウェンが口を出す。
「「何で??」」
ユウキに向けていた顔を同時に彼に向ける。
「周りを見れば分かると思うわ」
そう言ってマリアが視線を動かす。
釣られて双子も周りを見渡す。
ユウキは既に先程より顔を赤くして片手で覆い、下を向いている。
現在五人は、第一訓練棟にある第四訓練室にいる。
広さは体育館くらい、全体的に色は白で清潔感と解放感がある。
5人の他にも、訓練室にはG組の生徒全員と合同で実習を受けるH組の生徒がいる。
一クラス25人いるから、今ここには50人いることになる。
その殆どが、双子と傍に居るユウキやロウェン達を見ていた。
誰も一言も発さない沈黙が更に痛い。
理解したナディアとソフィアは、ユウキと同じように顔を茹で蛸のように赤く染め上げる。
湯気が立ち上っているのが見えるような変わりっぷりだった。
「三人は平気なの?」
双子が俯いている間に幾らか頬の熱が引いたユウキが、顔色どころか表情一つ変えないエル達を不思議に思って聞いてくる。
「あぁ、それはなんだ、その……」
「えっとぉ、何ていうか……」
この質問に二人が答えを探して狼狽する。
かなり大袈裟に身振り手振りをしているが、言葉が全く続いていない。
こういう注目のされ方に慣れている、とは言えない二人であった。
「見られてるのは俺じゃなくて、ユウキ達だったからな」
ロウェンとマリアの不自然さに気付いていない振りをして、二人の持っていたバトンを少々強引に取り去る。
「そう? 僕はそれでもちょっと恥ずかしいと思うなぁ」
ユウキは眉間に薄く皺を寄せて、苦い顔をしている。
「ああいう時は、他人の振りをして第三者の立場でいた方が面白いし、怪我もしなくて済むからな。俺はもうロウェンとマリアのお陰で慣れてるから」
「そっか……。ちょっと羨ましいような気がするけど、何か複雑だなぁ。慣れてるってことはそういう出来事が沢山あったってことだよね?」
「ああ、沢山ある。腐るほどにな。思い出そうとすれば幾らでも思い出せるが、それが何時の出来事なのか多すぎて分からなくなってるのがかなりある」
「そ、そんなにあるんだ」
「ああ、本当に多い。今思えば、昔の俺は今とは違ってとても素直で真面目だったなぁ」
言いながら、エルは遠い目をする。
「苦労したんだね……」
「おい」
話している二人に第三者の声が掛かる。
お読みいただきありがとうございます。




