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Diaspora  作者: 吐露ヰ
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プロローグ

西暦二〇八六年、地球では未曾有の大戦が勃発。現在二〇九八年、まもなく二十二世紀を迎えようかという現在、十年余りの月日を経ながらその大戦は幕引きを忘れ、永遠に続くものかと思われてた。


事の発端は二〇二五年に完成を見た軌道上研究施設”アイシン”の存在である。静止軌道上に建造されたそれは高度な宇宙科学・天文学上の研究目的のための施設であったが、ひいては以前より計画されていた<第二フロンティア計画>と呼ばれる、地上における人工過密化解消及び新資源開拓のための計画の礎になるべき第一歩に過ぎなかった。それによって地上と軌道上施設群―――”ユリイカ”と後に呼称される―――は緊密な人工密度調整と資源・情報の伝達交換をもってしてお互いにとってより有益な文明へと進化するはずであった。


だが、事は思いもよらぬ難局へと移行していったのである。

―――軌道上施設群”ユリイカ”の主権独立宣言。

地上にある国際組織”第二国連”に対してユリイカはこれを主張し、それに当然反発した地上勢力との間でまもなく戦争は開始された。


 人的資源・物的資源に圧倒的な優位を保つ地上勢力、それに対して軌道上勢力は自らが誇る高度な科学技術力、地政学的な優位性をもって対抗した。

だがしかし戦争初期においては、両者の絶対的な地理上の困難―――地上と宇宙空間という隔絶された技術的な壁のために、双方武力衝突というものはほとんど見受けられず、おおむね電子戦に終始することになる。


 だが時代の推移、冷戦で言うところの各技術競争に似たものであるが、ヒトは宇宙空間、特に高高度域における活動主導権を得るためにあらゆる技術力を導入し我れ先にとその技術を軍事力として応用する時代が訪れる。そして生み出されたのが人型機動兵器<顕正ケンセイ>であった。<顕正>は元来スペースシャトルの船外活動(EVA)ロボットを原型とし、それを機動力・兵装システム化したものである。当然本家本元の船外活動を生業にしているユリイカに機動力の優位は明らかであったが、地上軍はお得意の人海戦術によってそれに攻勢した。

戦争は電子戦から直接武力衝突へと局面を変えたのだ。


時はすでに10年を経過した現在に至っても、状況は一向に進展せず、両者一進一退を繰り返していた。

だが、その永きに渡る不毛な戦いもまもなく終結を迎えようとしていた。

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