第零話
処女作です。
出来るだけ完結させようと思っています。
よろしくお願いします。
チェンジリング。
それは約千年前まで、妖精が人間の子供をさらった後に置いていく子供――「取り換え児」――を意味していた。
しかし、約千年前から、ある男の発見により別の意味で世界に広まった。
その男の名前は、クロス=エントラーレ。
旅人であったクロスはその旅の途中、何の変哲もない場所でそれを見つけた。
それは光の輪だった。
その光の輪は、まるで輪を潜ってくれと言わんばかりに縦向きに浮いていた。
通常、こういった不可思議で怪しいものに関わると厄介事に巻き込まれる可能性が高い。そのため、そういう場面に直面した場合、無視するのが一般的な対処法だ。
しかし、得てして人はそういうものを見ると、勧められなくても、触ったり、潜ってみたりしたくなる生き物なのである。
それはクロスも例外ではない。
彼は光の輪に触ろうとしたが、手は輪をすり抜けるばかりで触れることが出来なかった。
そして、一瞬の躊躇の後、彼は輪を潜った。
輪を潜る瞬間、彼は神に会ったらしい。
らしいというのは、その後誰が輪を潜っても神に会った者がいなかったからだ。
また、クロスが神だと言っただけで、実際に彼が会ったものが本当に神なのかどうかも分からない。
とにかく、クロスは神に会い、その神はこの輪を潜った者が魔力を得ること、そしてその力を使うための手段である魔術の説明を彼に話した。
神は青い髪と金色の瞳をしており、輪を潜り終えたクロスも同じ色になっていた。
その後、魔術師となった彼は世界に光の輪の存在と魔術を広めていった。
人々は、クロスが光の輪を潜ることで魔力を得、髪と瞳の色が変わったことから、光の輪を「変化の輪」、すなわち「チェンジリング」と呼んだ。
プロローグなので短いです。
期待してくださった方、短くて申し訳ありません。
しかし、興味を持っていただけたなら幸いです。
次はもっと長くします。
ちなみに、主人公たちが登場する予定です。